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~第四章:冒険者編(中期)~

119ページ目…実験【2】

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 とりあえず、残虐性うんぬんは置いておくとして、更なる実験を始める事にしようと思う。
 とは言っても、やる事は先ほどと大して変わらない。

 つまりは、〖模型創造モデリング〗での姿形の調整
 そして〖擬魂付加フェイクソウル〗の追加による存在進化である。

 今のままでは、只の泥の化け物、だが、これでは街中を連れて歩けない。
 もちろん、連れて歩くにしても全身鎧を着込んで貰う事になるのだが、このままだと、鎧から泥が漏れて迷惑になるであろう事は予想出来る。
 何より、泥が身体から取れてしまえば、スケルトンの姿では関節部分が取れてしまう。

 つまり、そうならない様な存在にまで成長と言うか進化と言うか…別の物にしないといけないと言う事だ。

「ってな訳で、反論は一切認めない。
 逆らう様なら、プリンの餌になると思え。」

〔確かに言われれば何でも食べれますが、今の私は、泥は食べたくないです…。〕

 俺がスケルトンに警告をすると、泥の化け物は観念した様に大人しくなる。
 その際、プリンの念話での文句は無視しておく。
 どの道、俺はプリンに泥を喰わせる気など、さらさら無いのだから…。

「んじゃ、観念してる様なので、さっそく〖魔法:模型創造モデリング〗!」

 最近、なんちゃって呪文を唱えているのだが、先ほど同様、今回も無しだ。
 そして、俺の魔法で更に泥が変化していく。
 少しずつとは言え、泥が変化していき人の形に似てきている。
 だが、まだまだ人の形には程遠い…流石に、一気に調整出来るだけの技術は、今の俺にはまだない。

 だが、そんな手間も含めて実験の一つだ。
 この作業に慣れれば、もっと凄いゴーレムなどの魔法生物を作り出せる事になるであろう。
 ある意味では、戦力増強と言う事にもなる…そうすれば、世界征服なんて事も夢ではなくなるはずだ。

 って、俺は世界征服なんて企んでないですよ?本当に本当ですよ?

「さてと…ここで一度、固定する意味も含めて〖魔法:擬魂付加フェイクソウル〗!」

 少し人の姿に近付いた泥の化け物…それに再度、魔法にて擬魂の力を上乗せする。
 それにより、泥の質感が少し変わり艶が出てくる。
 だけど、それでもまだ、人の肌に比べるのが失礼な程の差がある。

 とは言え、その核となるスケルトンを見る限りでは、まだまだ余裕がありそうだ。
 ふむ…能力的には、スケルトン・ソルジャーとなってるが、これって、僕が鎧を着せようとしているからかな?
 もしも、魔法を使えるようにと考えていたのならスケルトン・メイジとかになっていたのだろうか?
 と、疑問が湧いてくるが、それはまたの機会に実験しよう。

◆◇◆◇◆◇◆

「〖魔法:模型創造モデリング〗!〖魔法:擬魂付加フェイクソウル〗!」

 これで何度目になるんだろう…思いの外、人の体を形成するのは難しい物だ。
 核となる骨があるからか、腕などの長さに関しては骨に沿って調整すれば良いのだが、太さを調整するのが非常に大変だった。
 しかも、今はスケルトンとは言え、元々は10代の女の子って話なのだから、それなりに可愛くしてあげないと…と考えて形成してはいる物の、なかなか上手くバランスが取れない…。

 とは言え、遠目で見るのなら、一応は人の形に見えなくはない…。
 まぁ、もう少し頑張れば、デパートとかに置いてあるマネキン位までは精度を上げれそうだ。
 これがもっと上手くいけば、新たに人型のゴーレムを作って護衛にしたりとか出来そうな気がする。
 まぁ、その時はレオを能力強化パワーアップしたり、別の鎧を作ったり…とかも、したいと思う。

「ヴァァァ」

「ごめん、正直、何言ってるか分からない…そもそも、まだ、声を出せる様な造りになっていないから。」

 そう…アレから何度目かは忘れたが、だいぶ人型になった為か、若干ではあるものの、声みたいなのが出る様になっている。
 もっとも、まだまだ外見を調整している為、その内側は何も弄っていない。
 つまり、声を発生する部分はまだ何も作っていないのだ。
 何故なら、身体を作り替えているのだから、もしかしたら痛みを感じているかもしれないではないか。
 そうなった時、いちいち叫び声を上げられたのでは五月蠅うるさくてかなわない。
 つまりは、それを嫌っての作業だったりする。

 そして、スケルトンが大人しく、俺にされるがまま、反撃出来ないのにも理由がある。
 それは〖擬魂付加フェイクソウル〗の影響だったりする。
 これは、作成者に対して服従をする効果も含まれているのだ。
 つまり、このまま何も無ければ、俺が許可しない限り、俺に従うと言う事に他ならない。

 では、何も無ければ…とは、どう言う事か。
 それは、今回使用する魂が、俺が疑似的に作った魂ではなく、生物いきものが持っている元からの魂を使った場合だ。
 何度か行った実験で分かった事なのだが、生物いきものを殺し、その魂を再利用してアンデッド等を作成した場合、その魂が持っていた力を引き継ぐ形で新しく生まれてくるのだ。
 なので、場合によっては僕に逆らう事が出来る…と言う事になる。

 これは、野生の獣を実験に使った時、俺に対して攻撃を仕掛けてきたので間違いないと思う。

 ならば、このスケルトンはどうだろうか?
 元々、本人だと思われる魂が付属されているスケルトン…所謂いわゆる不死者アンデッドだ。
 ならば、このままだと俺に逆らう危険性がある。

 それを解消する為に、泥の身体に〖擬魂付加フェイクソウル〗を与え、俺に逆らえない様になるかの実験も並行してやっているのだ。
 もっとも、泥を固定化する為の手段の一つであり、ついでだからってのは、内緒である。

 
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