当たり屋

夢人

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 再び静かな毎日が戻ってきた。朝エプロン娘の兄貴と釣りに出かけて陽が沈むまで畑に出ている。ここ1か月あまりパソコンも開いていない。定期的にYOUから日々の出来事を知らせてくる。相変わらずだよ…と言う返事が続いている。自画撮り劇場のYOUのCDが写真集になり、それが縁で文学作品の映画化にYOUが主人公で撮影が始まっている。
 日が沈んで坂道をぶらぶら歩いて居酒屋に行く。
「はい。釣った魚の作りの盛り合わせ」
とエプロン娘が運んでくる。最近兄貴は地魚を手間をかけて限定値メニューで出しているのが評判だ。牙は何時ものようにパソコンを開いてビールを飲む。ちょうどその時ゴンさんからスマホが入った。
「東京に戻っているんだな?」
「あの盗聴ビデオで遂に警視庁がオレオレ詐欺の男を逮捕したぜ。それでこちらも任意で呼ばれている。余は取材費がたんまり入ったのでほくほくだ。次は大池と指示を特集にする予定だ。それでまた大阪で会いたいのだ」
 狗を当たり屋にさせた張本人だ。当たり屋になって初めて花田の後ろにいるのが大池だと知ったのだ。初めから牙の会社をてらっていたのだ。長い回り道をしたが遂に黒幕にたどり着いたのだ。
「あまり長くいれない」
「用事でもあるのか?」
「いや、稲刈りまでに戻りたい」
 初めての稲がもう1月で刈るところまで来ている。近隣の先輩曰く1年は食べれる量が取れるということだ。
「分かったさ。段取りをしておく」
と言って切れた。
 いつの間にか団体が出て行ってエプロン娘が牙の前に座っている。
「今度いつ大阪に行く?」
「どうしたまた自画撮りか?」
「いえ、YOUにスタジオ紹介してもらったの」
「親父に叱られるぞ」
「もう話して承諾させたよ。でもユニットに入れるかこれからが大変だけどね?」
「YOUは来るのか?」
「ええもちろん。今決めたからすぐにメールが来るよ」
と言うなりメールが入って来ている。





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