~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神

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~第三章:美味い物ツアー編~

68ページ目…修理と改造【1】

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 そんなこんなで、僕達は一旦はギルドを出たのだが、ふと思い付いた事があり、すぐに引き返し再びギルドマスターの部屋に戻って来ていた。
 考えて見れば、〖 空間転移ゲート〗の魔法使えば、何処にいても泊まる場所を心配しなくても良いのではないか?
 そう考えたら、拠点となる家を買っても良いのでは?と思ったのだ。
 幸いにも、先の報酬で懐は温かい。
 それに、ラオンさん曰く、それだけの金があれば、小さい家なら買える…との事だった。

 その事を思い出したからこその、思いつきだった。

「ラオンさん、先程の家の話なんですが…もしかして状態が良く、金貨10枚以下で買える物件って無いですか?
 例えば…そう、幽霊ゴーストが出る…とかの、曰く憑きの物件なんかだと、ありがたいんですが…。」

 元の世界でも、曰く憑きの物件は格安で売られてる事がある…だから、ダメ元で聞いてみたのだ。

「まったく、君と言うヤツは…どこで聞いて来たのか知らんが、確かにギルドで一つ曰く憑きの物件を所有している。」

 やはりあったか…この世界に来てから何度も経験したご都合主義ってヤツだな。
 それにしても、聞いておいてなんだが、そんな曰く付きの物件を冒険者ギルドで所持しているとは妙な話である。

「まぁ、普通の家に比べるなら、そこそこ大きく、また、庭もある家なんだが…。
 いつの頃からか悪霊が住み着いたらしく、今までの所有者がことごとく変死すると言う曰く憑きの物件だ。」

 確かにヤバい物件ではあるみたいだが、悪霊程度なら、特に問題は無いはずだ。
 むしろ…問題があるとすれば、家の状態の方だろう。

「そ、それで…家の状態の方はどうなんでしょう?」
「正直言って、あまり良くはない…修理するとしても、そこそこ費用が掛かるだろうが、その分、金額の方は破格で…金貨五枚となっている。
 一応、参考までに言うが…曰く憑きでなければ、同規模の家だと最低でも金貨五十枚…場合によっては金貨百枚はする物件だ。」

 つまり、本来ならそれだけの価値がある物件と言う事か…。

「それと…ギルドの方からも、この案件はAランクのクエストとして、悪霊退治を募集している。
 だが、その時に限り、悪霊が出なくて困っているの現状だ。
 しかも、虚偽の報告をするヤツもいてな…。
 まぁ、そいつに関しては厳重に処罰をしたんだが、それ以外にも、ちゃんと退治したと報告を受けて確認しに行くと再び出る…と言った状態で一向に解決が出来ない不良物件だったりする。」

 退治したのに、再び出てくる?なんとも奇妙な話出る。

「へ~…それって、僕達が退治したらその家をもっと安くして貰える…なんて事は、流石に無いですよね?」
「あぁ、流石にそれは無いな…とは言え、悪霊退治クエストの報酬は、確か…金貨二枚だったか?
 だから、君達が退治すれば金貨三枚で済むのでは無いかね?」

 だけど…ラオンさん、その計算は間違ってるぞ?
 何故なら、依頼として悪霊退治を受ける以上、もちろんタダ働きじゃないのは言うまでもない。
 しかし、クエストで稼いだら所持金が増えるのは合ってるが、実際に金貨五枚で買うんだから、手出しは金貨五枚のままで変わらないのである。
 依頼を達成すれば確かに金貨二枚の報酬を得はするが、その報酬と購入資金は別の問題なのだ。

 とは言え、ラオンさんの提案は悪くない…そんなこんなで僕達は悪霊退治クエストを受ける事になった。
 ちなみに、悪霊が居なくなった場合、建物の価値が上がり、金貨五枚で買えなくなる可能性がある為、まだ悪霊退治をしていないにも関わらず、僕は購入の手続きをして代金を払っておいた。
 これで、悪霊退治に成功しても失敗しても、今から行く家は、僕達の物となったのだ。

 まぁ、本当に退治出来れば…だが。


〔ご主人様なら、余裕ですね。〕

 と、こちらの考えを読んだのか、プリンが言ってくる。
 まぁ、プリンの言う通り、僕の考えが合っていれば、確かに余裕だと思う。
 こうして、僕達は悪霊退治へと向かったのだった…。

◆◇◆◇◆◇◆

 はずなのだが、今、僕はいつも泊まってる宿屋にいる。
 悪霊退治のクエストを受けたのは良いが、忘れていた事があり、この宿屋に戻ってきたのだ。

「〖魔法:模型創造モデリング〗!」

 僕は新しく覚えた〖模型創造〗の実験を始める。
 あの『ゼロの使い魔』と名乗った魔術師から〖模倣コピー〗にて手に入れた新しい魔法だ。
 でも、何故、このタイミングかと言う話になると思うだろう。

 実に単純な話になるのだが、魔術師がダンジョンの壁からガーゴイルを作り出したのを見て思ったのだが、コレって、武防具の修理や改造に使えるんじゃね?と思ったからだった…。

 まぁ、その事をすっかり忘れて、悪霊退治の前に修理しようと、武器屋前まで行った時に思い出したってオチがあったりするのだが…。
 あの時、ガーゴイル戦で、殆どの長剣ロングソードは、刃毀れして斬れなくなるか折れるかして、使い物にならなくなっている。
 また、防具に関しても、全体的に傷が付いたりしている。
 特に、クズハの革鎧なんて背中がバッサリ斬れているのだから、既に防具の役割を果たしていないとも言えるだろう。

 そんな訳で、修理をしないと悪霊退治に行けないと判断したのだ。
 で、先ほどの話に戻るが、自分で修理出来ないか?と思ったのだ…。

『グニョッ、グニョニョ…。』

 僕の魔法を受けて、折れていた長剣が一つにくっついた!
 と言っても、かなり歪な形で…だ。

〔ご主人様…コレ、斬り付けたら、実に折れますよね?〕

 と、プリンが言ってくる。
 そりゃ、一度折れた刃がくっついたと言っても、四~五cm程しかくっついてないのだから、そんな刃で斬り付ければ負荷に耐えれずに折れる事間違いなしだと思う。

 そう言えば…昔、じぃちゃんと夏休みの宿題…自由研究で鳥の巣箱を作った事があったな…。
 あの時、上手く作れなかった僕に、じぃちゃんは完成した時のイメージをしっかりと思い描いてから作成すると良いってアドバイスを貰った事があった…と思い出した。

 そう思ったら、先ほどの魔法を使った時、僕のイメージは…と言うと、ただ単にくっつけるとイメージしただけだった。
 ならば、もっとしっかりとしたイメージをすれば…ちゃんと修理出来るのではないだろうか?
 そうでなければ、あんなガーゴイルなんて作り出せないはずだ。

 今度は、ただくっつけるのではなく、細部に至るまで…しっかりとイメージをしてから魔法を使う。

「〖魔法:模型創造《モデリング》〗!」

 すると…先ほどの失敗とは違い、イメージ通りの長剣が出来た。
 ぶっちゃけて言うのであれば、今までの長剣の形をしていない。
 シンプルな形の長剣が、某ゲームの伝説の剣みたいな形になっている。

 もっとも、そのままでは質量が足りなくなると思い、錆びた短剣も一緒に混ぜ込んであるから少し重くなっているはずだ。

 問題は、斬れ味だが…イメージ通り作られたいるなら、たぶん大丈夫だろう。
 念の為、僕が作り出した長剣を

悪夢の長剣ナイトメア・ブレード…異世界の知識を用いた長剣で一流の鍛冶師が作った長剣に負けず劣らずの性能を有している。】

 と言う情報を、〖神眼〗が伝えてきた。
 つまり、僕の作り出した長剣は、そこらの鍛冶屋の性能じゃなく、高性能な長剣と言う事だ。

 まぁ、悪夢のって名前のが気になるが…一応、装備してみる。
 どれだけの性能か比べてみよう…。
 この町の武器屋で買った長剣…装備すると攻撃力+15だった。
 次に僕が作り出した、悪夢の長剣…攻撃力+40…なんと3倍近い性能だった。

 僕は予備として使うも良し、双剣で使うもよし…と言う事で、同じ物をもう一本作る事にする。

 しかし…今回作った長剣は、形は一緒なのに、悪夢の長剣にはならず、名称が『長剣・改ロングソード・カイ』となっていた。
 もっとも、攻撃力+22となっていたので店売りよりかは良品と言う事になる。

 改と名称に付与されていると言う事は、僕が作り出した長剣は、改良?改造?された扱いなんだろうか?
 さて…違う武器になったのは何が原因なんだろう。
 それは何か…そこで思い付くのが材料の違いだ。

 最初の時はスタトの塔で手に入れた『錆びた短剣』を使った…だが、今回は『投げナイフ』で質量を増やした。
 つまり、錆びた短剣の素材が影響して強力な武器に変わった…と言う事のかもしれない。
 幸いな事に、錆びた短剣はもう一本あるし、斬れ味が落ちた長剣も…まだある。

 同じ材質の錆びた短剣かは分からないが、同じ物としてストックされていたのだから、材質も同じ物だと信じたい。
 僕は、ニヤリと口角が上がるのを感じながら、実験を開始する。

「な、なんか、ご主人様が怖いです…。」
〔クズハさん、ご主人様の邪魔をしてはいけません…もっと離れておきましょう。〕

 と、何か失礼な事が聞こえるが、この際、無視する事にする。

『テレッテッテッテ、テレッテッテッテッ、テレッテテテテテテッテッテッテッテッ』

 と、某3分で出来る料理番組のBGMを脳内で流しながら、材料を用意する。
 そして、再び…改造と言うべきかもしれないがモデリングにて作成する。

 結論から言うと実験は大成功だった…悪夢の長剣、攻撃力+40の長剣がもう一本完成したのだった。

 しかし、悪夢の名が付くほどの素材…錆びた短剣の材料って何だったんだろう?と、疑問に思ったのだった…。
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