式神

夢人

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賀茂家4

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 ここ最近朱雀が光栄の付き人をしている。どういうわけか息子の安倍吉昌から歌道の集まりに呼ばれた。この息子は父の戦いには無頓着だ。光栄と共に安倍屋敷に入る機会を朱雀は得た。朱雀は付き人の部屋に入り床に潜る。至る所に式神の気配がある。それを潜るように蔵の屋根に上がる。
 瓦を剥いで屋根裏に入る。造りが賀茂家の蔵と同じなのだ。蔵の中は賀茂家より少ない。置き場所も何だか似ている。日記が見つかった。確か晴明には2人の息子がいたが日記にはそのずっと後に娘が生まれるとある。だがすぐに寺に預けられたとある。すでに亡くなった妻には内緒のようだ。これから日記には娘のことは出てこない。年齢から言うとこれが鬼女だ。
 子供が生まれてから晴明は月に一度愛宕山に行くようになる。鬼女が日記に現れるのは妻が亡くなった後に式神として迎えられている。だがまるで娘のように屋敷に部屋を与えたようだ。それから光栄の元に移っている。
 蔵が開けられる音を聞いて天井から外に抜け出す。付き人の部屋に戻るともう光栄が戻って来て黙って待っている。彼も朱雀が何かを調べているのには気が付いているようだ。
「そろそろ帰ろうか?」
「はい。調べ終わりました」
 門を出ると式神の気配が至る所にある。この場所では襲ってこないだろう。山側に入ってからだろう。小猿が木の陰に姿を見せた。曲がり角で一瞬光栄と朱雀が消える。次の瞬間光栄が走り出す。慌てた式神達が走り出す。光栄に変わった朱雀は1刻山の中を走り回る。
「お帰り」
 賀茂の屋敷に入ると小猿が飛び出してくる。光栄も鬼女と顔を出す。
「怪我はなかったか?」
「はい。明日は愛宕山に行きます」
「私が住んでいたところね?」




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