式神

夢人

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和解14

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 本願寺の撤退の延期で信長は本隊から武将を送り光秀を本願寺包囲から外した。それで今まで以上に激しい包囲網となった。確かに物資の補充はあったがさらに包囲網は縮まっている。だが信長はこの間に武田勝頼を追い詰めて遂に武田家を滅亡させた。これは毛利を震撼させただけではなく顕如にも撤退を決意させた。
 顕如から新たな鉄砲隊の長島への逃がす日を決めるようにと知らせが入った。それで再び秀吉に文を送り指示を仰いだ。その文では光秀との正面からのぶつかりは得策ではないと黒田官兵衛が森蘭丸を使うことを提案した。下地はすでに出来上がっている。これで光秀は口を挟めなくなった。
 それと肝心な時に一条兼良が高熱を出して倒れてしまった。それで関白への根回しが止まってしまったのだ。これは鬼女が安倍晴明の呪いを妨害したからだ。式神を通じて兼良の目に目くらましを落とさせたのだ。目が見えないと晴明の操りは出来ない。
「でもこれは一時的にしか効果がないわ」
 鬼女から言われて朱雀は再び急いで準備を始めた。蝦蟇達と礫が使えないので全く手が足りない。新たな筒井順慶へ関所解放の日は決められて揚羽の式神が知らせてきた。それを顕如に再び伝えた。顕如からの連絡は小猿が危険を冒して賀茂家に戻って来て知らせた。
「息子と話は出来たのか?」
「息子を閉じ込めました。それで息子も観念したのか長島に行くことに同意したようです。武田の滅亡に本願寺内も相当動揺しているようです」
「今度は本気だのだな?だがこちらも今回は手薄だ」
 小猿をすぐに帰して鬼女に報告をした。鬼女は早々に関白の元を訪ね関白は本願寺撤退の最初の案で帝に進言すると言った。一条兼良が休んでいる時が好機だ。だが朱雀も今回の本願寺の鉄砲隊の脱出に付いてはもう一度検討し直しだ。佐久間の織田軍に式神を割くことはできなくなったのだ。
 式神を呼び揚羽に文を書いて届けさせる。宗久に修験者を借りることを思いついたのだ。この修験者は揚羽によると大和の金峯山に本山があり8百ほどが修行をしていると言う。揚羽はここで修行後宗久に預けられたそうだ。その関係で宗久の人夫として揚羽が30人ほどを束ねている。
 それから式神を3人選んで大和の木津川の再調査を指示した。とくにあの谷の佐久間軍の配置を調べ直す必要がある。2千が増員されて小猿の報告ではさらに本願寺の支配下は石垣まで迫ったと言う。谷から容易に山城に入れないかもしれないのだ。





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