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没落9
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京の街では今にも織田が負けると言うような噂が飛び交っている。将軍は堂々と各国に反旗の指令を出し続けている。光栄の話では朝廷では一条兼良が帝に弾正に詔を出す要請をした。堺の商人も織田を見限るところが増えた。ようやく朱雀も動けるようになって礫を連れて織田の京屋敷から鉄砲を運び出す。今や礫は頼もしい仲間だ。
荷隊は揚羽が人夫30人と賀茂の式神が5人守る。これは揚羽が近日中に京に弾正の兵が上がってくると踏んでのことだ。さすがにその感が当たっていたのか1刻後に織田の京屋敷から火が出たと言う知らせが入った。やはりここで織田は滅ぶのか。
その時草むらが動いて黒装束が飛び出してきた。揚羽と朱雀が立ち向かう。礫は小石を投げ続ける。蝦蟇は荷車を守りながら脇をすり抜ける。どうも六角も先方隊の百地を動かしてきたのだ。朱雀はまだ飛び上がれないが百地を相手するほどは回復している。
「その先に火薬が仕掛けられてます」
小猿の声がして蝦蟇が慌てて荷車を止めた。だが先頭の一台が止まり切れないで爆破される。
「小猿どうしたのだ?」
「弾正が動きました。恐らくもう京に入った頃かと」
「朱雀、小猿を借りるわ。先に坂本に向かうわ。鉄砲は頼むわ」
揚羽はそのままもう駈けだしている。小猿がその後に従う。揚羽の足に付いていけるのは朱雀と小猿しかいない。百地もそれを聞いて一目散に引き上げた。弾正に六角が後手を取ることになるのだ。鉄砲を奪うことよりそのことが大切なのだ。
「一台の鉄砲の箱は壊れているが中身は大丈夫だ。それ程強い火薬を仕掛けなかったのが幸いした」
蝦蟇が人夫達に壊れた鉄砲箱を残っている荷車に乗せ替えている。
「弾正の京屋敷は?」
「ああ、鬼女様がすでに式神を入れている」
「このままじゃ賀茂家はなくなるな?」
「織田次第だなあ」
荷隊は揚羽が人夫30人と賀茂の式神が5人守る。これは揚羽が近日中に京に弾正の兵が上がってくると踏んでのことだ。さすがにその感が当たっていたのか1刻後に織田の京屋敷から火が出たと言う知らせが入った。やはりここで織田は滅ぶのか。
その時草むらが動いて黒装束が飛び出してきた。揚羽と朱雀が立ち向かう。礫は小石を投げ続ける。蝦蟇は荷車を守りながら脇をすり抜ける。どうも六角も先方隊の百地を動かしてきたのだ。朱雀はまだ飛び上がれないが百地を相手するほどは回復している。
「その先に火薬が仕掛けられてます」
小猿の声がして蝦蟇が慌てて荷車を止めた。だが先頭の一台が止まり切れないで爆破される。
「小猿どうしたのだ?」
「弾正が動きました。恐らくもう京に入った頃かと」
「朱雀、小猿を借りるわ。先に坂本に向かうわ。鉄砲は頼むわ」
揚羽はそのままもう駈けだしている。小猿がその後に従う。揚羽の足に付いていけるのは朱雀と小猿しかいない。百地もそれを聞いて一目散に引き上げた。弾正に六角が後手を取ることになるのだ。鉄砲を奪うことよりそのことが大切なのだ。
「一台の鉄砲の箱は壊れているが中身は大丈夫だ。それ程強い火薬を仕掛けなかったのが幸いした」
蝦蟇が人夫達に壊れた鉄砲箱を残っている荷車に乗せ替えている。
「弾正の京屋敷は?」
「ああ、鬼女様がすでに式神を入れている」
「このままじゃ賀茂家はなくなるな?」
「織田次第だなあ」
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