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天海の陰謀10

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 江戸から高虎が戻ってきた。さらに津城を加増された。家老より先に狗が高虎の部屋に呼ばれた。
「おめでとうございます」
「ああ、やはり狗の言った通り天海殿を見ながら働いた。天海殿は今までの家康殿の方針とは違って、積極的に秀忠殿を立て次の時代をにらんでいるように思う」
 高虎もツボを心得てきたようだ。それに天海も影武者家康を高虎が薄々悟りながら自分に付いてくることを感じている。
「次は臣下の動きに注意が要ります」
「外様と同じように臣下も今や整理期に入ったようです。家康付と秀忠付を敢えてぶつけるでしょう」
「どちらに付いたらいいのだ?」
「どちらにも付かず天海を見ていることです。とくに家康の下で力を持ったものをこの際整理すると思います。服部と柳生もそうです。その仕上げが家康殿の死去になります」
 今や影武者家康は危険な存在になりつつある。
「それと送られてきた家老と指南役には注意してください。津城には?」
「2日後に行く。また蝙蝠を借りる」
 話が済むと待っていたように家老が指南役を連れて部屋に入った。天井裏にはムササビがいる。狗は城を出ると服部屋の道場に出る。蝙蝠が汗を流している。
「ご苦労」
「ムササビが揚羽と戦ったようですね?」
「村田与三を見たか?」
「ええ先ほど城の道場で見ました。真剣で立ち合うのが怖いですね?」
「家康の様子はどうだった?」
「何度も倒れられて」
「そろそろ天海が仕上げに入るな?」
「私もそう思われます」
「津城にはここから5人を選んで連れて行け」
 蝙蝠は人の心を読むのに長けている忍者だ。










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