式神

夢人

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大返し20

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 揚羽は警備と言うことで天井裏に潜った。朱雀は戻ったことをしばらく伏せること揚羽に伝えて天井裏に揚羽と共にいる。家臣団を統括しているのは今までは柴田勝家である。もちろん自らが後裔になることはできない。それぞれが信長の息子を押すのだ。だが実権は押した家臣が握る。それは了解済みだ。
 前予想では手を上げている信長の二男・織田信雄と信長の三男・織田信孝の争いと見られている。
「柴田勝家と秀吉様の密会は見ていないのか?」
「石田三成が牛耳っていてどこで会ったのかも分からないわ。とくに黒田官兵衛を外してからみんなは外されている」
 勝家が会議を始めたが二人は当然のように信雄と信孝を外した。牛耳ろうとするものにはこの二人は不都合だから誰も反対せずすんなり決まった。これが二人が根回しをした内容だったのだ。
「だが自らが名乗りを上げるわけにはいかないのだろう?」
「もちろんよ」
「誰を押すかの話も聞いていないのか?」
「これも三成よ」
 そう言っている間に急に信長の嫡孫である三法師の名が出て来た。だが勝家も簡単に賛成する。どこまで話が出来ているのか。それであれば三成の根回しもなかなかのものだ。続けて勝家のお市との婚姻を告げる。これが光秀の餌だったのだ。
「三成をこれからは探る必要があるな?」
 この時秀吉が三法師の後押しする結果になる施策を淡々と述べる。この時勝家の表情が変わる。三成の根回しと違うようだ。だが他の2人は秀吉に賛成する。すでにこの2人は別に根回しをしていたようだ。勝家にとってこれは騙しだ。
「これは戦になるぞ。これも三成の作戦なのか?」
「確かに今までの秀吉様のやり方ではないわ」
 秀吉が方針を変えたのか。三成が暗に組んで仕掛けているのか。黒田官兵衛の策はどちらかと言うと時をかけてじっくりと絵を描く。三成は大胆な速攻だ。
「どちらにしても揚羽は勝家の元の潜るべきだな。私は黒田官兵衛とともに三成を探る」 
 揚羽には秀吉に関白の文を託した。




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