72 / 199
光秀10
しおりを挟む
家康は飛ぶように堺に目がけて走った。狗は濡れた黒装束を脱ぎ坂本城に向かった。潜んでいる蝙蝠を捕まえ本能寺に向かうのだ。すでに光秀は戻っているようだ。狗は天井裏に入ると蝙蝠に声をかけた。
「どうだ?」
「今戻ってきて武将を集めて丹波に出発する話をしていました。その後書斎にこもって文を書いています。今弾正の忍者が6人文を持って走りました」
「斎藤利三は戻ってきているか?」
「いえまだです」
ならばまだ動かないだろう。狗も筆で短い文を書いた。光秀が謀反をするが同調しないようにと書いた。
「これを持って順慶殿を訪ねるのだ。その後本能寺に向かえ」
蝙蝠が去ると書斎の光秀を見詰める。どうも光秀が居眠りを始めたようだ。そこに影が入ってきた。胡蝶だ。
「明日信長は本能寺に向かいます。小姓団を入れて2百ほどです。私も中に入りました」
胡蝶の声にむくっと起きた光秀は果心だ。
「予想外の少なさだ。光秀の付きも残っているな。だが信長を殺した後は見えない。次はやはりあの慎重な家康かもしれぬな」
「私は?」
「信長は死んだも同然だ。堺に向かっている宗矩の元に行くのだ。服部を百ほど回してくれるように念を押してくれ。それと修験者のうちの影隊を2百を本能寺の近くに配置するのだ」
「どうしてですか?」
「どうも光秀のツキもこれで尽きるな」
「体を捨てられるのですか?」
「いや、もう儂には次の体に移る力がない」
果心にも寿命があるようだ。
「お棺はどうしましょう?」
「しばらくは家老に預けておけ」
「彼はどこに?」
「京に店を構えているだろう」
「どうだ?」
「今戻ってきて武将を集めて丹波に出発する話をしていました。その後書斎にこもって文を書いています。今弾正の忍者が6人文を持って走りました」
「斎藤利三は戻ってきているか?」
「いえまだです」
ならばまだ動かないだろう。狗も筆で短い文を書いた。光秀が謀反をするが同調しないようにと書いた。
「これを持って順慶殿を訪ねるのだ。その後本能寺に向かえ」
蝙蝠が去ると書斎の光秀を見詰める。どうも光秀が居眠りを始めたようだ。そこに影が入ってきた。胡蝶だ。
「明日信長は本能寺に向かいます。小姓団を入れて2百ほどです。私も中に入りました」
胡蝶の声にむくっと起きた光秀は果心だ。
「予想外の少なさだ。光秀の付きも残っているな。だが信長を殺した後は見えない。次はやはりあの慎重な家康かもしれぬな」
「私は?」
「信長は死んだも同然だ。堺に向かっている宗矩の元に行くのだ。服部を百ほど回してくれるように念を押してくれ。それと修験者のうちの影隊を2百を本能寺の近くに配置するのだ」
「どうしてですか?」
「どうも光秀のツキもこれで尽きるな」
「体を捨てられるのですか?」
「いや、もう儂には次の体に移る力がない」
果心にも寿命があるようだ。
「お棺はどうしましょう?」
「しばらくは家老に預けておけ」
「彼はどこに?」
「京に店を構えているだろう」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
天啓の雲
古寂湧水 こじゃくゆうすい
歴史・時代
草競馬の馬券師から年収850兆円の世界一の長者へ。痛快無比勝ち組の物語
主人公が陶芸家で仏教派閥の門主という設定ですがロスチャイル〇やロックフェラ〇を叩きのめし世界一の長者まで上り詰めました。
またアフガンやシリアを転宗させて解決をするなどノーベル賞や英国最高のガーター勲章や仏国のレジオンドヌール勲章を受勲。
茶道の千利休や小堀遠州も出てきて楽しませてくれます。まあ、利休は秀吉に尿瓶をルソン壺の茶壷として売ったのが発覚して殺されたことになっていますけれどね。
見どころはK国に盗まれた仏像の奪還に露死阿の大統領公邸に桐野利秋や村田新八の薩摩軍に新選組それに新門辰五郎や清水次郎長に国定忠治の任侠連合軍が突入するところです。
四菱重工や四菱商事にユニシロの企業買収もやっていますが、勝ち組の物語ですのでどうぞお楽しみください。でも、なんといっても最高のウリは作者の発想力ですかね。はっはっはっ。
☆ほぼ毎日更新をしています☆
マルチバース豊臣家の人々
かまぼこのもと
歴史・時代
1600年9月
後に天下人となる予定だった徳川家康は焦っていた。
ーーこんなはずちゃうやろ?
それもそのはず、ある人物が生きていたことで時代は大きく変わるのであった。
果たして、この世界でも家康の天下となるのか!?
そして、豊臣家は生き残ることができるのか!?
堤の高さ
戸沢一平
歴史・時代
葉山藩目付役高橋惣兵衛は妻を亡くしてやもめ暮らしをしている。晩酌が生き甲斐の「のんべえ」だが、そこにヨネという若い新しい下女が来た。
ヨネは言葉が不自由で人見知りも激しい、いわゆる変わった女であるが、物の寸法を即座に正確に言い当てる才能を持っていた。
折しも、藩では大規模な堤の建設を行なっていたが、その検査を担当していた藩士が死亡する事故が起こった。
医者による検死の結果、その藩士は殺された可能性が出て来た。
惣兵衛は目付役として真相を解明して行くが、次第に、この堤建設工事に関わる大規模な不正の疑惑が浮上して来る。
氷の沸点
藤岡 志眞子
歴史・時代
「狐に幸運、人に仇」の続編。
親戚同士で幼馴染の久尾屋の娘、千陽(ちはる)と、天野 夏以(なつい)は仲が良く初恋同士でもあった。
しかし、恋心が芽生える前から結婚はできないからね、とお互いの両親から言われ続けて年頃を迎える。
薬師見習いとして久尾屋に奉公に上がった夏以は、恋焦がれる千陽に婚約者がいる事を知る。
婚約者の遠原 和葉(とおはら かずは)、本名を天野 桂樹(あまの けいじゅ)。そして入れ替わったもうひとりの人物。
関わる者の過去、繋がりにより急展開していく四人の人生。(狐憑き)の呪いは続くのか。
遠原 和葉目線、天野 桂樹目線、祥庵目線(他、人物目線)と、様々な人物のストーリーが交錯していきます。
伏線回収系ストーリー
36話完結。
(※二十歳以下の登場人物の年齢に三歳足すと現代の感覚に近くなると思います。)
Millennium226 【軍神マルスの娘と呼ばれた女 6】 ― 皇帝のいない如月 ―
kei
歴史・時代
周囲の外敵をことごとく鎮定し、向かうところ敵なし! 盤石に見えた帝国の政(まつりごと)。
しかし、その政体を覆す計画が密かに進行していた。
帝国の生きた守り神「軍神マルスの娘」に厳命が下る。
帝都を襲うクーデター計画を粉砕せよ!
パスカルからの最後の宿題
尾方佐羽
歴史・時代
科学者、哲学者として有名なパスカルが人生の最後に取り組んだ大仕事は「パリの街に安価な乗合馬車」を走らせることだった。彼が最後の仕事に託した思いは何だったのか。親友のロアネーズ公爵は彼の思考のあとを追う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる