式神

夢人

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光秀の天下3

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 今や宗久の大坂店は引き上げいて逆に賀茂家の大坂の薬問屋の2階に泊まっていた。大坂の薬問屋も一時は10人ほどの式神がいたが今はその半分で年寄りばかりだ。すでに式神の半分はアユタヤに行ったことになる。宗久に前にはやはり揚羽が座っている。揚羽は今は薬売りの再配置とさらにアユタヤに向かうものを選んでいる。
「朱雀か?」
 戻ってきた朱雀の気配にすぐに揚羽が気づいた。
「大野治長より仕事を受けられたのですね?」
「朱雀には内緒はかなわんな?」
 どうも治長とはずいぶん前から話があったようだ。その繋ぎを揚羽がしていたことになる。
「治長は三成の危うさを感じているのだよ。表向きは三成の傘下にいることになっているがもっと緩やかな連合政権のようなものを探っている。だから家康とも細川藤孝を通じてパイプを持っている」
「何をしようと?」
「具体的には真田幸村、長宗我部盛親、後藤又兵衛、毛利勝永、明石全登ら浪人をすでに呼び込んでいる。私には平戸島から入る鉄砲や火薬や大砲を今回求めてきている」
「どうされるのですか?」
「もちろん商売人だから受けるさ。太閤の金塊は凄いものだからな」
「家康もこの金塊を狙っている。この金塊が豊臣政権の最後の武器なのだ。すでにこの金塊は堺の南蛮船に運び込まれて武器は積み込まれている。修験者が大坂城に荷を運び込んだ」
 揚羽がこの金塊に詳しい。やはりまだ宗久は揚羽を使っていたのだ。
「だがこの政権は危うい。さらに徳川になればもっと動きがたくなるな」
「アユタヤには行かれましたか?」
「いや、報告だけは聞いている。日本人村に式神の村ができて自給自足できるところまで来ている。今造船所も作り始めているのだ」
「造船所を?」
「平戸島でももう大船は作れなくなるだろう」
「しばらく大坂に?」
「もう一度治長に会う。しばらく厄介になるぞ」



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