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和解3
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ようやく光栄が再び出仕を始めた。光栄には式神が着いた。今は賀茂家は絶対数で式神が足らない。
この間に不思議な事件が起こった。本願寺の包囲網が一時的に無風状態になり甲賀の忍者が大量の荷台を本願寺に引き渡したと言うのだ。この噂は極秘で式神が伝えてきたのだ。鬼女が関白邸を訪ねて半月後だ。
ようやく揚羽の文がもたらせられた。鬼女が揚羽の文を読んで朱雀に渡した。どうもこの不思議な現象は光秀と秀吉と関白と一条兼良の合作のようだ。揚羽の言うには光秀と秀吉には妙な叩き上げ出ない連携があるのだと言う。そうして生え抜きの中で生きてきたようだ。関白と一条兼良は一時休戦のようだ。
鬼女の輿の供をして関白邸に入る。
「もう耳に入ったか?」
関白が笑いながら茶室に案内する。最近は関白の勢力が一条兼良を初めて上回っている。庭に蝦蟇が控えている。もう蝦蟇は関白の家人長のようになっている。
「これは苦肉の策だ。光秀殿から文が来て一条兼良が食料と弾薬を用意し甲賀を動かした。引き取りは蓮如の直営部隊が来たようだ。これで蓮如が再び力を持つだろう。だが3か月しか持たない。大量に渡すのは光秀が恐れたのだろう」
こういうことが平然と行われる世界のようだ。
「それでお願いは通りそうですか?」
鬼女もまた情報の見返りを求めていたようだ。
「兼良は安倍を切る腹のようだ。これは伏せられているが陰陽頭の安倍吉晶が御子様の病の祈祷に粗相があったのだ。それで陰陽頭をしばらく元賀茂の陰陽士に代わることにした。とりなしは私がした。光栄はその頭にこれから使える。これを持って賀茂家の屋敷の返却が受け入れられた」
「ありがたいことで」
「それでだ。そちらには大和側の封鎖を一時解いてもらいたいのだ。これは光秀殿も知らない。本願寺の中の最右翼の鉄砲隊を長島に逃がすのだ」
「どれほどの?」
自分が作業をするので朱雀が聞いた。
「3百だ」
「それは主力ですね?」
「これで和解案を妨げる相手はいなくなる」
「いつまでに?」
「この3月のうちにだ」
この間に不思議な事件が起こった。本願寺の包囲網が一時的に無風状態になり甲賀の忍者が大量の荷台を本願寺に引き渡したと言うのだ。この噂は極秘で式神が伝えてきたのだ。鬼女が関白邸を訪ねて半月後だ。
ようやく揚羽の文がもたらせられた。鬼女が揚羽の文を読んで朱雀に渡した。どうもこの不思議な現象は光秀と秀吉と関白と一条兼良の合作のようだ。揚羽の言うには光秀と秀吉には妙な叩き上げ出ない連携があるのだと言う。そうして生え抜きの中で生きてきたようだ。関白と一条兼良は一時休戦のようだ。
鬼女の輿の供をして関白邸に入る。
「もう耳に入ったか?」
関白が笑いながら茶室に案内する。最近は関白の勢力が一条兼良を初めて上回っている。庭に蝦蟇が控えている。もう蝦蟇は関白の家人長のようになっている。
「これは苦肉の策だ。光秀殿から文が来て一条兼良が食料と弾薬を用意し甲賀を動かした。引き取りは蓮如の直営部隊が来たようだ。これで蓮如が再び力を持つだろう。だが3か月しか持たない。大量に渡すのは光秀が恐れたのだろう」
こういうことが平然と行われる世界のようだ。
「それでお願いは通りそうですか?」
鬼女もまた情報の見返りを求めていたようだ。
「兼良は安倍を切る腹のようだ。これは伏せられているが陰陽頭の安倍吉晶が御子様の病の祈祷に粗相があったのだ。それで陰陽頭をしばらく元賀茂の陰陽士に代わることにした。とりなしは私がした。光栄はその頭にこれから使える。これを持って賀茂家の屋敷の返却が受け入れられた」
「ありがたいことで」
「それでだ。そちらには大和側の封鎖を一時解いてもらいたいのだ。これは光秀殿も知らない。本願寺の中の最右翼の鉄砲隊を長島に逃がすのだ」
「どれほどの?」
自分が作業をするので朱雀が聞いた。
「3百だ」
「それは主力ですね?」
「これで和解案を妨げる相手はいなくなる」
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