28 / 421
~第一章:冒険開始~
28ページ目…プランB【3】
しおりを挟む 木の枝で作成した銛…その数、残り2本。
その内訳は、…地面に落ちていた形が歪な枝の先端を削っただけの銛×1
木から直接枝を斬り落とし、形を整えた銛×1
そう、それは…僕が作った4本の銛の内、既に半分の2本の銛を失ってしまった事を意味していた。
コレにより、素人が作った銛で適当に魚を突くだけでは魚を捕るのが難しい事が分かる。
いや、自分の注意不足が原因と言う説もあるが、それは一切、考慮していない。
何より、ここまで来たら素直に諦めるなんて事は出来ない…愚かな僕にも、それなりに意地と言う物がある。
とは言え、木から直接削り出した方の銛は地面に落ちていたヤツより、かなり堅いので、他にも杖にしたりとかの使い道があるので、地面に落ちていた枝を使った歪な方の銛をラストチャンスにする事に決めた。
そんな訳で、今までの反省を含めて更に慎重に作業をする事にした。
『ザブザブ、ザブザブ…。』
サブサブ…か、『山田君、座布団一枚持っていって~』と、考えつつ、国民的人気番組のBGMを脳内で流しながら、僕は魚に近付いていく。
正直な話、このBGMで作業するのは向いてないな…と思ったのは内緒だ。
すると、少し離れた所に20cm超えの大物魚影を発見。
僕は銛を掲げ、勢いよく投げ付ける…これに関しては〖投擲〗スキルを使用するので命中する確率は高いはずだ。
『ヒュンッ…ブスッ!』
流石、投げる事に関して命中補正が掛かる〖投擲〗スキルの効果である。
銛は物の見事に命中し川の中から浮上する。
そして、水面に出た銛の先端には、先程狙った大きな魚が刺さっていた。
次の瞬間、僕は、お魚獲ったど~!と心の中で叫んでいた…。
って、言葉に出しても良かったじゃん…と思ったが魔物が出たら怖いので、叫ばなくて良かったとノリツッコミをしながら、銛ごと魚を回収する…事が出来なかった。
そう…この時、僕は凄く大事な事を忘れていたのだ。
ここで皆さんに一つ、『川』と言う物を頭に思い浮かべて貰いたい。
まぁ、十人十色…人それぞれ、川のイメージがあると思う。
人によっては、緩やかだったり、激流だったり…だけど、必ずと言って良い共通点がある。
もう気が付いた人もいるだろう…そう、川と言うのは一部、特殊な現象で逆流するのを除けば、上流から下流に、水が流れていくのだ。
そして、僕は銛を『投げた』のだ…もちろん、僕が投げた銛は僕の手を離れ少し離れた所にある。
そして、その距離と言うのは手を伸ばしても全然届かない距離。
そう…魚が付いたままの銛は、最悪な事に、二度と僕の元に戻る事はなく下流へと流されてしまったのだ!
しまったのだ…しまったのだ…しまったのだ…。
|突いた魚がデカかっただけに、ガックリと肩を落とした僕の心の中に、フェーズアウトしていく魂の叫び声が虚しく響いていた。
◆◇◆◇◆◇◆
そんなこんなで、僕は現在、最後の1本を持って、大きな岩の上から魚を狙っている。
先程のがラストチャンスだと言っていた事は、この際、無視する。
もう、何が何でも、魚を手に入れてやる…僕の頭では、それしか考えられなくなっていたのである。
ってな訳で、再度、魚を発見…コレより、本艦は魚の駆逐を開始する!
僕は妙なテンションで魚目掛けて、銛を勢いよく突いた!
…たぶん、妙なテンションなのは先程からグ~グ~鳴っている腹の虫の所為だ。
「ていッ!」
僕は気合いと共に、声に出して銛を勢いよく突き出した。
『プスッ♪』
銛の先端に小さいながらも、見事に魚の中心を突いているのが分かる。
僕は嬉しさを堪えつつ『えいッ!』と、銛を勢いよく川から引き上げた。
『スルッ…ポチャン。』
僕はとうとう魚を手に入れたのだ!
僕は銛を持ち直して先端の魚を回収しようとして手を止めた。
あれ?魚が居ない…何故だ?
しばらくの間、魚が居ないショックに固まっていたのだが、復活した僕は先ほどの記憶を再生していた。
見事に魚を突いて…嬉しくなって銛を勢いよく引き抜いて…その後、ポチャンと音がした。
…勢いよく川から引き抜く?その後、ポチャン?
そして銛の先端には魚がいない…なので、先端は尖ったまま。
ん?何か変だ…尖ったままと言う事は、簡単に抜けない様にする仕掛け…返しが付いていない事になる。
つまり、アレか?アレですか?
釣り針みたいに返しがないから、水の中から銛を引き抜く時に水の抵抗で魚が抜け落ちた…そう言う事ですか?
返しを付け忘れた自分が全部悪いと?今までの苦労は全て無駄だったと?
あまりの出来事と、空腹のあまり…とうとう逆ギレを起こし、SPを全部注ぎ込んだ闘気弾を、眼下の岩に叩き付け、岩を粉砕したのだった…。
その内訳は、…地面に落ちていた形が歪な枝の先端を削っただけの銛×1
木から直接枝を斬り落とし、形を整えた銛×1
そう、それは…僕が作った4本の銛の内、既に半分の2本の銛を失ってしまった事を意味していた。
コレにより、素人が作った銛で適当に魚を突くだけでは魚を捕るのが難しい事が分かる。
いや、自分の注意不足が原因と言う説もあるが、それは一切、考慮していない。
何より、ここまで来たら素直に諦めるなんて事は出来ない…愚かな僕にも、それなりに意地と言う物がある。
とは言え、木から直接削り出した方の銛は地面に落ちていたヤツより、かなり堅いので、他にも杖にしたりとかの使い道があるので、地面に落ちていた枝を使った歪な方の銛をラストチャンスにする事に決めた。
そんな訳で、今までの反省を含めて更に慎重に作業をする事にした。
『ザブザブ、ザブザブ…。』
サブサブ…か、『山田君、座布団一枚持っていって~』と、考えつつ、国民的人気番組のBGMを脳内で流しながら、僕は魚に近付いていく。
正直な話、このBGMで作業するのは向いてないな…と思ったのは内緒だ。
すると、少し離れた所に20cm超えの大物魚影を発見。
僕は銛を掲げ、勢いよく投げ付ける…これに関しては〖投擲〗スキルを使用するので命中する確率は高いはずだ。
『ヒュンッ…ブスッ!』
流石、投げる事に関して命中補正が掛かる〖投擲〗スキルの効果である。
銛は物の見事に命中し川の中から浮上する。
そして、水面に出た銛の先端には、先程狙った大きな魚が刺さっていた。
次の瞬間、僕は、お魚獲ったど~!と心の中で叫んでいた…。
って、言葉に出しても良かったじゃん…と思ったが魔物が出たら怖いので、叫ばなくて良かったとノリツッコミをしながら、銛ごと魚を回収する…事が出来なかった。
そう…この時、僕は凄く大事な事を忘れていたのだ。
ここで皆さんに一つ、『川』と言う物を頭に思い浮かべて貰いたい。
まぁ、十人十色…人それぞれ、川のイメージがあると思う。
人によっては、緩やかだったり、激流だったり…だけど、必ずと言って良い共通点がある。
もう気が付いた人もいるだろう…そう、川と言うのは一部、特殊な現象で逆流するのを除けば、上流から下流に、水が流れていくのだ。
そして、僕は銛を『投げた』のだ…もちろん、僕が投げた銛は僕の手を離れ少し離れた所にある。
そして、その距離と言うのは手を伸ばしても全然届かない距離。
そう…魚が付いたままの銛は、最悪な事に、二度と僕の元に戻る事はなく下流へと流されてしまったのだ!
しまったのだ…しまったのだ…しまったのだ…。
|突いた魚がデカかっただけに、ガックリと肩を落とした僕の心の中に、フェーズアウトしていく魂の叫び声が虚しく響いていた。
◆◇◆◇◆◇◆
そんなこんなで、僕は現在、最後の1本を持って、大きな岩の上から魚を狙っている。
先程のがラストチャンスだと言っていた事は、この際、無視する。
もう、何が何でも、魚を手に入れてやる…僕の頭では、それしか考えられなくなっていたのである。
ってな訳で、再度、魚を発見…コレより、本艦は魚の駆逐を開始する!
僕は妙なテンションで魚目掛けて、銛を勢いよく突いた!
…たぶん、妙なテンションなのは先程からグ~グ~鳴っている腹の虫の所為だ。
「ていッ!」
僕は気合いと共に、声に出して銛を勢いよく突き出した。
『プスッ♪』
銛の先端に小さいながらも、見事に魚の中心を突いているのが分かる。
僕は嬉しさを堪えつつ『えいッ!』と、銛を勢いよく川から引き上げた。
『スルッ…ポチャン。』
僕はとうとう魚を手に入れたのだ!
僕は銛を持ち直して先端の魚を回収しようとして手を止めた。
あれ?魚が居ない…何故だ?
しばらくの間、魚が居ないショックに固まっていたのだが、復活した僕は先ほどの記憶を再生していた。
見事に魚を突いて…嬉しくなって銛を勢いよく引き抜いて…その後、ポチャンと音がした。
…勢いよく川から引き抜く?その後、ポチャン?
そして銛の先端には魚がいない…なので、先端は尖ったまま。
ん?何か変だ…尖ったままと言う事は、簡単に抜けない様にする仕掛け…返しが付いていない事になる。
つまり、アレか?アレですか?
釣り針みたいに返しがないから、水の中から銛を引き抜く時に水の抵抗で魚が抜け落ちた…そう言う事ですか?
返しを付け忘れた自分が全部悪いと?今までの苦労は全て無駄だったと?
あまりの出来事と、空腹のあまり…とうとう逆ギレを起こし、SPを全部注ぎ込んだ闘気弾を、眼下の岩に叩き付け、岩を粉砕したのだった…。
42
お気に入りに追加
435
あなたにおすすめの小説

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~
暇人太一
ファンタジー
大学生の星野陽一は高校生三人組に事故を起こされ重傷を負うも、その事故直後に異世界転移する。気づけばそこはテンプレ通りの白い空間で、説明された内容もありきたりな魔王軍討伐のための勇者召喚だった。
白い空間に一人残された陽一に別の女神様が近づき、モフモフを捜して完全復活させることを使命とし、勇者たちより十年早く転生させると言う。
勇者たちとは違い魔王軍は無視して好きにして良いという好待遇に、陽一は了承して異世界に転生することを決める。
転生後に授けられた職業は【トイストア】という万能チート職業だった。しかし世界の常識では『欠陥職業』と蔑まされて呼ばれる職業だったのだ。
それでも陽一が生み出すおもちゃは魔王の心をも鷲掴みにし、多くのモフモフに囲まれながら最強の商人になっていく。
魔術とスキルで無双し、モフモフと一緒におもちゃで遊んだり売ったりする話である。
小説家になろう様でも投稿始めました。

補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く
burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。
最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。
更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。
「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」
様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは?
※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。
突然足元に魔法陣が現れる。
そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―――
※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる