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大返し4
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礫の手配で朱雀は秀吉だけがいる部屋に天井裏から降りた。
「ご苦労」
「すでに黒田官兵衛様から話は?」
「いやない。あれはここ数日落ち着きがない」
「これは細川藤孝の文です。まず読まれてお聞きください」
秀吉は文を見たまま目を大きく見開き指が震えている。もちろん朱雀も中を見ていない。恐ろしく長い時だ。だが時にすればほんのわずかだ。
「光秀が?」
「はい。本能寺で討たれました。だがこれは信長様が仕掛けられた罠だったのです」
「罠を仕掛けられたか?罠の好きな方よ。用意していた信忠様の兵が来れず、黒田官兵衛様の手のものが逃げ道を塞ぎました」
「やはり官兵衛が係わっていたのだな?光秀から怪しい文が届いたので心配していたのだ。家康殿は?」
「動かれなかったようです」
「だろうな。殿を討っても先が見えないからのう」
その時小姓の声がして秀吉は上がれと言う手ぶりをした。朱雀が天井裏に登る。部屋に入って来たのは黒田官兵衛だ。
「只今毛利に向かう忍者を捕えました」
蠍のことを言っているのだろう。秀吉は驚いたような顔をしている。
「本能寺で光秀に討たれたそうです」
だが秀吉は黙って何も言わない。官兵衛の出方を見ているのだ。
「天下を盗られませい」
「盗れるかな?」
「毛利とは和解をすぐに。引き返す準備に入ります。殿は味方衆に文を」
「だが」
秀吉にはまだ自信がないのだろう。秀吉には信長を倒す気は全くなかったのだ。信長は恐れ多い魔王だったのだ。だが今盛んに考えを巡らせている。この辺りの転換は早い。官兵衛と手を結ぶがこれからは警戒することになる。だがもう秀吉の目は光っている。
「重臣を集めまするが?」
「よし半刻後に」
慌ただしく官兵衛が出て行く。
「官兵衛を見張れ」
これは朱雀に命じた。
「ご苦労」
「すでに黒田官兵衛様から話は?」
「いやない。あれはここ数日落ち着きがない」
「これは細川藤孝の文です。まず読まれてお聞きください」
秀吉は文を見たまま目を大きく見開き指が震えている。もちろん朱雀も中を見ていない。恐ろしく長い時だ。だが時にすればほんのわずかだ。
「光秀が?」
「はい。本能寺で討たれました。だがこれは信長様が仕掛けられた罠だったのです」
「罠を仕掛けられたか?罠の好きな方よ。用意していた信忠様の兵が来れず、黒田官兵衛様の手のものが逃げ道を塞ぎました」
「やはり官兵衛が係わっていたのだな?光秀から怪しい文が届いたので心配していたのだ。家康殿は?」
「動かれなかったようです」
「だろうな。殿を討っても先が見えないからのう」
その時小姓の声がして秀吉は上がれと言う手ぶりをした。朱雀が天井裏に登る。部屋に入って来たのは黒田官兵衛だ。
「只今毛利に向かう忍者を捕えました」
蠍のことを言っているのだろう。秀吉は驚いたような顔をしている。
「本能寺で光秀に討たれたそうです」
だが秀吉は黙って何も言わない。官兵衛の出方を見ているのだ。
「天下を盗られませい」
「盗れるかな?」
「毛利とは和解をすぐに。引き返す準備に入ります。殿は味方衆に文を」
「だが」
秀吉にはまだ自信がないのだろう。秀吉には信長を倒す気は全くなかったのだ。信長は恐れ多い魔王だったのだ。だが今盛んに考えを巡らせている。この辺りの転換は早い。官兵衛と手を結ぶがこれからは警戒することになる。だがもう秀吉の目は光っている。
「重臣を集めまするが?」
「よし半刻後に」
慌ただしく官兵衛が出て行く。
「官兵衛を見張れ」
これは朱雀に命じた。
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