けもの

夢人

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天海の子8

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 高虎は木津川の干拓地に自ら出向いて服部屋にさらに奥の干拓を指示した。狗はそこから服部屋に戻りムササビと鼠の婚礼に顔を出した。鼠は薬問屋の養女として嫁ぐことになった。鼠はこれから服部屋のお内儀として狐に代わり薬売りを束ねることとなる。高虎からも祝い品が届いている。いつまでこの平和が続くのだろうか。
 婚礼が終わって一人堀沿いを歩く。柳の木から影が現れた。すでに頭巾を被った村田与三だ。
「お前は高虎殿の裏にいる忍者の頭だな?」
「どうして?」
「宗矩殿からここに来る時から殺すように言われている」
「村田与三だな?」
「暗峠ではお世話になった」
と同時に居合抜きを見せた。狗は予測していて飛び下がった。続けてすべるように踏み込んでくる。この距離では逃げるしかない。距離をしっかり測っているのだ。半刻与三の攻勢が続く。さすがに息が上がってくる。残念ながら逃げているだけが精一杯なのだ。攻撃すると逆に隙が出るのだ。
「与三、腕を上げたな?」
 後ろから声がかかった。虚無僧が立っている。京之助だ。
「一度手合わせするか?」
 その声に与三が向きを変えた。京之助は剣を抜いて地面に落とした。
「新しい構えですね?」
「受けてみるか?今一番強い柳生の剣士殿?」
 この言葉に怒ったのかがむしゃらに切り込んできたが剣が巻き上げられ飛んでいる。同時に与三が堀に飛び込んだ。












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