~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

文字の大きさ
上 下
89 / 421
~第三章:美味い物ツアー編~

89ページ目…レオ

しおりを挟む
『シュィィィィィ!』

 現在、俺達は『高速移動用搭乗型ゴーレム:テスタロッサ』…通称:車に乗ってムスビ山脈へと向かっていた。
 とは言え、現在、車を運転しているのはいるのは俺ではなくプリンだったりする。

 ここ数日、プリンとクズハ、そしてアリスには車の運転方法を教えた結果、プリンだけがまともに操縦する事が出来たのだ。

 ちなみに、クズハとアリスが運転出来なかった理由…それはいたって単純な問題ではありながら、解決するには車自体を作り替える必要があった事もあり、今回は、しばらく断念して貰ったのだ。
 その理由とは、単純であるが故に最大の問題でもあったのだが、運転席に座った時、明らかに身長が足りないという理由だったりする…。

 俺の作った車には、元の世界の車と違い、座席の調整機能と言う物がない。
 もともと〖模型創造モデリング〗の魔法で作り上げたゴーレムの為、座席の位置をずらしたり、高さを変えたりと言った機能が最初から付いていなかったのだ。
 その為、身長の低いクズハとアリスには、アクセルやブレーキと言った、操縦するのに必要な部分に手足が届かないと言うのは致命的だったのだ。
 とは言え、クズハは成長すれば操縦は可能になるはずだが、ブラウニーであるアリスには、これ以上の身長は望めない。
 かと言って、クズハやアリス用に改造すると、今度は狭すぎて俺が操縦出来ない。

 元々、俺だけが操縦する為に作った車なのに、二人の為に僕が操縦出来なくなるのは本末転倒…そんな訳で後日、クズハやアリス用に小型車を作るするのを約束し、我慢して貰ったのだ。

 この事からも分かる様に…俺が作った車には、まだまだ改良の余地は多々ある。
 その一つが今もなお深刻な問題になっている窓ガラスだ。
 透明で、ある程度強度がある物と言うのは、なかなか厳しい…。

 そこで目を付けたのが水晶だ…上手く加工すれば風を防ぐだけの事は出来るはずだ。

 現在は、氷を加工して填め込んではいるが、当然、氷なのだから溶ける。
 そうすると、前が見えなくなって危険が増す。
 だましだまし運転しても、やはり溶けない物質に比べて、事故が起きる可能性はかなり高いのだ。

「ご主人様、そろそろ…フロントでしたっけ?前が見辛くなって来ました。」
「分かった、どこか端の方に車を止めてくれ。」

 俺はプリンに指示をして車を止めさせる。
 もっとも、殆ど整地されていない道なので、端の方と言っても、何処が端なのかイマイチ分からなかったりする。

 まぁ、そんな事は関係ないとばかりに、俺は無限庫インベントリから今回の旅に向けて作り出した新装備を取り出した。
 と言っても、元々は鋼の鎧に〖擬魂付与フェイクソウル〗した物だったが、今回の鎧は、ダンジョンの壁と一緒に混ぜ合わせて新しく作った物だ。

「レオ、武装化アームド!」

 俺の命令に従い新装備の黒いライオン…獅子を模したその身体を分離させ、次々と俺の体に装着されていく。
 そう…これこそが、俺が新しく用意した新装備、生きてる鎧をコンセプトに作り出した鎧なのだ。
 普段は、獅子の姿で遊撃する護衛…だが、一度、俺の命令が出れば僕を守る鎧へと変化する。

 もっとも、こちらも車同様に、まだまだ改良の余地があるのだが、現状でも、かなりの性能と言える。
 しかも、鎧の癖にレベル表示もされているので、魔術的に動くだけの鎧では無く、れっきとした魔物…ガーゴイルとかゴーレム等と同様の物になっている様だ。
 とは言え、俺の命令には絶対服従しているので俺達が襲われる事は無い。
 安全は確保されているのだ。

 では、何故、このタイミングでそんな鎧を着たのか…と言うと、いたって簡単な話で、現在、車のフロントガラスの代わりは、氷を使っている。
 すなわち、とてつもなく冷たいのだ。
 それを素手で触るとなると、冷たすぎるし…落として割るとかなった場合、あまりに情けない。
 まぁ、素材が氷だけに割った所で放っておけば水になるだけなので問題はないのだが…。
 そんな訳で、氷に触れても寒さを感じない様にする為に、わざわざ鎧を着たのだ。

 もし、レオに高度な自我があったら呆れられたかもしれない。
 何はともあれ、俺は既に何度目かも忘れた作業を開始する。

「〖魔法:氷結弾フリーズブリッド〗!」

 僕の魔法が、車から外された溶け掛けの氷を再び凍らせる。
 そして、次の作業に入る。

「〖魔法:模型創造モデリング〗!」

 次に…モデリングの魔法を使い、形を整える…これが一番大事な作業だ。
 氷の中の不純物を一切取り出し、反対側が、はっきりと見えるほどの透明感を出す。
 そうして出来た透明な氷の板を再び、車にセットする。

「武装解除!レオ、お疲れ様。」
「ガウッ!」

 俺の言葉に反応するかの様に、レオが軽く吠えた。
 そして、車の中の狼を一瞥すると、鼻で笑うかの様にフンッと…笑ったッ!?
 あれ?擬魂では無く、他の魂を付与しなければ自我を持たないと思っていたのは俺の勘違いなのか?
 明らかにローラを侮辱する様な態度を取っている気がする。

 幸いにも、ローラは寝ていて気が付いていない様なので、俺はレオの背中を撫でてから、再び無限庫インベントリに入って貰った。

「さて、出発するか!」

 俺は車に乗り込みつつ、プリン達に声を掛けるのであった…。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~

暇人太一
ファンタジー
 大学生の星野陽一は高校生三人組に事故を起こされ重傷を負うも、その事故直後に異世界転移する。気づけばそこはテンプレ通りの白い空間で、説明された内容もありきたりな魔王軍討伐のための勇者召喚だった。  白い空間に一人残された陽一に別の女神様が近づき、モフモフを捜して完全復活させることを使命とし、勇者たちより十年早く転生させると言う。  勇者たちとは違い魔王軍は無視して好きにして良いという好待遇に、陽一は了承して異世界に転生することを決める。  転生後に授けられた職業は【トイストア】という万能チート職業だった。しかし世界の常識では『欠陥職業』と蔑まされて呼ばれる職業だったのだ。  それでも陽一が生み出すおもちゃは魔王の心をも鷲掴みにし、多くのモフモフに囲まれながら最強の商人になっていく。  魔術とスキルで無双し、モフモフと一緒におもちゃで遊んだり売ったりする話である。  小説家になろう様でも投稿始めました。

神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。 突然足元に魔法陣が現れる。 そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――― ※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル
ファンタジー
 異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!  主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。  亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。  召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。  そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。  それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。  過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。 ――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。  カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く

burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。 最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。 更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。 「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」 様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは? ※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。

処理中です...