けもの

夢人

文字の大きさ
上 下
27 / 199

反逆1

しおりを挟む
 弾正は京にいることが多くなった。昔の三好の館に入っている。順慶から京之助の応援に京に入ってくれと言う要請があった。それで揚羽を京の色町に送ることにした。彼女は全く揚羽としての素振りを見せることはない。だが別のくノ一を弾正の屋敷の女中にいれた。年寄りも彼女の繋ぎで入れている。それと揚羽には鼠を張り付かせた。
 狗は遅れて下忍を2人商人姿で連れて近くの旅籠に入った。猿には洞窟の年寄りを張り付けている。彼も揚羽の引き込み以外はとくに動きがない。
「3月ぶりですね?ずっと京にいるのですか?」
 待ち合わせの居酒屋だ。京之助は浪人の格好だ。
「弾正の動きが怪しい。それで内偵をしている。彼の屋敷には2千の兵がいる。それだけじゃなく大和周辺からさらに1千の兵を伏見に集めている」
 京之助は纏めた手控えを狗に見せる。
「最近は堺の商人に紹介してもらって秀吉とも会っている」
「秀吉は弾正びいきでは?」
「それが彼も最近は動きを警戒している。今は弾正は明智光秀と親しい。どうも昔からの縁があるようだ」
「赤松と密会しているようですね?」
 赤松は昔は敵対していたはずだだが?
「前回密会を張っていたら赤松の甲賀に襲われて下忍を2人失った。甲賀は集団戦法だ。気を付けることだ。とにかく密会を探ってくれ?」
 京之助と別れてさっそく始めて弾正の屋敷に潜った。天井裏に入ると下忍が守っている。それで隣室に潜んだ。ここにも侍が控えていたが眠らせた。覗くと弾正が呆けたような顔で座っている。寝ているのか?生気が感じられない。果心居士と弾正の関係はどうなのだろう?
「夜に赤松の繋ぎが来ますが?」
 見たことがある家老が部屋を覗く。ゆっくり目が開いて、
「誰が来る?」
「甲賀の頭が手紙を持ってくると?」
「やっと決心したのか?」
 だがまだ惰性でしゃべっているような感じだ。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

パスカルからの最後の宿題

尾方佐羽
歴史・時代
科学者、哲学者として有名なパスカルが人生の最後に取り組んだ大仕事は「パリの街に安価な乗合馬車」を走らせることだった。彼が最後の仕事に託した思いは何だったのか。親友のロアネーズ公爵は彼の思考のあとを追う。

東洋大快人伝

三文山而
歴史・時代
 薩長同盟に尽力し、自由民権運動で活躍した都道府県といえば、有名どころでは高知県、マイナーどころでは福岡県だった。  特に頭山満という人物は自由民権運動で板垣退助・植木枝盛の率いる土佐勢と主導権を奪い合い、伊藤博文・桂太郎といった明治の元勲たちを脅えさせ、大政翼賛会に真っ向から嫌がらせをして東条英機に手も足も出させなかった。  ここにあるのはそんな彼の生涯とその周辺を描くことで、幕末から昭和までの日本近代史を裏面から語る話である。  なろう・アルファポリス・カクヨム・マグネットに同一内容のものを投稿します。

富嶽を駆けよ

有馬桓次郎
歴史・時代
★☆★ 第10回歴史・時代小説大賞〈あの時代の名脇役賞〉受賞作 ★☆★ https://www.alphapolis.co.jp/prize/result/853000200  天保三年。  尾張藩江戸屋敷の奥女中を勤めていた辰は、身長五尺七寸の大女。  嫁入りが決まって奉公も明けていたが、女人禁足の山・富士の山頂に立つという夢のため、養父と衝突しつつもなお深川で一人暮らしを続けている。  許婚の万次郎の口利きで富士講の大先達・小谷三志と面会した辰は、小谷翁の手引きで遂に富士山への登拝を決行する。  しかし人目を避けるために選ばれたその日程は、閉山から一ヶ月が経った長月二十六日。人跡の絶えた富士山は、五合目から上が完全に真冬となっていた。  逆巻く暴風、身を切る寒気、そして高山病……数多の試練を乗り越え、無事に富士山頂へ辿りつくことができた辰であったが──。  江戸後期、史上初の富士山女性登頂者「高山たつ」の挑戦を描く冒険記。

短編歴史小説集

永瀬 史乃
歴史・時代
 徒然なるままに日暮らしスマホに向かひて書いた歴史物をまとめました。  一作品2000〜4000字程度。日本史・東洋史混ざっています。  以前、投稿済みの作品もまとめて短編集とすることにしました。  準中華風、遊郭、大奥ものが多くなるかと思います。  表紙は「かんたん表紙メーカー」様HP にて作成しました。

天啓の雲

古寂湧水 こじゃくゆうすい
歴史・時代
草競馬の馬券師から年収850兆円の世界一の長者へ。痛快無比勝ち組の物語 主人公が陶芸家で仏教派閥の門主という設定ですがロスチャイル〇やロックフェラ〇を叩きのめし世界一の長者まで上り詰めました。 またアフガンやシリアを転宗させて解決をするなどノーベル賞や英国最高のガーター勲章や仏国のレジオンドヌール勲章を受勲。 茶道の千利休や小堀遠州も出てきて楽しませてくれます。まあ、利休は秀吉に尿瓶をルソン壺の茶壷として売ったのが発覚して殺されたことになっていますけれどね。 見どころはK国に盗まれた仏像の奪還に露死阿の大統領公邸に桐野利秋や村田新八の薩摩軍に新選組それに新門辰五郎や清水次郎長に国定忠治の任侠連合軍が突入するところです。 四菱重工や四菱商事にユニシロの企業買収もやっていますが、勝ち組の物語ですのでどうぞお楽しみください。でも、なんといっても最高のウリは作者の発想力ですかね。はっはっはっ。 ☆ほぼ毎日更新をしています☆

仕合せ屋捕物控

綿涙粉緒
歴史・時代
「蕎麦しかできやせんが、よございますか?」 お江戸永代橋の袂。 草木も眠り、屋の棟も三寸下がろうかという刻限に夜な夜な店を出す屋台の蕎麦屋が一つ。 「仕合せ屋」なんぞという、どうにも優しい名の付いたその蕎麦屋には一人の親父と看板娘が働いていた。 ある寒い夜の事。 そばの香りに誘われて、ふらりと訪れた侍が一人。 お江戸の冷たい夜気とともに厄介ごとを持ち込んできた。 冷たい風の吹き荒れるその厄介ごとに蕎麦屋の親子とその侍で立ち向かう。

博学英才の【太子】と、【日御子】の超常能力を受け継いだ【刀自古姫御子】

古代雅之
歴史・時代
  3世紀に崩御した倭国女王・日御子(卑弥呼)の直系子女である【蘇我刀自古郎女】と不世出の博学英才の【厩戸王太子】の波乱万丈の恋を主軸に、飛鳥時代を生き生きと描いた作品である。   先ず、蘇我本宗家の人々は、王権を簒奪しようとして暗殺された蘇我入鹿(日本書紀)に代表される世紀の大悪人ではなく、新進気鋭の革新的改革者であった、との【説】に基づいての物語でもある。 また、随所に、正史とされる「日本書紀」の記述とは異なる見解になっている事もご理解願いたい。 【馬子】は【馬子にも衣装】の馬子ではなく、【騎馬一騎は歩兵十数人を蹴散らす】の馬であり、現代の【自家用垂直離着陸機】に匹敵する尊称だと云われている。 同様に、【厩戸】は江戸時代の【馬小屋】ではなく、飛鳥時代の【自家用垂直離着陸機格納庫】のイメージとお考えいただきたい。  それに、敢えて、この飛鳥時代を撰んだのは、あまりにも謎が多いからである。 最も顕著な謎は、643年の【斑鳩宮襲撃事件】であろう! 『日本書紀』によると、何故か、【斑鳩宮】に【故太子】の夫人達、子供達、その孫達(総計100人以上!?)が集結し、僅か百人余の兵に攻められ、一族全員が、荒唐無稽な自害に追い込まれた・・・とある。  仮に、一つの【説】として、「【法隆寺】に太子とその一族が祀られているのではないか!?」と云われるのなら、【山背大兄王】とは単なる【その一族の一人】に過ぎない小物なのだろうか?否!模した仏像の一体位はあって然るべきなのではないだろうか!?  いずれにせよ、【山背大兄王】のみならず、【蘇我入鹿】、【皇極大王】、【高向王】や【漢御子】までもが謎だらけなのである。 この作品の前半は【太子】と【刀自古妃】が中心となり、後半は【刀自古妃(尊光上人)】と孫の【大海人王子】が中心となり、【天武天皇即位】までが描かれている。

処理中です...