~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

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~第三章:美味い物ツアー編~

86ページ目…プリンと新たな力

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〔そう言えば…ご主人様、先日、車でアオイに行った時レベルが上がったのですが、その際〖分裂〗ってスキルを覚えたんですけど、見てみますか?〕

 ふむ…僕はプリンの正体がスライムだと言う事はよく知っている。
 まぁ、出会った時は、今と違い、マッドスライムだったし、その後、進化した事で、彼女になっているのだから当然と言えば当然な話だ。
 それ故、〖分裂〗と言う言葉からも効果も想像が出来る。

 とは言え、普段は、自分からスキルを見てと言わないのだから、よほど見て欲しいのだと推測出来る。

「うん、そうだね、プリンも見て欲しそうだから、お願いしようかな。」
〔はい♪〕

 僕がそう言うと、プリンはにっこりと微笑んでスキルを発動させた。
 プリンの体が一瞬、緑色に光ったと思うとピンク色した小さいスライムが僕の前に飛び出してきた。

『ポヨン、ポヨン』

 僕はそのスライムを見た・・

◆◇◆◇◆◇◆

種族:プチ・スライム
Lv:1/10
HP:43/43 MP:35/35 SP:34/34
攻撃力:20 防御:10 魔法力:24 素早さ:11

◆◇◆◇◆◇◆

「思ったより、弱い普通のスライムが出てきたね。」

 そう、プリンが見せたがっていたから、もっと凄いのが出てくると思ったのだ。

〔そうですね…その子は、私の1/10の力しか与えていませんから。〕
「え?どういう事?」

 1/10の力を与えてない…って、えッ!?つまり、〖分裂〗で生み出したプチスライムの強さは任意と言う事なのか?

〔えっ~と、ですね…この〖分裂〗と言うスキルは自分と同じ分身を作り出せるスキルなんです。
 もっとも、全部同じではないんですが…最大で自分の力の半分までなら作り出す事が可能なのです。〕
「いやいやいや、簡単に半分って言うけど、プリンの能力の半分だったら、普通に凄いじゃん!
 あ、でも…これだけ強力なスキルならリスクがあったりするんじゃないの?」
〔そうですね…基本的に、自我と言う物を持たないので簡単な命令を与えるか、もしくはおとりくらいにしか使い道がない気もしますね。〕
「そっか、ちょっと残念だな…。」

 いや、それでも能力としては十分過ぎる。
 ただ、自我がない所為で、ちょっと簡単な命令しかってのがイマイチと言うか何と言うか…。

〔残念、ですか…。〕

 プリンは僕の残念発言を聞いて悲しそうな顔をしながら、融合を使いプチ・スライムを吸収してしまった。

「いや、でも、魔王化した時に、この〖分裂〗が使えたら元が強いのだから便利なんだろうな…って思ったんだけど、自我がないんじゃ、まとになるだけだから、あまり役に立たないかな…って思ったんだよね。」
〔そうですよね…いくら強くても、自分で考えて動けないのでは、あまり役には…。〕

 プリンの悲しそうな顔を見て、ふとある事を思い付く

「あッ!?いや、待てよ…もしかしたら…。
 プリン、分裂したヤツの強さは自分で力を決めれるんだよね?」
〔はい、分裂する前に、どれくらいの強さにするのを決める事が出来ます。
 それと、使えるスキルに関しても同様です。
 もっとも、先ほどのプチ・スライムには何も与えませんでしたが…。〕

 プリンの発言で、僕の仮説の信憑性が増した。
 あとは実験をするだけだ。

「プリン、魔王化・・・をするぞ。」

 僕の言葉に、プリンは何の疑問も抱くことなく、すぐに融合をしてくれた。
 そして、僕と融合する事により、プリンは僕の考えていた事を理解した。

 この魔王化と呼んでいる〖融合〗スキル…その能力の一つに、記憶まで共有されると言うメリットがある。
 もっとも、知られたくない記憶があった場合、デメリットになる事もあるので注意が必要なのだが…。

 そして、ソレは、僕が喜ぶであろう…と、プリンが一人、この〖分裂〗の特長やらを研究し練習をしていたの知ってしまった。

「プリン、残念って言ってゴメン…ありがとう。」
〔い、いえ…そんな…妻として当然の事です…。〕
「うん…それでも、ありがとう。」

 あ…しまった、妻って所を否定するの忘れた…。
 ま、まぁ、命より大事って思うほど僕を好きでいてくれるんだし、僕だってプリンの事が好きだ…。
 もう、わざわざ否定しなくても良いのかもしれない…。
 ってか、そもそも〖融合〗した時点でバレバレだしな…。

「プリン、実験するよ…。」

 そうプリンに声を掛けて、僕は〖分裂〗をした。

◆◇◆◇◆◇◆

〔ご主人様、これ…もの凄い力を感じます。
 でも、この状態だと、何と言うか破壊衝動に駆られそうって言うのですか?
 色々な物を破壊したい気持ちになってきますね…。〕
「実験自体は成功みたいだけど…頼むから物を壊したりするなよ?」

 そう…今、この場にデビル・スライムが二人いるのだ。

 プリンだけで分裂した時は1/10の力だった所為か、プチ・スライムだった。
 が、それならばと魔王化した俺は上限いっぱいでの1/2の力で〖分裂〗を使ったら、デビルスライムが現れたのだ。

 もっとも、スライムだから一人、二人と数えて良いのか疑問ではあるが…。
 一人目は当然ながら僕…そしてもう一人はプリンだ。

 がした実験…それは、〖分裂〗によって肉体を分ける事が出来るのであれば、精神も同様に分ける事が出来るのではないか?と言うものだった。

 プリンのスキルに関しても同様に…と言う部分が気になったのだ。
 〖分裂〗した物に与えるスキルを任意で選べる…でも、自我がない。
 だったら、自我も与えれるのではないか?と言う疑問が生まれた。

 もっとも、普段であれば、一つの体に心は一つ…だけど、俺達は二人で一つの体を共有している状態である。
 だったら、自我のない分裂体を制御する為に、プリンの意識に分裂体を任せたらどうなる?
 ふと、そう思ってしまった…そして、それは期待通りの結果となった様だ。

 ちなみに、プリンの姿は魔王化した俺の姿ではなく、いつものプリンの姿だ。

 まぁ、もともとスライムは〖人化〗のスキルで、多少は姿を変えれるのだから、元の姿へと変えたのであろう…と推測する。
 とは言え、流石にこのままの姿と言う訳にはいかない。

 でも、普段ならばプリンが分離して元に戻るのだが、分裂している今は、いつも通り分離するだけ…と言う訳にもいかない。

 ここで一つの閃きがあった…そう、プリンが使う〖人化〗だある。

 先程も言ったが、プリンは普段、〖人化〗で人間の姿へと変化している。
 まぁ、スキルレベルが足りてないので、他の人には見せれないのだが…。

 俺は〖人化〗を使ってみた。
 すると、角やらが消え、元の人間の姿へと体が変化した。

 そして、それを見ていたプリンも同様に人化を使い、人型へと変わる。
 魔王化の影響なのか、プリンの姿は、既に近くで観察しても分からないほどの性能となっていたのだった…。
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