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光秀の天下18
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2刻も影武者の軍が丘に留まったままだ。真田軍が家康の先鋒を突き破って家康の本隊に食い込んだ。
「この辺りが真田軍の限界だろう。後藤又兵衛に真田の代わりに前に出るように伝えろ」
半蔵の声を聞いて騎馬が走り出す。この丘に立つのも予定通りだったようだ。何とも見晴しのよい場所だ。すでに秀忠の旗を下げている。その後方を秀忠の軍が行軍を始めた。これを指揮しているのは天海だ。まるで真田軍が家康の軍を追い上げるように動いている。恐らく戦場では事態は全く見えないだろう。
無傷の後藤又兵衛の軍が真田の中から急に現れた。
「宗矩が邪魔だ。家康だけを前に引き出すのだ」
との声で30頭の騎馬が家康の旗を付け走り出した。朱雀は影武者の側にいる。影武者を操っるのは唯一天海だけなのか。兜の中の影武者の目を見る。やはり戦場の様子を追いかけているようだ。もし式神ならばかけた術の親の命令を聞く。だが式神は操り人形ではない。独自の考えも育っていくものだ。朱雀も大婆に術を掛けられ鬼女に譲られたがもはや自分の意志で動けるようになった。
服部の騎馬隊が真田軍を蹴散らし家康を警護しながら宗矩から巧みに引き離している。もう宗矩からは家康は見えないだろう。家康を守っているのは服部を覗いて50人ほどになっている。遂に後藤又兵衛の軍が突っ込んだ。家康からすると急に現れたとしか思えない。服部の騎馬はいつの間にか消えている。
影武者がゆっくりと騎馬に跨る。これには半蔵は驚いたようだ。朱雀は並んで騎馬に跨った。騎馬がゆっくりと戦場に向かう。家康は遂に又兵衛の兵に取り囲まれた。もう半刻のところで秀忠の軍が止まっている。逃げようとする真田軍と対峙しているのだが天海は追わせていない。
その時又兵衛の槍が家康を馬から叩き落とした。と同時に影武者が半蔵より早く動き出した。並んで進みながら朱雀は落ちた家康を一突きした又兵衛を見た。又兵衛は突き刺すともう関心がなさそうに撤退の命を出して引き上げ始めた。これも約束の内だろう。影武者の騎馬が思いがけず走り出して空馬になった家康の馬に飛び移っている。朱雀が転げ落ちている家康の兜を影武者に渡す。半蔵は家康の首を搔き切ると布に包むと僅かの騎馬を連れて走り去る。
そこに待っていたように秀忠の軍が合流する。もう家康の影武者は家康そのものとなった。天海が家康の側に寄り添って、
「お疲れでした」
と声をかけた。家康は軽く頷くと馬に鞭を入れて大坂城に向かって走り出す。追い付いてきた家康の本隊がそれに続く。今まで影武者を取り巻いていた服部は姿を消し予定されていた3人と朱雀だけが従った。どういうわけか家康から槍を朱雀は渡されたのだ。
「この辺りが真田軍の限界だろう。後藤又兵衛に真田の代わりに前に出るように伝えろ」
半蔵の声を聞いて騎馬が走り出す。この丘に立つのも予定通りだったようだ。何とも見晴しのよい場所だ。すでに秀忠の旗を下げている。その後方を秀忠の軍が行軍を始めた。これを指揮しているのは天海だ。まるで真田軍が家康の軍を追い上げるように動いている。恐らく戦場では事態は全く見えないだろう。
無傷の後藤又兵衛の軍が真田の中から急に現れた。
「宗矩が邪魔だ。家康だけを前に引き出すのだ」
との声で30頭の騎馬が家康の旗を付け走り出した。朱雀は影武者の側にいる。影武者を操っるのは唯一天海だけなのか。兜の中の影武者の目を見る。やはり戦場の様子を追いかけているようだ。もし式神ならばかけた術の親の命令を聞く。だが式神は操り人形ではない。独自の考えも育っていくものだ。朱雀も大婆に術を掛けられ鬼女に譲られたがもはや自分の意志で動けるようになった。
服部の騎馬隊が真田軍を蹴散らし家康を警護しながら宗矩から巧みに引き離している。もう宗矩からは家康は見えないだろう。家康を守っているのは服部を覗いて50人ほどになっている。遂に後藤又兵衛の軍が突っ込んだ。家康からすると急に現れたとしか思えない。服部の騎馬はいつの間にか消えている。
影武者がゆっくりと騎馬に跨る。これには半蔵は驚いたようだ。朱雀は並んで騎馬に跨った。騎馬がゆっくりと戦場に向かう。家康は遂に又兵衛の兵に取り囲まれた。もう半刻のところで秀忠の軍が止まっている。逃げようとする真田軍と対峙しているのだが天海は追わせていない。
その時又兵衛の槍が家康を馬から叩き落とした。と同時に影武者が半蔵より早く動き出した。並んで進みながら朱雀は落ちた家康を一突きした又兵衛を見た。又兵衛は突き刺すともう関心がなさそうに撤退の命を出して引き上げ始めた。これも約束の内だろう。影武者の騎馬が思いがけず走り出して空馬になった家康の馬に飛び移っている。朱雀が転げ落ちている家康の兜を影武者に渡す。半蔵は家康の首を搔き切ると布に包むと僅かの騎馬を連れて走り去る。
そこに待っていたように秀忠の軍が合流する。もう家康の影武者は家康そのものとなった。天海が家康の側に寄り添って、
「お疲れでした」
と声をかけた。家康は軽く頷くと馬に鞭を入れて大坂城に向かって走り出す。追い付いてきた家康の本隊がそれに続く。今まで影武者を取り巻いていた服部は姿を消し予定されていた3人と朱雀だけが従った。どういうわけか家康から槍を朱雀は渡されたのだ。
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