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没落16
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ここしばらく小猿の姿を見ない。2度揚羽の元を覗いたがどうもいないようだった。最近は揚羽が朱雀の代わりに式神を動かしているようだ。揚羽は弾正の養子と今日は将軍を訪ねるようだ。
「これはまだ確証がないが将軍は六角と組んだようよ。それで息子が金を運んで取りなおそうとしているの」
「弾正も大変だな」
揚羽は小姓姿に替えている。
「これは息子の話だが弾正が潜らせている下忍が戻って来たそうだ。朝倉の援軍は来ないとのことだ」
これは関白も言っていた。朝倉と言うのはそう言う男だそうだ。
「それで急遽将軍に六角との和解を依頼するのよ。それで私は小猿を2日前に秀吉様の元に送ったわ」
そうだったのか。
「弾正の下忍曰く朝倉が来なければ3日も持たないそうよ。それで弾正は近畿勢を束ねて信玄の上洛に供える策に変えたらしいわ」
揚羽は式神だが商人の中で知恵を育てて来たのだ。
「小猿が戻ってきたら朱雀は蝦蟇達を連れて浅井城に向かって秀吉様に従うのよ」
「鬼女様には?」
「もう伝えてあるわ。秀吉様の元に行けば私の修験者達が繋ぎを入れてくるわ」
「そう言う間柄か?」
「私の堺の主人は秀吉様に掛けているのよ。その繋ぎを私はしていた。秀吉様に抱かれたこともあるわ」
式神としての揚羽の人生も大変だったのだろう。揚羽が鬼女の式神であったことも驚いたが、秀吉の下忍も勤めていたようだ。晴明の時代は式神を朝廷内に忍ばせていたのだ。
「女は私にとっては武器よ。でも朱雀に抱かれるときは違う」
と言うなり出て行った。朱雀は仲間を集めに外に出た。
「これはまだ確証がないが将軍は六角と組んだようよ。それで息子が金を運んで取りなおそうとしているの」
「弾正も大変だな」
揚羽は小姓姿に替えている。
「これは息子の話だが弾正が潜らせている下忍が戻って来たそうだ。朝倉の援軍は来ないとのことだ」
これは関白も言っていた。朝倉と言うのはそう言う男だそうだ。
「それで急遽将軍に六角との和解を依頼するのよ。それで私は小猿を2日前に秀吉様の元に送ったわ」
そうだったのか。
「弾正の下忍曰く朝倉が来なければ3日も持たないそうよ。それで弾正は近畿勢を束ねて信玄の上洛に供える策に変えたらしいわ」
揚羽は式神だが商人の中で知恵を育てて来たのだ。
「小猿が戻ってきたら朱雀は蝦蟇達を連れて浅井城に向かって秀吉様に従うのよ」
「鬼女様には?」
「もう伝えてあるわ。秀吉様の元に行けば私の修験者達が繋ぎを入れてくるわ」
「そう言う間柄か?」
「私の堺の主人は秀吉様に掛けているのよ。その繋ぎを私はしていた。秀吉様に抱かれたこともあるわ」
式神としての揚羽の人生も大変だったのだろう。揚羽が鬼女の式神であったことも驚いたが、秀吉の下忍も勤めていたようだ。晴明の時代は式神を朝廷内に忍ばせていたのだ。
「女は私にとっては武器よ。でも朱雀に抱かれるときは違う」
と言うなり出て行った。朱雀は仲間を集めに外に出た。
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