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~第三章:美味い物ツアー編~

70ページ目…家探し【1】

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 装備を良くしてアレから、ちょっと変わった犬に見えるフェンリル(幼生)も引き連れて、冒険者ギルド所有の不良物件(既に契約済み)である、お化け屋敷へと来た僕達…しかし、そこに待ち受けていたのは…。
 
「「「出て行け~!」」」

 と、悪霊と呼ばれている物達が叫んでいる。
 しかし…残念な事に、悪霊達は僕の一撃で、随時、消滅えていく事となる。

 そう…僕は〖スキル:魂強奪ソウル・ドレイン〗を使い、片っ端からその魂を奪いまくっているのだ。
 何故って?だって…幽霊や悪霊って、肉体を持たない分、魂を守る殻が弱いってのが定番じゃん?
 だったら、そのまま奪い取って有効活用したほうが良いかな~って話だったりする。

「きゃ~~~!おばけ~~~!!」

 おや?いったい、誰の声なんだろう?

 とりあえず、プリンはいつも通り、僕と一緒にいる…つまりは、いつもの鎧バージョンだ。
 そして、幽霊とかの実体を持たない物が苦手と言っていたクズハは玄関の外で…と言うより、門の外で待機中…。
 更に言うならフェンリルもクズハの護衛として一緒にお留守番をお願いしている。

 つまり、先程の声の主は、僕達のメンバーではない事になる…。
 もしかしたら、僕達以外にも、悪霊退治の依頼クエストを受けている冒険者とかがいるのかもしれない。

『ガシャン、ガシャン、ガシャン…。』

 すると、前方から兜を脇に抱え中身のない鎧が、小さな女の子を肩に乗せ…いや、荷物を担ぐ様にして歩いてくる。
 その姿は、誘拐された少女…である。
 しかし、その少女の雰囲気に違和感を覚えた僕は女の子を見た・・

「ふむふむ…普通の女の子に見えたけど、ブラウニー…か。」

 そんな独り言に、プリンが反応して聞いてくる。

〔ご主人様、ブラウニーって、確か…家に憑いて、家を守ったり家事などをしてくれる妖精…精霊でしたっけ?〕
「あぁ…プリン、よく知ってたね。」
〔ご主人様の記憶に残ってた情報です。〕

 なるほど…情報源が僕なら、そりゃ知ってても不思議じゃない。

〔それに…以前、まだマッドスライムだった頃に、民家に居たのを1匹、美味しく食べた事があります。〕

 へ、へ~美味しかったんだ…。

「プリン…この子はじゃないから、食べちゃダメだぞ?
 えっと…『アームズ・・・・』、とりあえず、その女の子を…そうだな、こっちに降ろしてくれるかな?」

 と、僕はデュラハン擬きの動く鎧リビングメイルへと声を掛ける。
 すると、ガシャガシャと激しく音を立てつつ、僕が指示した場所に女の子…ブラウニーを降ろしてくれた。

 先程、言った『アームズ』とは、ダンジョンに顕れた怪しい魔術師から新しく覚えた〖魔法:擬魂付加フェイクソウル〗により、僕が作り出した偽りの魔物である。
 いや、この場合、魔法生物と呼んだ方が良いのか?
 何はともあれ、このリビングメイルは僕の命令に従う忠実なしもべとして行動を共にしているのだ。

 ちなみに、作り方は簡単…先程も言った事だが、魔術師がガーゴイルを作る時と同様に…ただし、まだ〖魔法:模型創造モデリング〗に慣れていない為、鎧を作ろうとしたが歪な形にしかならず、格好良い形に作る事が出来ず、特殊任務の時に使っていた鎧に〖|擬魂付加《フェイクソウル〗を使い、そのまま動く鎧リビングメイルとして作り替えた物のだったりする。

 余談ではあるが、〖擬魂付加フェイクソウル〗を発動させようとした時、何故か兜が転がり落ちてしまい、兜には擬魂は付与されておらず、完全に飾りとなってしまっただけで、意図してデュラハンにしようと思った訳ではない。

 もっとも、本当の目的は某漫画みたいに生きてる鎧として…また成長する鎧を作りたかったのだが、やはりと言うか…ものの見事に失敗し、こんなアンデット紛いの物を作り出してしまったのだ。
 とは言え、コレはコレで使えそうなので、そのまま連れてきたのは誰にも内緒だ。

「プリン、その子を拘束…動けない様にしてくれ。
 あと、さっきも言ったけど食べちゃダメだぞ?」

 とプリンに対して指示を出す。

〔え~ッ!でも、ご主人様がそう言うなら我慢します…。〕

 と、不満を漏らしつつも素直に従ってくれた。

「もしもし、そこのお嬢さん。」

 と、声を掛けながらブラウニーの体を揺すり、起こそうとする。

「う、う~ん…いや、お化け来ないで~!って、アレ?あんた誰よ!?」

 うん、賑やかな子だ…ちゃんと話を出来るか心配になってきたが、話し合いを始める事にしよう。

「僕は、夢幻…語部カタリベ 夢幻ムゲンだ…それで君は?」
「私?私は見ての通り、ブラウニーよ?」

 いや、〖神眼〗で見たからブラウニーと分かっている、まぁ、〖神眼〗で見ていなければ、只の小さな女の子としか思えないんだけど…ね。

「いや、君がブラウニーは分かってる…そうじゃなくて、君の名前は?」
「名前?名前なんて無いわよ?って、言うか…名前って必要な物なの?」

 なるほど…やはり名前を持っていないのか。
 今まで倒した魔物のそうだが…プリンや、フェンリルも名前を持っていなかった。

 やはり…この世界の魔物と呼ばれてる物には、殆ど名前を持っているヤツはいないみたいだ。

「それじゃ、次の質問だ…君はココで何をしてるの?」
「私は、この家に不法侵入してくるヤツを退治して…って、そうよ!あんた達、今すぐ出て行きなさい!!
 ここは私がこの家の主に頼まれて、私が守ってる家よ!」

 ブラウニーは、そう叫ぶと僕に対して激しい敵意を向けたのだった…。
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