けもの

夢人

文字の大きさ
上 下
21 / 199

秘密8

しおりを挟む
 ここ数日入ってきた抜け忍のくノ一を見ているが揚羽とは思えない。それ程の化けぶりだ。猿も接触をしない。ただ猿以外も警戒して鼠だけを張り付けている。男に使うくノ一は狗が一度抱くことになっている。それで能力を見定める。これは獅子の仕事だったが今は頭の狗の仕事だ。
「頭、くノ一が控えています」
 猿が声をかけてきた。部屋に入ると全裸で大の字に仰向けに寝ている。狗は帯を解くとまずくノ一の髪を探る。簪類を警戒している。次に下を見ると毛が生えていない。狐も無毛だ。万が一を考えて天井裏に鼠を潜ませている。鼠は足の速さが得意技だが吹き矢も得意だ。
 狗はくノ一の膣の中に指を入れる。何も隠し持っていない。次に尻の穴に入れる。くノ一の視線が狗を捕えている。狗はその指を舐める。毒が塗られていたらすぐにわかる。微かに微笑んだようだ。隙があれば必ず仕掛けてくるだろう。ゆっくりと刺しいれる。直ぐに濡れてくる。締め付けが強烈だ。狐と同じ形状だ。
 微かに喘ぎながら口を求めてくる。狗は顔を反らすように逃げる。毒もあるが舌を噛み切られる恐れがある。揚羽も猿が見破られていると思っていないのでくノ一になり切っている。狗のものがはちきれそうになっている。精を出した時が一番危ない。だが堪えきれない。
「行ってください」
 これは狗の負けだ。どうも今回は狗とのまぐわいを楽しんだ風だ。
 部屋を出ると自分の部屋に戻った。もう鼠が部屋に降りてきている。
「怪しい点はあったか?」
「いいえ。でも頭は行ったでしょう?」
「狐には内緒だ。鼠はこの文を覚えて狐に伝えてくれ」
 修験者について調べるように伝えた。
 それから狗は部屋を出て猿にこのくノ一を次の組に入れるように伝えた。今度は筒井が奪われた出城に向かう。出城の再調査だ。このくノ一と下忍を2人を選んだ。ここで揚羽を試してみようと思っている。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

仕合せ屋捕物控

綿涙粉緒
歴史・時代
「蕎麦しかできやせんが、よございますか?」 お江戸永代橋の袂。 草木も眠り、屋の棟も三寸下がろうかという刻限に夜な夜な店を出す屋台の蕎麦屋が一つ。 「仕合せ屋」なんぞという、どうにも優しい名の付いたその蕎麦屋には一人の親父と看板娘が働いていた。 ある寒い夜の事。 そばの香りに誘われて、ふらりと訪れた侍が一人。 お江戸の冷たい夜気とともに厄介ごとを持ち込んできた。 冷たい風の吹き荒れるその厄介ごとに蕎麦屋の親子とその侍で立ち向かう。

東洋大快人伝

三文山而
歴史・時代
 薩長同盟に尽力し、自由民権運動で活躍した都道府県といえば、有名どころでは高知県、マイナーどころでは福岡県だった。  特に頭山満という人物は自由民権運動で板垣退助・植木枝盛の率いる土佐勢と主導権を奪い合い、伊藤博文・桂太郎といった明治の元勲たちを脅えさせ、大政翼賛会に真っ向から嫌がらせをして東条英機に手も足も出させなかった。  ここにあるのはそんな彼の生涯とその周辺を描くことで、幕末から昭和までの日本近代史を裏面から語る話である。  なろう・アルファポリス・カクヨム・マグネットに同一内容のものを投稿します。

命の番人

小夜時雨
歴史・時代
時は春秋戦国時代。かつて名を馳せた刀工のもとを一人の怪しい男が訪ねてくる。男は刀工に刀を作るよう依頼するが、彼は首を縦には振らない。男は意地になり、刀を作ると言わぬなら、ここを動かぬといい、腰を下ろして--。 二人の男の奇妙な物語が始まる。

富嶽を駆けよ

有馬桓次郎
歴史・時代
★☆★ 第10回歴史・時代小説大賞〈あの時代の名脇役賞〉受賞作 ★☆★ https://www.alphapolis.co.jp/prize/result/853000200  天保三年。  尾張藩江戸屋敷の奥女中を勤めていた辰は、身長五尺七寸の大女。  嫁入りが決まって奉公も明けていたが、女人禁足の山・富士の山頂に立つという夢のため、養父と衝突しつつもなお深川で一人暮らしを続けている。  許婚の万次郎の口利きで富士講の大先達・小谷三志と面会した辰は、小谷翁の手引きで遂に富士山への登拝を決行する。  しかし人目を避けるために選ばれたその日程は、閉山から一ヶ月が経った長月二十六日。人跡の絶えた富士山は、五合目から上が完全に真冬となっていた。  逆巻く暴風、身を切る寒気、そして高山病……数多の試練を乗り越え、無事に富士山頂へ辿りつくことができた辰であったが──。  江戸後期、史上初の富士山女性登頂者「高山たつ」の挑戦を描く冒険記。

Millennium226 【軍神マルスの娘と呼ばれた女 6】 ― 皇帝のいない如月 ―

kei
歴史・時代
周囲の外敵をことごとく鎮定し、向かうところ敵なし! 盤石に見えた帝国の政(まつりごと)。 しかし、その政体を覆す計画が密かに進行していた。 帝国の生きた守り神「軍神マルスの娘」に厳命が下る。 帝都を襲うクーデター計画を粉砕せよ!

短編歴史小説集

永瀬 史乃
歴史・時代
 徒然なるままに日暮らしスマホに向かひて書いた歴史物をまとめました。  一作品2000〜4000字程度。日本史・東洋史混ざっています。  以前、投稿済みの作品もまとめて短編集とすることにしました。  準中華風、遊郭、大奥ものが多くなるかと思います。  表紙は「かんたん表紙メーカー」様HP にて作成しました。

パスカルからの最後の宿題

尾方佐羽
歴史・時代
科学者、哲学者として有名なパスカルが人生の最後に取り組んだ大仕事は「パリの街に安価な乗合馬車」を走らせることだった。彼が最後の仕事に託した思いは何だったのか。親友のロアネーズ公爵は彼の思考のあとを追う。

超克の艦隊

蒼 飛雲
歴史・時代
「合衆国海軍ハ 六〇〇〇〇トン級戦艦ノ建造ヲ計画セリ」 米国駐在武官からもたらされた一報は帝国海軍に激震をもたらす。 新型戦艦の質的アドバンテージを失ったと判断した帝国海軍上層部はその設計を大幅に変更することを決意。 六四〇〇〇トンで建造されるはずだった「大和」は、しかしさらなる巨艦として誕生する。 だがしかし、米海軍の六〇〇〇〇トン級戦艦は誤報だったことが後に判明。 情報におけるミスが組織に致命的な結果をもたらすことを悟った帝国海軍はこれまでの態度を一変、貪欲に情報を収集・分析するようになる。 そして、その情報重視への転換は、帝国海軍の戦備ならびに戦術に大いなる変化をもたらす。

処理中です...