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~第三章:美味い物ツアー編~

85ページ目…実験レポート

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 僕は、ここに今日の実験の結果を記入していこうと思う…。

 ちなみに、ここはメルトの町にある僕の家であり、そして、僕の研究室である。
 とは言っても、たくさんある部屋の内の一つってだけで、特に何かある訳ではない。

 そして、僕は先ほど町で買ってきた紙に文字を書いている…。

 特にどうと言う事はないが、昨日、港町のアオイから回収してきたコンブ擬きとワカメ擬きが食べれるかの実験を始めようとしているのだ。
 ここで重要となるのが、僕のステータスにある耐性スキルの『毒無効』だ。

 このスキル、味はともかく毒に対して耐性がある。
 つまり、この『擬き』が仮に毒を持っている海藻だとしても、僕には効かないと言う事になる。
 なので、物理的に食べれるのであれば、食べてみたいと思う。

「アリス、この家の敷地内で、一番、日当たりが良い場所って知らない?」
「一番…ですか?でしたら、裏手側の庭か、屋根の上ですかね?」
「や、屋根の上?」

 まさか、屋根の上を勧められるとは思わなかった。

「はい、屋根裏部屋にある窓から、外に出ると日向ぼっこするのに最適な場所があるんですよ。
 ただ、下手をすると、足を滑らせて屋根から落ちちゃうんで注意が必要ですけど…。」

 なるほど、確かに屋根の上であれば、太陽を遮る物はない。
 ふむ…実験する場所は屋根の上にしよう。
 念の為、僕はプリンを連れて屋根裏部屋へと向かう事にしたのだった…。

◆◇◆◇◆◇◆

「って事で、屋根から落ちない様にフォローして欲しいんだけど、お願い出来るかな?」
〔でしたら、鎧化した方が良さそうですね。〕

 プリンはそう言うと、いつも通り鎧の形を取り、僕の体にくっついた。

「それじゃ、気を付けていきますか!」
〔はい!〕

『ガシャ』

 僕はプリンの返事を聞いてから、屋根裏部屋の窓を開け放ち、落ちない様に慎重に外へ出る。
 ちょっとだけ、滑りそうになった物の、問題なく屋根の頂上付近まで登る事が出来た。

 僕は次の作業に取り掛かる。

 まずは…と、プリンと出会う前に大量に確保しておきながら、その存在を、すっかり忘れていた薪。
 正直、家の修繕の為、伐採した材木の枝打ちで、更に増えていたりするので、少し使った所で然程さほど変わらない。

 それを無限庫インベントリから少しずつ取り出し、綺麗に並べていく。
 次に〖魔法:模型創造モデリング〗を使い、薪を変化させて骨組みを作り、干し場を作成する。
 なお、〖モデリング〗で作る理由として、固定するのに釘などを使う必要がないと言う事と、思った通りの形にする事が出来るからである。

 そして、最後に港町のアオイで手に入れた、コンブ擬きとワカメ擬きを並べていく。

 もっとも、手に入れた時のまま干す訳じゃない。
 一度、海水で水洗いをして、表面に付いていた砂とかを洗い流しているし、茎だか根だか…の部分は切り落としてもいる。
 ついでに言うと、海水を使って茹でる作業も済ませた状態である。

 上手くいけば良いな…そう思いつつ、僕は屋根の上に寝ころんだ。

〔ご主人様、良い天気ですね♪〕

 いつの間に分離したのか、プリンが横に座っている。
 どうやら、また〖人化〗のレベルが上がったのか、最近では、ある程度、近くで見なければ人と区別出来ないレベルまで〖人化〗が上達している様だ。
 もうそろそろ、〖人化〗のスキルレベルがカンストするのかもしれない。

「プリン、おいで…。」

 僕は、そう言うと寝てままで両手を広げる。
 すると、プリンがそのまま僕の方に倒れ込んで来たので優しく抱き締める。

 そして、プリンがそっと目を閉じる。
 僕はそれに合わせる様に優しくキスをし…プリンの胸に手を添えた。

【称号:〖色欲〗を手に入れた。】

 ちょっとまて、コラッ!!
 軽く触っただけだぞ|?なんで色欲なんて不名誉な称号手に入れなきゃならんのだ!
 僕はそう思いながら、急いでプリンの胸から手を退ける。
 すると、プリンが残念そうな顔で僕を見ていた。

 仕方がないので、誤魔化す様に、僕はそのまま抱き締めて頭を撫でてあげた。

 なお、後で思った事だが、屋根の上とは言え、外なんだから色々と危なかったかも?を考えると、せっかくの機会だったとは言え、不名誉な称号を得たお陰で、間違いをおかさなくて良かったとも思う。



 追伸、ワカメ擬きとコンブ擬きは、思った通り、無事に食べれる事が出来た。
 これにより、出汁や味噌汁の具やら…色々と使い道が出来たので楽しみが増えた。

 その為、大量に作って商売するのも良いかも?と夢が膨らむのだった…。
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