復讐の芽***藤林長門守***

夢人

文字の大きさ
35 / 192

京へ3

しおりを挟む
 無事に暗がり峠を越え堺に入る。盗賊の金は奈良の商人に預けた。その夜茉緒は引き合わせたいという堺の納屋衆の一人に会う。茉緒は町人の娘に変装して化粧を施す。
「暗がりの盗賊を倒したらいいね?」
 奈良の豪商の上座に座っている男が言う。
「今回の京へは今井さんの用だよ」
 今井宗久。前回の火薬の調達先だ。
「くの一かね?」
「はい」
「一度夜も頼もうか」
「いいですけど、私の寝た相手はほとんど死んでしまいますが」
「それは困る」
「それで?」
「鉄砲を運ぶ警護をしてもらいたい」
「なぜこんな小さな抜け忍に?」
「伊賀の三家はどこも取引先と縁が深い。こちらに手の内を見られてしまうのだよ」
「京へは?」
「三好家の松永弾正さまに鉄砲と書状を届けて貰いたい。返事も貰ってもらう。帰りの荷は弾正さまから蒔絵を預かる」
「今まで狙われた先は?」
「盗賊はこちらの手勢で押さえれたが、今年は六角の手の藤林に荷を奪われた」
 藤林は六角家の仕事をしている。六角と三好は揉め事続きだ。だが今は慎吾とは戦いたくない。茉緒はいつも凛を抱くが慎吾にも抱かれたいと思う。





しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

帰蝶の恋~Butterfly effect~

平梨歩
歴史・時代
ときは群雄割拠の戦国時代。 尾張国の織田信長と政略結婚で結ばれた、 美濃国の姫君・帰蝶。 「女にとって結婚は戦と同じ」 そう覚悟しつつも、 恋する心を止めることはできない。 自らの思いにまっすぐに、 強く逞しく生きた帰蝶の生涯と、 彼女を愛した男たちの戦いを綴る、 戦国恋愛絵巻。 ※歴史小説に初挑戦です。 史実に基づいて書き綴っていきますが、 多くのフィクションが含まれます。 ★2025.7.31 第11回歴史・時代小説大賞で【奨励賞】をいただきました。 ありがとうございました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ソラノカケラ    ⦅Shattered Skies⦆

みにみ
歴史・時代
2026年 中華人民共和国が台湾へ軍事侵攻を開始 台湾側は地の利を生かし善戦するも 人海戦術で推してくる中国側に敗走を重ね たった3ヶ月ほどで第2作戦区以外を掌握される 背に腹を変えられなくなった台湾政府は 傭兵を雇うことを決定 世界各地から金を求めて傭兵たちが集まった これは、その中の1人 台湾空軍特務中尉Mr.MAITOKIこと 舞時景都と 台湾空軍特務中士Mr.SASENOこと 佐世野榛名のコンビによる 台湾開放戦を描いた物語である ※エースコンバットみたいな世界観で描いてます()

クロワッサン物語

コダーマ
歴史・時代
 1683年、城塞都市ウィーンはオスマン帝国の大軍に包囲されていた。  第二次ウィーン包囲である。  戦況厳しいウィーンからは皇帝も逃げ出し、市壁の中には守備隊の兵士と市民軍、避難できなかった市民ら一万人弱が立て籠もった。  彼らをまとめ、指揮するウィーン防衛司令官、その名をシュターレンベルクという。  敵の数は三十万。  戦況は絶望的に想えるものの、シュターレンベルクには策があった。  ドナウ河の水運に恵まれたウィーンは、ドナウ艦隊を蔵している。  内陸に位置するオーストリア唯一の海軍だ。  彼らをウィーンの切り札とするのだ。  戦闘には参加させず、外界との唯一の道として、連絡も補給も彼等に依る。  そのうち、ウィーンには厳しい冬が訪れる。  オスマン帝国軍は野営には耐えられまい。  そんなシュターレンベルクの元に届いた報は『ドナウ艦隊の全滅』であった。  もはや、市壁の中にこもって救援を待つしかないウィーンだが、敵軍のシャーヒー砲は、連日、市に降り注いだ。  戦闘、策略、裏切り、絶望──。  シュターレンベルクはウィーンを守り抜けるのか。  第二次ウィーン包囲の二か月間を描いた歴史小説です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...