~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

文字の大きさ
上 下
91 / 421
~第三章:美味い物ツアー編~

91ページ目…配達【1】

しおりを挟む
「えっと…こっちのお米と、あそこにあるお米を…っと、ついでに、このお米も、60kgずつお願いします。」
「畏まりました、では、お届け先はどちらまで届けましたら良いでしょうか?」

 まぁ、普通の人であるなら180kgもあるお米の入った麻袋を抱えて運ぶ事は不可能だ。
 馬車とかあればそれで運ぶ事は可能だろうが、僕は馬車なんて持っていない。

 まぁ、『車』を使えば問題ないだろうが、こっちの世界では非常に珍しい物…いや、無いかも知れない。
 故に、あまり人目のある場所では使いたくないのが現状だったりする。

 と言うのも、俺の見立てでは、こっちの世界でも金貨数十枚で取引されるであろう性能があるからだ。
 つまり、万が一にも盗難されたらたまった物じゃない。
 もっとも、俺が作り出したゴーレムなので、盗難にあっても動かないとは思うが、それでもプリン達だって動かせるのだから、それも絶対ではない。

「いえ、そのまま持って帰れますので。」

 俺はそう言うと店主に代金を払い、商品を無限庫インベントリに入れた。

「ほぅ…珍しい、まさか無限庫持ちの人に会うとは…。
 お客さん、どこかの貴族に遣えてるんですか?」
「いえいえ、俺は、しがない冒険者ですよ?」

 ぶっちゃけ…地味に一度言ってみたかった台詞の一つである。
 本当は、そこらの下級の冒険者と違い、僕はB級クラス…中級上位の冒険者だから、『しがない』と言うのは間違いなのだが、本当は凄いんですよ~と言うのを隠して、あえてこう言ったのだ。

「あ、あの、失礼ですが、お急ぎのご用とか御座いますか?
 もしお暇でしたら、一つ、配達の依頼をお願いしたいのですが…。」

 何やら、トラブルの予感だ。
 もっとも、僕達は美味い物ツアーをしている身だ。
 厄介事はお断り…ここは断った方が無難かもしれない。

「いえ、俺達は…「あるじ まかせる かいけつ」

 ちょっと待てッ!?ローラ、お前、何時から其処に居たんだ?
 店主の顔を見る限り、驚いていない所を見ると、どうやらローラは気配を消し、無音で近付いてきていた様だ。
 だが、店主から見れば真っ正面から近付いていたのを見ていたのだろう、って言うか、お前が勝手に話を進めるな!

「え~…依頼を受けていただけると言う事でしょうか?」
「うむ」

 俺が答えるより先にローラが返事をする。
 いや、そもそも配達する場所とかも聞いていないのに勝手に返事をされたら困る。
 否、それ以前に俺達の目的は、美味い物以外にも正体不明のゴーレムを調査すると言う目的があるのだ。

 しかも、その情報がギルド経由なのだから、調査隊が出ているかもしれない。
 もしも、貴重な素材で出来ていたら回収出来ないではないか!

 そう、ここ数日で学んだ事なのだが、ゴーレム系等の一部の魔物の場合、〖魂強奪ソウル・ドレイン〗で倒した場合、魂を失った体はそのまま素材として残る可能性があるのだ。

 これは、レオを作成する時に気が付いた事なのだが、俺の鎧に〖擬魂付加フェイクソウル〗を掛けていた『アームズ』から〖魂強奪ソウル・ドレイン〗を使い、ただの鎧…素材に戻す時に思い付いた事だった。

 そして、その事に気が付いた俺は、ウッドゴーレムやストーンゴーレムを作って実験したりした結果、そのまま体が素材ドロップ扱いになる様だったのだ。
 だった…と言うのは、自分で作った物を元に戻しただけ…。
 他の人が作った物では、まだ試した事がないから、あくまでも仮説の段階なのだが、十二分に試す価値がある。

 それも踏まえて、この『オカカ』の町まで足を運んだのだ。

「ローラ、うむ…じゃないだろ、何を勝手に話を進めてるんだ!
 依頼を受けるかどうかは俺が決める事だし、内容も配達だけで、どこに配達するのか分からないんだぞ!」
「あるじ ごめん」

 俺が拳骨の構えを取ったからか、ローラは頭を庇う様に両手で頭を隠しながら、即答で謝ってくる。
 まったく、コイツは何を考えてるのか…このバカ犬の飼い主の顔を見てみたい。
 って、飼い主は俺だったな…うん、これは本気マジで、ちゃんとしつけをしないとダメなのかもしれない…。

「えっと…店主、配達と言う事でしたが、何処に何を運ぶのかによって依頼を受けるかどうか決めたいと思います。
 と、言うのも…実は、あまり地理に詳しくなく、行った事のない場所となると難しいのです。
 おそらく、俺が無限庫持ちなので、運搬に適しているとの考えかと思われますが…。」

 と、あまり失礼にならないと思われる様な言い方で断りを入れる。
 もっとも、冒険者としては、あまりよろしくない口調だとは思うが…。

「え、えぇ…確かにおっしゃる通りです。
 こちらの言葉が足りなかった様ですね。
 実は当店の専属の運び屋が居るのですが、本来なら一昨日に戻るはずの者が未だに戻ってこない為に、次の配達が間に合わなくなるかもしれないのです。
 こちらとしましても、お客様商売…信用が大事な商売でして、商品が指定の日に届かないとなりますと、色々と問題が発生しまして…。
 お客様の言う通り、無限庫持ちであれば運搬には持ってこい。
 その身一つで済む為、都合が良いのです。」

 ぶっちゃけ、ただの配達と変わらない様である。
 単純に人手宇不足…と言った所か?

「なるほど…それで、俺に配達を頼みたいと言う事なのですね?
 それで、配達する商品と配達場所は何処なんですか?」
「それが、実は…。」

 おや?歯切れが悪い…何やら言いづらい事なのだろうか?
 まぁ、先程から嫌な予感を感じるのだから、問題が発勁しそうなのだが…。

 俺は疑問に思いつつ、店主の次の言葉を待つのであった…。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~

暇人太一
ファンタジー
 大学生の星野陽一は高校生三人組に事故を起こされ重傷を負うも、その事故直後に異世界転移する。気づけばそこはテンプレ通りの白い空間で、説明された内容もありきたりな魔王軍討伐のための勇者召喚だった。  白い空間に一人残された陽一に別の女神様が近づき、モフモフを捜して完全復活させることを使命とし、勇者たちより十年早く転生させると言う。  勇者たちとは違い魔王軍は無視して好きにして良いという好待遇に、陽一は了承して異世界に転生することを決める。  転生後に授けられた職業は【トイストア】という万能チート職業だった。しかし世界の常識では『欠陥職業』と蔑まされて呼ばれる職業だったのだ。  それでも陽一が生み出すおもちゃは魔王の心をも鷲掴みにし、多くのモフモフに囲まれながら最強の商人になっていく。  魔術とスキルで無双し、モフモフと一緒におもちゃで遊んだり売ったりする話である。  小説家になろう様でも投稿始めました。

補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く

burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。 最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。 更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。 「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」 様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは? ※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。

神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。 突然足元に魔法陣が現れる。 そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――― ※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...