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大返し3
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蠍が桟橋に蹲った。だが足軽が押し寄せてくる。朱雀は倒れた蠍が起き上がらないのをぎりぎり見定める。船の中から蠍を引き上げている。足軽の槍を躱すと山側に走る。だが指揮官の声がして追いかけてきた足軽が引き返し船に慌ただしく乗り込む。やはり蠍を迎えに来ていたのだ。船は蠍だけを乗せて桟橋を離れる。
これは不味い。先に黒田官兵衛に情報が渡ってしまう。朱雀は崖から空に飛び上る。体力がまだ回復していないので上手く空に上がれない。川の近くまで落ちかけてようやく持ち直す。軍船はもう川中まで進んでいる。だが濁流に川下に流されている。それでなんとか岸に着くまでに追いついた。
舟板にかっぱを掛けられて横たわっている。動いている様子はない。側に指揮官がいる。もし蠍が生きていても黒田官兵衛以外に文を渡すことはない。近づきすぎたのか鉄砲を撃ちかけられた。不覚だ。左腕を撃たれた。朱雀はバランスを失って濁流に落ちる。
どれほど眠ていたのか漁網の積んである小屋に寝かされいた。左腕に白布が巻きつけれらていて血が滲んでいる。莚が上げられて礫の顔が覗いた。
「どれほど眠っていた?」
「4半刻。黒田官兵衛の兵が動いたので付けてきた。それで川から引き揚げた。溺れるところでしたよ」
「船から戸板に乗った女が出されたか?」
「見て来たよ」
「蠍だ」
「蠍か?官兵衛が朝からそわそわ誰かを待っているようだったのです。蠍は籠に乗せられて高松城に向かっているようでした」
「秀吉様は異変を感じていたか?」
「いえ、ただ官兵衛を見張るようにと」
「ここから高松城には?」
「走れば1刻半。でも至る所に秀吉様の兵が関所を設けています。2刻はかかります。でも私は抜け道を知っているので1刻半で」
朱雀はもう起き上がって礫の後を走っている。畑を抜け溝を走り小高い丘に出る。
「凄いものだな?琵琶湖のようだ」
「川をせき止めて特に今回の雨で城の中まで水が押し寄せていると思います。食べ物はほとんど尽きています」
人口の湖を回るように走る。
「和解は?」
「官兵衛が毛利の僧と進めています」
関所が見え礫が札を見せて通り抜ける。
これは不味い。先に黒田官兵衛に情報が渡ってしまう。朱雀は崖から空に飛び上る。体力がまだ回復していないので上手く空に上がれない。川の近くまで落ちかけてようやく持ち直す。軍船はもう川中まで進んでいる。だが濁流に川下に流されている。それでなんとか岸に着くまでに追いついた。
舟板にかっぱを掛けられて横たわっている。動いている様子はない。側に指揮官がいる。もし蠍が生きていても黒田官兵衛以外に文を渡すことはない。近づきすぎたのか鉄砲を撃ちかけられた。不覚だ。左腕を撃たれた。朱雀はバランスを失って濁流に落ちる。
どれほど眠ていたのか漁網の積んである小屋に寝かされいた。左腕に白布が巻きつけれらていて血が滲んでいる。莚が上げられて礫の顔が覗いた。
「どれほど眠っていた?」
「4半刻。黒田官兵衛の兵が動いたので付けてきた。それで川から引き揚げた。溺れるところでしたよ」
「船から戸板に乗った女が出されたか?」
「見て来たよ」
「蠍だ」
「蠍か?官兵衛が朝からそわそわ誰かを待っているようだったのです。蠍は籠に乗せられて高松城に向かっているようでした」
「秀吉様は異変を感じていたか?」
「いえ、ただ官兵衛を見張るようにと」
「ここから高松城には?」
「走れば1刻半。でも至る所に秀吉様の兵が関所を設けています。2刻はかかります。でも私は抜け道を知っているので1刻半で」
朱雀はもう起き上がって礫の後を走っている。畑を抜け溝を走り小高い丘に出る。
「凄いものだな?琵琶湖のようだ」
「川をせき止めて特に今回の雨で城の中まで水が押し寄せていると思います。食べ物はほとんど尽きています」
人口の湖を回るように走る。
「和解は?」
「官兵衛が毛利の僧と進めています」
関所が見え礫が札を見せて通り抜ける。
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