~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

文字の大きさ
上 下
84 / 421
~第三章:美味い物ツアー編~

84ページ目…港町『アオイ』【2】

しおりを挟む
「御主人様、これなんて如何でしょう?」

 そう言うと、アリスはアジーの一夜干しと言う物を僕に見せてきた。

 本来なら、昨日、ここ『カクサン』で乾物などを買うつもりだったのが、ちょっとした事件があり、その所為でアリスのタイムリミットが来てしまい、次の日…すなわち、今日に延期されたのだ。

「あるじ これ うまそう」
「どれどれ…カッツォ…の燻製か?でも、やけに硬いな…。」

『カツーン!カツーン!』

 燻製だと思われる物を互いにぶつけると良い音がする。
 アレ?これって、もしかしてもしかするのでは?と思っていると、店員に声を掛けられた。

「お客さん、お目が高い!これはアオイの特産品の一つ、カッツォ節と言う物でして…コレを薄く削り茹でますと、コレがまた美味しい汁になるんですよ。
 しかも、当店のカッツォ節は、領主様にも献上する一級品!
 そして、このアオイで一番美味しいと評判の『スケサン』でも使われているのです!
 なんでしたら、こちらのカッツォ節で作られたを吸い物を試食なさいませんか?」

 その証言を聞き、試食をしてみる…そして僕は一つの結論に達した。
 すべての謎は解けた!そう…コレは元の世界での、鰹節かつおぶしなのだと…。

 まぁ、誰でも分かる事か…勿体ぶったのは失敗だったな。

「えっと…そうだな~このカッツォ節を…とりあえず、10本頂きます。」

 僕は迷ったあげく、多過ぎかと思ったが10本購入する事に決めた。
 これが僕の思った通りの鰹節ならば、色々な料理に使うな事が出来、使い道がある。
 それに…こちらの世界でもちゃんと道具や調味料を揃えれば、僕にだって簡単な料理は出来るはずだ。

 そして…料理に必要な道具に関しては、ある程度なら、既に自作する事が出来る。
 ならば、ここで買わない理由はない…ってな訳で、購入が決定したのだった。

 他に何かないかな…と思っていたのだが、残念ながら僕にとってコレと言った物がなかった。

「う~ん…ワカメとかコンブなんかもあると良かったんだけどな…。」
「えッ!?お客様、あんな物・・・・をお探しなのですか?」

 僕の呟きに反応を見せる店員、しかし、あんな物…とまで言っている。
 何か、変な事を言ったのだろうか?

「えっと…僕、何か変な事を言ったでしょうか?」
「い、いえ…ワガメとゴンブと聞こえました物で…。」

 何か、濁点が付いた様な名前だが偽物パチモノか?

「僕が言ったのは『ワカメ』と『コンブ』ですよ?」
「あ、あぁ…聞き間違いでしたか、すいません…。
 てっきり、猟師達が地引き網漁をする時に混ざってる海藻の事かと…。
 アレらは、少しネバネバしていて…使い道が無くて捨てられてしまう物ですから…。」

 それを聞いて、さらに僕は確信する…。
 おそらく、僕が探している若布《わかめ》と昆布《こんぶ》であると…。

 ってか、こっちの世界では、まだ食用と思われていないのだろうか?
 過去の勇者が、いろいろな料理を広めている様に思えたのだが、何とも不思議な話である。

 いや、それ以前に、若布と昆布が一緒に取れるって言うのも妙な話だ。
 僕の記憶が正しければ、若布は暖かい地域、昆布は寒い地域に生息していたはず…。
 とは言え、どうせ捨てられてしまう物って話だから、拾いに行ってみるのも良いと思う。

「みんな、ちょっと行きたい所があるんだけど、どうする?」

 僕がそう言うと、みんな着いてくると言ってくれた。

◆◇◆◇◆◇◆

 そんなこんなで、僕達は船が停泊している辺りまで来た。

 えっと…猟師さんはどこら辺にいるのかな?そう思い、周囲を見渡すと一人のお爺さんを見掛けた。

「あ、あの…ここにワガメとゴンブってありますか?
 もしあるなら、別けて貰いたいのですが…。」

 僕がそう言うと、お爺さんは聞き取りにくい言葉で答えてくれた。

「なんね~そっただ物が欲しかっと?ほれ、そこに転がっておる、勝手に持ってきなっせ。」

 なんか凄い訛ってるが、どうやら勝手に持って行けば良いと言ってる様だ。
 何はともあれ、これでゲットだ。
 とは言え、本当に食べれるかは試さないと分からない。

 ひとまずごちゃまぜになっているワガメとゴンブを適当な量を回収し、無限庫インベントリに放り込む。
 すると、ご都合主義は健在で、何と別々に分かれて保存されていた。

「みんなお待たせ、コレで僕の用事は終わりかな。
 他に何か食べたい物とか買いたい物はないかな?」

 僕がそう言うと、ローラがいつも通りの台詞を言った。

「あるじ にく たべたい」

 そう、ここは港町アオイ…海産物はあるが、なかなか肉料理の店がない。
 このアオイで肉料理を探すより、メルトに戻った方が肉料理は普通に売られている。
 他に買う物も無い様なので、僕は苦笑しながらメルトの町への〖魔法:空間転移ゲート〗を開いたのだった…。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~

暇人太一
ファンタジー
 大学生の星野陽一は高校生三人組に事故を起こされ重傷を負うも、その事故直後に異世界転移する。気づけばそこはテンプレ通りの白い空間で、説明された内容もありきたりな魔王軍討伐のための勇者召喚だった。  白い空間に一人残された陽一に別の女神様が近づき、モフモフを捜して完全復活させることを使命とし、勇者たちより十年早く転生させると言う。  勇者たちとは違い魔王軍は無視して好きにして良いという好待遇に、陽一は了承して異世界に転生することを決める。  転生後に授けられた職業は【トイストア】という万能チート職業だった。しかし世界の常識では『欠陥職業』と蔑まされて呼ばれる職業だったのだ。  それでも陽一が生み出すおもちゃは魔王の心をも鷲掴みにし、多くのモフモフに囲まれながら最強の商人になっていく。  魔術とスキルで無双し、モフモフと一緒におもちゃで遊んだり売ったりする話である。  小説家になろう様でも投稿始めました。

補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く

burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。 最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。 更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。 「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」 様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは? ※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。 突然足元に魔法陣が現れる。 そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――― ※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

処理中です...