~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

文字の大きさ
上 下
80 / 421
~第三章:美味い物ツアー編~

80ページ目…寄り道

しおりを挟む
『ひゅ~~~、ポスッ!』

 枝を投げた瞬間、嫌な予感を感じなかったと言えば嘘になる。
 だが、誰もが予測出来る様なベタな出来事と言う物は、そうそう起こらない…筈、なのだが…。
 そう思うのは、僕だけではないはずだ。
 しかし、結果は…。

「ご、ご主人様、枝が倒れませんね…。」

 既に、誰が見ても分かる事なのだが、改めて、クズハが認めたくない現実を言う。
 そう、僕が投げた枝は、悲しい事に高く上がり…そして地面に対して垂直に落ちた。
 ここまで言えば、賢くなくても分かるだろう…。
 ただ、言い訳ではないが、最近、雨が降ったとかで、ぬかるんでいた訳ではない。
 また、草木に当たった訳でもない…それなのに、投げた枝は地面に刺さり、倒れる事を拒否したのだ。

 この世界に神がいるのなら、きっと、その神がベタ好きなんだろう。
 おそらく…漫画みたいに石を適当に投げたら、犬とかに当たるとか…。
 そんなくだらない悪戯を好んでやる神が管理している世界なのだろう。

 考えない様にしていたが、これはスタトの塔を攻略する時から今までずっと感じていた事でもある。
 でもまぁ、だったら、そんな事するなって言われそうだが、その場の雰囲気と言う物がある。
 分かっていても…つい、やってしまうのだ。

『パシッ』

 僕は刺さった枝を、手を振り…そして再び握った。
 そして…再び投げた。
 いくらベタな事が起こるとは言っても、流石に、二度も同じ事が起きるはずもなく…。

 結果は…東ルート、港町に決定した。
 港町…紹介者であるポプラさんが言うには、新鮮な魚介類が豊富で色々とあるらしい。
 こうして、僕達は港町『アオイ』に向けて旅立ったのだった…。

◆◇◆◇◆◇◆

 所変わって、ここは…以前、謎の魔術師がダンジョンを溢れさせようと企んだダンジョンの第3層目である。
 そんな場所で、僕達は、今、そこでゴブリンと戦っていたりする。

「ワウォォォォォォンッ!」

 ローラの〖スキル:咆吼ハウリング〗による衝撃波を受け、怯ひるんだ敵…ゴブリンが動きを止める。
 そして、クズハがその隙をついて長剣・改を胸へと突き立てる事に成功…。
 さらに…プリンが〖魔法:氷の矢フリーズアロー〗にて追撃をし、オーバーキル状態で消滅させる。

『ボシュ!』

 ゴブリンが消滅し、後には少額のお金とドロップアイテムがあった。

 ローラ以外の二人は、ピョンピョン飛び跳ねて喜んでいる。
 いや、普通に考えて、みんなのレベルならばゴブリン単体が相手なら楽勝だろ?と言いたい所だが、喜んでいる所に水を差すのもどうかと思うので、ここはグッと堪える。

 本来なら、ダンジョンの3層を超えるまでは出会う敵は単体だ。
 言い換えれば、集団で戦う事は、まずあり得ないと言う事。

 先日は、ダンジョンが溢れる寸前だった…そんな特殊な状況だったからからこそ、ダンジョンの1層目でも複数いたのだ。
 では、何故、港町の『アオイ』へ向かう途中だった僕達が、現在、ダンジョンに居るかと言うと…その道の途中にくだんのダンジョンがあったのだ。

 正直に言うと…ローラの装備を作る為と、〖魔法:模型創造モデリング〗の材料を確保する為だったりする。

 あの謎の魔術師が作り出したガーゴイル…何故、ゴーレムでないのかは未だに疑問だが、ダンジョンの壁を材料にした為か、その強度は異様なまでに硬かった。
 それならば、同じスキルを持っている僕にも同じ事が出来るはず…。
 そんな思いに駆られ、急ぐ旅でもないとの思いから、予定を変更してダンジョンに入ったのだ。

 材料はダンジョンの壁…ただし、階層が低いと壁の強度も弱いらしい…と言うのはダンジョンの壁を攻撃して分かった事の一つである。

 つまり、ダンジョンの1層目では硬さが足りず、武防具を作るには向いてない。
 それに、〖魔法:擬魂付加フェイクソウル〗による、生きている防具と言うのも捨てがたい。
 〖疑魂付加〗は、条件さえ満たせば、絶対服従のしもべを作り出せるのだ。
 そして〖模型創造〗…これはイメージりょくが物を言う。
 逆を言えば、それさえしっかり出来るのであれば、形も自由自在と言う事だ。
 つまり、イメージさえ完璧なら多少無理だと思った事でも可能と言う事だ。

 それすなわち、元の世界の知識を使えば、こちらの世界でも使えると言う事になる。
 その為、より良い素材を手に入れる為に、僕達は、ダンジョンの下層へと足を踏み入れたのだった…。

◆◇◆◇◆◇◆

「あれ?次の階層に降りる階段がない…。」

 おそらく、何処かに隠し通路があったのだろう…だが、その事はどうでも良い。
 別にダンジョンの攻略なんてしていないのだ…なんか面倒になったから、この階層で我慢しよう。


 〖スキル:闘気剣オーラブレード〗…僕は威力を調整して壁の硬さを確認する。
 これにより、望んでいた硬さがあるのを確認…材質に問題はなさそうだ。
 そして、僕はダンジョンの壁を掘削を始めた。

 それから、約1時間が経過した…。

「ふぅ…こんな物か…。」

 僕の無限庫インベントリには、相当量の壁が入っている。
 ダンジョンの壁故に、かなりの強度を有している。
 下手な鉱石よりも、明らかに強力な素材だ。

 僕は、ニヤリと笑みを浮かべ、みんなを連れてダンジョンの外に出るのだった…
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~

暇人太一
ファンタジー
 大学生の星野陽一は高校生三人組に事故を起こされ重傷を負うも、その事故直後に異世界転移する。気づけばそこはテンプレ通りの白い空間で、説明された内容もありきたりな魔王軍討伐のための勇者召喚だった。  白い空間に一人残された陽一に別の女神様が近づき、モフモフを捜して完全復活させることを使命とし、勇者たちより十年早く転生させると言う。  勇者たちとは違い魔王軍は無視して好きにして良いという好待遇に、陽一は了承して異世界に転生することを決める。  転生後に授けられた職業は【トイストア】という万能チート職業だった。しかし世界の常識では『欠陥職業』と蔑まされて呼ばれる職業だったのだ。  それでも陽一が生み出すおもちゃは魔王の心をも鷲掴みにし、多くのモフモフに囲まれながら最強の商人になっていく。  魔術とスキルで無双し、モフモフと一緒におもちゃで遊んだり売ったりする話である。  小説家になろう様でも投稿始めました。

補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く

burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。 最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。 更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。 「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」 様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは? ※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。

神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。 突然足元に魔法陣が現れる。 そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――― ※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...