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地獄谷15
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賀茂の屋敷は何時に増して妖気が漂っている。靄のかかった木戸から小猿が覗いている。目が怯えている。
「どうした?」
「鬼女が本当に大鬼になった。私は逃げ回ったけど掴まれて投げ飛ばされた。それで鳩を大婆に飛ばした」
左腕が折れて骨が飛び出している。
「静香は?」
「静香は疑われていないようだわ。式神を見抜いたのだと思う」
「しばらく我慢できるか?」
朱雀は小猿の腕を縛って木戸の外に出した。床に潜ると光栄の部屋の下に出る。床から顔を出すと部屋は嵐の後のようになっている。だが光栄はまだ生きていて床に這っている。鬼女は全裸で血反吐を履いて倒れている。だが目が朱雀を捕えている。
「どうしたのです?」
「鬼女が私の中に入ろうとした。これを私が拒んだ。鬼女には晴明の力が加わっている。到底私には上がらえない力だ。あの小さな式神が鬼女を狙って針を吹いたが吹き飛ばされたのだ。だがその時に私に大婆の力が宿った。体に入りかかっていた鬼女を吐き出した」
俄かに理解できない出来事だ。
「こういうことができるのが本物の陰陽士だ。私の父にも私にもその力がない。今は安倍晴明か賀茂の大婆しかない。それが今回分かったのだ」
「鬼女は殺せないのですか?」
「駄目だ。鬼女を殺せば私も死ぬ。私が死ねば鬼女も死ぬ。そう言う呪いを晴明と大婆が掛け合ったのだ」
「どうしたらいいのですか?」
「恐らく晴明と大婆の戦いになると思う」
「大婆は賀茂家を守ると言っています。でも鬼女は?」
「力はあるがやはり晴明が操っているように思う」
「大婆に伝えます。静香に何かがあれば伝えてください」
「どうした?」
「鬼女が本当に大鬼になった。私は逃げ回ったけど掴まれて投げ飛ばされた。それで鳩を大婆に飛ばした」
左腕が折れて骨が飛び出している。
「静香は?」
「静香は疑われていないようだわ。式神を見抜いたのだと思う」
「しばらく我慢できるか?」
朱雀は小猿の腕を縛って木戸の外に出した。床に潜ると光栄の部屋の下に出る。床から顔を出すと部屋は嵐の後のようになっている。だが光栄はまだ生きていて床に這っている。鬼女は全裸で血反吐を履いて倒れている。だが目が朱雀を捕えている。
「どうしたのです?」
「鬼女が私の中に入ろうとした。これを私が拒んだ。鬼女には晴明の力が加わっている。到底私には上がらえない力だ。あの小さな式神が鬼女を狙って針を吹いたが吹き飛ばされたのだ。だがその時に私に大婆の力が宿った。体に入りかかっていた鬼女を吐き出した」
俄かに理解できない出来事だ。
「こういうことができるのが本物の陰陽士だ。私の父にも私にもその力がない。今は安倍晴明か賀茂の大婆しかない。それが今回分かったのだ」
「鬼女は殺せないのですか?」
「駄目だ。鬼女を殺せば私も死ぬ。私が死ねば鬼女も死ぬ。そう言う呪いを晴明と大婆が掛け合ったのだ」
「どうしたらいいのですか?」
「恐らく晴明と大婆の戦いになると思う」
「大婆は賀茂家を守ると言っています。でも鬼女は?」
「力はあるがやはり晴明が操っているように思う」
「大婆に伝えます。静香に何かがあれば伝えてください」
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