けもの

夢人

文字の大きさ
上 下
160 / 199

天海の陰謀4

しおりを挟む
 武家諸法度が秀忠の名で交付された。いよいよ天海の作戦が実施された。蝙蝠とムササビが共同して伊賀内の江戸服部の隠れ家を襲撃した。とくに隠れ家に続く山を管理していた服部の拠点を攻撃した。ここには監視のために20人ほどが詰めている。ここを完全に壊滅した。
「ムササビはいくら出してきた?」
「今のところ10人です。だが恐らく百は超えるでしょう」
 珍しく狼が繋ぎを持って現れた。それで城下の居酒屋に狗は浪人姿で現れた。
「久しぶりです」
 虚無僧姿の京の助だ。
「長居をした。今は私も狗の配下だからな?」
「宗矩殿に会われたのですか?」
「ああ、昔ほどの元気がない。私は服部に狙われているとのことで隠密は辞退した。だが道場におることもできないからな」
「聞かれましたか?」
「ああ、薄々感じられている。私は聞かれぬ方がいいと釘を刺した。それで道場には赤札が出た。死人の札よ。高虎殿は上手く立ち回られているようだな?」
「でもこれからはそうもいかないと見ています。それで伊賀に忍軍を作る予定です」
「では忍軍の用心棒だな」
「天海を揺さぶろうと考えています。力を貸してください」
「後藤基次の亡霊を出そうと思っています。すでに隠れ家からその亡霊が出てきます」
 大坂冬の陣以降狗が狐に探させていたのだ。本人は生き残りの浪人だ。
「奈良までこちらのくノ一が夫婦連れで来ます。狼としばらく漫遊してほしいのです」
 狗は用意してきた路銀を出した。
「繋ぎに薬売り付けます。それと噂は奈良に付かれたことからこちらでばらまきます」
「恐らくこの噂を兄は使うだろうな」





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

新説 呂布奉先伝 異伝

元精肉鮮魚店
歴史・時代
三国志を知っている人なら誰もが一度は考える、 『もし、呂布が良い人だったら』 そんな三国志演義をベースにした、独自解釈込みの 三国志演義です。 三国志を読んだ事が無い人も、興味はあるけどと思っている人も、 触れてみて下さい。

東洋大快人伝

三文山而
歴史・時代
 薩長同盟に尽力し、自由民権運動で活躍した都道府県といえば、有名どころでは高知県、マイナーどころでは福岡県だった。  特に頭山満という人物は自由民権運動で板垣退助・植木枝盛の率いる土佐勢と主導権を奪い合い、伊藤博文・桂太郎といった明治の元勲たちを脅えさせ、大政翼賛会に真っ向から嫌がらせをして東条英機に手も足も出させなかった。  ここにあるのはそんな彼の生涯とその周辺を描くことで、幕末から昭和までの日本近代史を裏面から語る話である。  なろう・アルファポリス・カクヨム・マグネットに同一内容のものを投稿します。

短編歴史小説集

永瀬 史乃
歴史・時代
 徒然なるままに日暮らしスマホに向かひて書いた歴史物をまとめました。  一作品2000〜4000字程度。日本史・東洋史混ざっています。  以前、投稿済みの作品もまとめて短編集とすることにしました。  準中華風、遊郭、大奥ものが多くなるかと思います。  表紙は「かんたん表紙メーカー」様HP にて作成しました。

富嶽を駆けよ

有馬桓次郎
歴史・時代
★☆★ 第10回歴史・時代小説大賞〈あの時代の名脇役賞〉受賞作 ★☆★ https://www.alphapolis.co.jp/prize/result/853000200  天保三年。  尾張藩江戸屋敷の奥女中を勤めていた辰は、身長五尺七寸の大女。  嫁入りが決まって奉公も明けていたが、女人禁足の山・富士の山頂に立つという夢のため、養父と衝突しつつもなお深川で一人暮らしを続けている。  許婚の万次郎の口利きで富士講の大先達・小谷三志と面会した辰は、小谷翁の手引きで遂に富士山への登拝を決行する。  しかし人目を避けるために選ばれたその日程は、閉山から一ヶ月が経った長月二十六日。人跡の絶えた富士山は、五合目から上が完全に真冬となっていた。  逆巻く暴風、身を切る寒気、そして高山病……数多の試練を乗り越え、無事に富士山頂へ辿りつくことができた辰であったが──。  江戸後期、史上初の富士山女性登頂者「高山たつ」の挑戦を描く冒険記。

Millennium226 【軍神マルスの娘と呼ばれた女 6】 ― 皇帝のいない如月 ―

kei
歴史・時代
周囲の外敵をことごとく鎮定し、向かうところ敵なし! 盤石に見えた帝国の政(まつりごと)。 しかし、その政体を覆す計画が密かに進行していた。 帝国の生きた守り神「軍神マルスの娘」に厳命が下る。 帝都を襲うクーデター計画を粉砕せよ!

氷の沸点

藤岡 志眞子
歴史・時代
「狐に幸運、人に仇」の続編。 親戚同士で幼馴染の久尾屋の娘、千陽(ちはる)と、天野 夏以(なつい)は仲が良く初恋同士でもあった。 しかし、恋心が芽生える前から結婚はできないからね、とお互いの両親から言われ続けて年頃を迎える。 薬師見習いとして久尾屋に奉公に上がった夏以は、恋焦がれる千陽に婚約者がいる事を知る。 婚約者の遠原 和葉(とおはら かずは)、本名を天野 桂樹(あまの けいじゅ)。そして入れ替わったもうひとりの人物。 関わる者の過去、繋がりにより急展開していく四人の人生。(狐憑き)の呪いは続くのか。 遠原 和葉目線、天野 桂樹目線、祥庵目線(他、人物目線)と、様々な人物のストーリーが交錯していきます。 伏線回収系ストーリー 36話完結。 (※二十歳以下の登場人物の年齢に三歳足すと現代の感覚に近くなると思います。)

超克の艦隊

蒼 飛雲
歴史・時代
「合衆国海軍ハ 六〇〇〇〇トン級戦艦ノ建造ヲ計画セリ」 米国駐在武官からもたらされた一報は帝国海軍に激震をもたらす。 新型戦艦の質的アドバンテージを失ったと判断した帝国海軍上層部はその設計を大幅に変更することを決意。 六四〇〇〇トンで建造されるはずだった「大和」は、しかしさらなる巨艦として誕生する。 だがしかし、米海軍の六〇〇〇〇トン級戦艦は誤報だったことが後に判明。 情報におけるミスが組織に致命的な結果をもたらすことを悟った帝国海軍はこれまでの態度を一変、貪欲に情報を収集・分析するようになる。 そして、その情報重視への転換は、帝国海軍の戦備ならびに戦術に大いなる変化をもたらす。

乾坤一擲

響 恭也
SF
織田信長には片腕と頼む弟がいた。喜六郎秀隆である。事故死したはずの弟が目覚めたとき、この世にありえぬ知識も同時によみがえっていたのである。 これは兄弟二人が手を取り合って戦国の世を綱渡りのように歩いてゆく物語である。 思い付きのため不定期連載です。

処理中です...