式神

夢人

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地獄谷14

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 地獄谷まで京極の兵が上がってきた。これは清明の仕業かもしれえない。晴明はずいぶん前から大婆のことを調べていたのだ。朱雀は式神を使って日頃から養っている狼を群れを奥山から地獄谷に連れてくる。大婆の若い頃から守りのために飼っている。
「谷の仲間には知らせたか?」
「もちろん」
「兵は幾らいる?」
「3百くらい」
「谷の入り口で脅しておこう」
 式神を使って狼の群れを呼び出す。朱雀は先に入口に走る。あの兜男が来ているか調べるためだ。あの仲間たちがいると狼の作戦も通じない。入口に来ると大将らしい男が床几に座っている。
「なぜこんな怪しい谷にはいるのだ?」
「どうも帝からの要請のようです」
「中に入って火を放って早く終わらせよう」
 火だけは危うい。式神を使って火元に爆薬を仕掛けた。ゆっくりと兵たちが地獄谷に入ってくる。火元が大爆発をする。矢を受け取ろうとしていた兵が20人ほど倒れた。先に入っていた百人に急に狼が襲い掛かった。今までかって地獄谷に兵が入ったのは初めてだ。遂に晴明が宣戦布告したのだ。
「狼が食い殺したのは10人ほど、もう谷から飛び出して行った」
 半刻もしないうちに報告が来た。その後大婆から呼び出しがあった。
「小猿から繋ぎが入った。今から賀茂の屋敷に行きなさい。光栄が会いたいと言ってきている」
「伝えることは?」
「助けると言いなさい」





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