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迷い道5
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「久しぶりだな」
『梨花』に入るとネット証券の社長になった専務が手を上げる。相変わらずこの店の常連なのだ。チェリーの姿はない。
「彼女はボックス席を回っている。ママだからな」
「エリとはどういう約束があったのですか?」
「それより容態は?」
「まだ目を覚ましていません」
「エリはもう何もかもに失望したのだろう。君は私を彼らと何か隠し事をしているとみているようだが、私はただ彼らに係わりたくないだけなのだ。エリが秘書の毒殺を依頼されたのも知っている。畠山がエリの現場を調べるように会長から依頼されたのも知っている。でも知っているだけだ。会長は怖い男だ。それにあの頃はエリも狂っていた。私は会長の情報を取って身を守っていたのだ」
「会長の後ろ盾は?」
「もう誰も彼から去っただろう。だがどこまで明らかにするかだな」
「それは私に言っているのですか?」
「君しかいないだろう」
「来てくれたの?」
チェリーがようやくボックスに戻ってきた。彼女が男だと知っているのは私とアゲそれに死んだ西崎と手下の2人、それにエリだけだ。ひょっとして岬も知っているかもしれない。
「今日は何時に終わる?」
「10時にアゲが来る。一緒に食事しない?」
「久しぶりに3人でいいかもな」
「アゲ、ずいぶん人恐怖症が克服できて来たようよ」
『梨花』に入るとネット証券の社長になった専務が手を上げる。相変わらずこの店の常連なのだ。チェリーの姿はない。
「彼女はボックス席を回っている。ママだからな」
「エリとはどういう約束があったのですか?」
「それより容態は?」
「まだ目を覚ましていません」
「エリはもう何もかもに失望したのだろう。君は私を彼らと何か隠し事をしているとみているようだが、私はただ彼らに係わりたくないだけなのだ。エリが秘書の毒殺を依頼されたのも知っている。畠山がエリの現場を調べるように会長から依頼されたのも知っている。でも知っているだけだ。会長は怖い男だ。それにあの頃はエリも狂っていた。私は会長の情報を取って身を守っていたのだ」
「会長の後ろ盾は?」
「もう誰も彼から去っただろう。だがどこまで明らかにするかだな」
「それは私に言っているのですか?」
「君しかいないだろう」
「来てくれたの?」
チェリーがようやくボックスに戻ってきた。彼女が男だと知っているのは私とアゲそれに死んだ西崎と手下の2人、それにエリだけだ。ひょっとして岬も知っているかもしれない。
「今日は何時に終わる?」
「10時にアゲが来る。一緒に食事しない?」
「久しぶりに3人でいいかもな」
「アゲ、ずいぶん人恐怖症が克服できて来たようよ」
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