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~第四章:冒険者編(中期)~

100ページ目…システム復旧?

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「い、いやーーーーーッ!!」

 プリンの悲鳴が湖に響き渡る。
 そんなプリンの姿を、俺は上下逆さまで見ていた…。

 プリンが無事だったのを確認すると、俺は安堵した反面、同時に絶望もしていた。
 何故なら、俺の心臓がある筈の場所には、何者かの牙が刺さっているのだ。
 それも、心臓だけではない…他にも左腕にも脇腹にも刺さっているし、おそらく下半身は…たぶん、もうダメだろう…。

 僅か1秒にも満たない刹那の時間で、俺は悟った…そう、あと数秒もしない内に死ぬんだと…。

【もっしも~し、今、大丈夫?】

 あ…先生、お久しぶりです。
 先生の方から連絡してくるとは珍しいですね?
 …って言うか、正直、今にも死にそうなんで、全然、大丈夫じゃないです。

 ぶっちゃけ、先生と会話していると殆ど時が流れていない様なので、こう言う時は便利と言えば便利だが、それでも大して延命処置にはならないだろう。
 そもそも、意識だけが加速されている様な状態だしね。

【あらら?ちょっと忙しくて見ていない間に何かあったの?】

 先生、人の話聞いてます?ってか、今の僕の姿見えてるんですか?

【今の姿?ちょっと待ってね…今、テレビ付けるから…『カチッ』…。】

 あ~…先生が、こっち見るのってテレビなんだ…。

【うわぁ!?何この状況ッ!?思いっ切りドラゴンに喰われてるじゃん!ち、ちょっと大丈夫なの!?】

 いや、だから全然、大丈夫じゃないって、さっきから言ってるでしょうに…。
 って言うか、ドラゴンに喰われて無事な人がいるなら、逆に見てみたいんですがッ!?

【それは、まぁ…そうなんだけどね?】
【折角、システムが復旧したから、未処理の初期設定をしようと思ったんだけど…忙しそうだし、どうしようか?】

 未処理の初期設定って?
 緊急事態であるにも関わらず、俺はその言葉が気になり、つい聞いてしまう。

【ほら、あなたが、こちらの世界に来る前にて、チートスキルを使いたいって選んじゃったじゃない?】
【まぁ、その時、システムが壊れて強制的に、そっちに送っちゃった訳なんだけど…。】
【だから、初期ボーナスとスキルを…って、あれ?】

 ん?どうかしましたか?

【そう言えば…私、まだ貴方にスキルとか渡して無かったわよね?】
【それなのに、何でそんなにいっぱい持ってるの?】

 そんな事言われても、僕が知るはず無いでしょ!?
 それに…何で、元の世界のじぃちゃんとの思い出に、こっちの世界のスキルの事があるんですか?

【え…あの封印が解けたのッ!?うそ、大変ッ!!】
【『ガサゴソ、ガサゴソ…カチャカチャ…。』】
【あ~、良かった!保護プロテクトの一部が壊れてるだけだから、まだ大した問題じゃないわね…。】

 先生、今、俺死に掛けてる…と、言うか、もう絶体絶命のピンチって分かってます?

【そりゃ、そのまま攻撃され続けられれば、そうなるかもしれないけど…貴方、今すぐは死なないわよ?】

 へ?それは、どういう意味ですか?俺は心臓を貫かれて…。

【もしかして…貴方、今の自分の状態がどうなってるか分かってない…なんて事はないわよね?】

 だから、こいつに噛み付かれて、心臓を…。

【普通、心臓潰されたら数秒で死ぬわよ?】
【即死って言っても良いかもしれないけど…。】

 うん…だから、さっきからもう死ぬ寸前だって言ってるじゃん…。

【あのね…私が話し掛けてから…そっちの時間でも、既に結構な時間経ってるわよ?】

 え?そうなんですか?もしかして、走馬燈の様に一瞬の出来事かと思ってたけど…違うんですか?

 普段の会話が殆ど時間が立っていないので分からないが、少なくとも一秒二秒の話では無い様だ。

【そうね…結構、大ダメージ受けてるみたいだけど…HP見る限りじゃ、今すぐ死ぬって程ではないと思うわよ?】

 そ、そうなんだ…良かった…って、心臓貫かれてるのにッ!?

【えっと…そんな些細な事・・・・より…貴方が着ている鎧の方が死んじゃってるみたいだけど…それ、生きてる鎧だったのかな?】

 えぇ、そうですが…そっか、レオのヤツ、死んじゃったのか…。

【それで、どうする?基本的なスキルに関しては、何故か今の方が強いけど…。】
【チートスキルとか、ユニークスキルは貰った方が良いと思うんだけど?】

 それって、時間掛かりますか?見ての通り、かなり危険な状態でして…。
 ぶっちゃけた話、今の状態で貰ったとしても…文字通り、手も足も出ないと思うんだが…。

【その事なら大丈夫よ?時間にして数秒で済むはずだから…ね。】

 あ…だったら、ピンチをチャンスに変えろ…って、じぃちゃんがよく言ってたんで…今すぐお願いします。

【は~い!それじゃ、チャチャッと済ませちゃうわね♪】

 先生がそう言うと、急に僕の体が虹色に輝きだす。

特異技能ユニークスキル:〖森羅万象しんらばんしょう〗を手に入れました。】
【特異技能:〖究極進化アルティメット・エヴォリューション〗を手に入れました。】
【〖究極進化〗の効果により、〖HP/MP/SP高速回復〗が〖超高速回復〗に進化しました。】
【〖究極進化〗の効果により、〖模倣コピー〗が〖完璧模倣パーフェクト・コピー〗に進化しました。】
【〖究極進化〗の効果により、称号:〖魔王の欠片〗〖憤怒〗〖暴食〗〖怠惰〗〖傲慢〗〖色欲〗〖強欲〗〖嫉妬〗が統合し〖魔王〗に進化しました。】
【〖究極進化〗の効果により、〖毒無効〗〖麻痺無効〗〖幻惑無効〗が融合し〖状態異常無効〗に進化した。】
【耐性:〖即死無効〗を手に入れました。】

 こうして、俺はシステム障害とやらで手に入れる事が出来なかった能力を手に入れた。
 って…だったら、俺の持っていたスキルはいったい何だったのだ?と、更なる疑問が浮かぶ。
 それに謎の声さん先生が言っていた、『あの封印』ってのも気になるし、幾つか疑問が残る物の、今は無視して、敵との戦いに集中する事にしたのだった…。
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