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新生7
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「桟橋に付けたらもう卒業だ」
小猿の舵取りを見て老船長が朱雀に言った。賑やかな港だ。
「釜山と言う南の方にある港だ。昔は日本の商人も多く来ていた。だが今は和寇が出るのでずいぶん減った。ここは昔はよく寄った港だ。1泊で荷を降ろし積み込む」
桟橋には荷車が並んでいて荷を運び出す。朱雀は老船長に連れられ港の酒飯店に連れられて行く。そこで宗久の小番頭が地元の商人と取引をしている。朱雀は小猿と離れたテーブルに掛ける。老船長はここでは馴染みの妓楼で泊まるという。しきりに朱雀を誘ったが断った。
「思ったのだが賀茂家も交易をしようと思う。しばらくは宗久様の曲りだがな?」
「私もそう思っていたのです。南蛮船を買いましょう?」
「まだそんな金はない。だが今度は5人ほど式神を連れて来よう」
今回賀茂家の薬の評判のいいことも分かった。朝鮮人参を入れたものをかやが作ろうとしている。それと金銀を積めば南蛮船も夢ではないかもしれない。横のテーブルから日本語が聞こえてきて酒を飲む手を止めた。
「釜山の店は今回で閉めろということだ」
「それはどういうことで?」
一人は朝鮮の商人だ。日本語を話すようだ。
「まだ極秘だが我が主の話だが来年にも朝鮮に秀吉軍が押し寄せてくるそうだ」
「その主とは?」
「小西行長様です」
その名を聞いて朱雀は小猿の目を見た。
「小西様は交易で益を上げてきたはずですが?」
「だから形だけで済まそうとされている。とは言え戦いを起こさないと和解もできないとなあ」
「こちらも急がないとなあ」
朱雀が呟いた。しばらく朝鮮のこの港にも寄れない。博多町も無理になるかもしれない。これは宗久に相談をしておこう。
小猿の舵取りを見て老船長が朱雀に言った。賑やかな港だ。
「釜山と言う南の方にある港だ。昔は日本の商人も多く来ていた。だが今は和寇が出るのでずいぶん減った。ここは昔はよく寄った港だ。1泊で荷を降ろし積み込む」
桟橋には荷車が並んでいて荷を運び出す。朱雀は老船長に連れられ港の酒飯店に連れられて行く。そこで宗久の小番頭が地元の商人と取引をしている。朱雀は小猿と離れたテーブルに掛ける。老船長はここでは馴染みの妓楼で泊まるという。しきりに朱雀を誘ったが断った。
「思ったのだが賀茂家も交易をしようと思う。しばらくは宗久様の曲りだがな?」
「私もそう思っていたのです。南蛮船を買いましょう?」
「まだそんな金はない。だが今度は5人ほど式神を連れて来よう」
今回賀茂家の薬の評判のいいことも分かった。朝鮮人参を入れたものをかやが作ろうとしている。それと金銀を積めば南蛮船も夢ではないかもしれない。横のテーブルから日本語が聞こえてきて酒を飲む手を止めた。
「釜山の店は今回で閉めろということだ」
「それはどういうことで?」
一人は朝鮮の商人だ。日本語を話すようだ。
「まだ極秘だが我が主の話だが来年にも朝鮮に秀吉軍が押し寄せてくるそうだ」
「その主とは?」
「小西行長様です」
その名を聞いて朱雀は小猿の目を見た。
「小西様は交易で益を上げてきたはずですが?」
「だから形だけで済まそうとされている。とは言え戦いを起こさないと和解もできないとなあ」
「こちらも急がないとなあ」
朱雀が呟いた。しばらく朝鮮のこの港にも寄れない。博多町も無理になるかもしれない。これは宗久に相談をしておこう。
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