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光秀の天下7
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蝦蟇から繋ぎが入った。堺の港に南蛮船が付いたというのだ。久しぶりに小猿が船長で戻ってきたのだ。大坂城から走った。夕暮れの港にすでに南蛮船が泊まっている。荷がまさに降ろされている。
「小猿!立派になったな」
船長帽で敬礼した。小猿を連れて戻るともう蝦蟇や揚羽が席についている。
「どうだみんなは?」
「元気ですよ。静香さんからこれを預かった来ました」
これは空を飛ぶための布だ。なかなかいいのが見つからないのだ。これは上質の絹で何枚も張り合わされている。今のは果心から教えられた手法で静香が作ってくれたものだ。
「どうぞ」
小猿がみんなに赤い液を汲んでいる。
「これは向こうではよく飲まれています」
「秀吉も飲んでいたわ」
揚羽が美味しそうに飲んで言う。
「今回は?」
「今回も武器と火薬です。大坂城に納入するとのことです」
まだ宗久が治長から依頼を受けているのだ。
「これは三成殿です。すべて三成殿の蔵に入れるということです。調達は治長殿からですが」
「武闘派に渡さぬためだ」
手を結んだのか。治長は自らの口では何も言わない。すべて淀殿を通して言わせる。揚羽は治長を見張っているのだ。
「いつ戻るのだ?」
「大坂城から金銀が届くまでいます」
「宗久殿は?」
「まだ大坂に残られます。何か治長殿と決めごとがあるようです」
決めごと?朱雀は揚羽の顔を見る。
「分からないわ」
今度は宗久殿を見張るしかないか。こちらに知らせていないことがあるようだ。この時家康が加賀征伐の命を出した。と同時に家康は大坂城に入城した。三成は先手を取られたことになる。宗矩が役目をこなしたことになる。
「小猿!立派になったな」
船長帽で敬礼した。小猿を連れて戻るともう蝦蟇や揚羽が席についている。
「どうだみんなは?」
「元気ですよ。静香さんからこれを預かった来ました」
これは空を飛ぶための布だ。なかなかいいのが見つからないのだ。これは上質の絹で何枚も張り合わされている。今のは果心から教えられた手法で静香が作ってくれたものだ。
「どうぞ」
小猿がみんなに赤い液を汲んでいる。
「これは向こうではよく飲まれています」
「秀吉も飲んでいたわ」
揚羽が美味しそうに飲んで言う。
「今回は?」
「今回も武器と火薬です。大坂城に納入するとのことです」
まだ宗久が治長から依頼を受けているのだ。
「これは三成殿です。すべて三成殿の蔵に入れるということです。調達は治長殿からですが」
「武闘派に渡さぬためだ」
手を結んだのか。治長は自らの口では何も言わない。すべて淀殿を通して言わせる。揚羽は治長を見張っているのだ。
「いつ戻るのだ?」
「大坂城から金銀が届くまでいます」
「宗久殿は?」
「まだ大坂に残られます。何か治長殿と決めごとがあるようです」
決めごと?朱雀は揚羽の顔を見る。
「分からないわ」
今度は宗久殿を見張るしかないか。こちらに知らせていないことがあるようだ。この時家康が加賀征伐の命を出した。と同時に家康は大坂城に入城した。三成は先手を取られたことになる。宗矩が役目をこなしたことになる。
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