夢の橋

出会う20

「このままでは室内に入ってくるわ。私は１階に降りるから頼むよ」
　その声を残してたかは消えた。私は食客を切って建物の中に入ろうとした男を撃った。仰向けに倒れたが次の男が中に入った。書斎には源内と伯爵と執事がいる。伯爵は短銃を構えているはずだ。総司は４人に取り囲まれている。蜘蛛は通用口で２人を相手にしている。私は背中を見せている男を撃った。同時に動き出して総司が飛び込んできた２人を切り払った。
　表門が開かれた。警察の提灯が入ってくる。これを博徒が追い返している。これは川路の作戦だ。博徒達を表門に引きつけて置く気だ。伯爵邸の広さでは表門からは裏門は見えない。引きつけて置いて暗殺する気だ。
　裏門から警官が入ってきた。手に提灯を持っている。斎藤一だ。私は慌てて銃身を合わせる。その的に総司が映る。一が提灯を捨てた。撃つなと言うたかの声が聞こえてくる。すれで引き金から指を離した。どうもたかの呪縛がかかっている。
　一が一撃を見舞うが総司は慌てず後ろに下がる。一の顔も何か言って笑っている。ここからでは聞こえない。それに総司も答えている。だんだん総司は総司になっていく。次に飛び込むと隣から切り込んできた男の腕を切り落とした。その隙間を始めの突きが入る。
　それはずるい！だが二人が屋根に隠れて見えなくなった。私は慌てて階段を下りる。そこに暗殺団の男が3人入り込んでいる。たかが一人で銃を向けている。源内が倒れていて伯爵が短銃を構えているが肩から血が滲んでいる。遅すぎたか。
「右」
とたかが私を見て行った。私は右の男に短銃を撃った。同時にたかは２人の男を撃った。私の玉は右の男の肩を貫いて、たかの２発はそれそれの男の拳銃を持った手を撃った。
「執事は死んでいる。源内を起こしてやれ。気絶しただけだ」
　伯爵が私に言う。たかがいつの間にか伯爵の肩をハンカチで縛っている。私は源内を起こすと逃げ出す男達を追って外に出る。すでに暗殺団は引き上げたようだ。だが一は剣を抜いたまま立っている。総司もやはり剣を構えたまま固まっている。切られたのか。