迷い道

夢人

文字の大きさ
上 下
134 / 171

邂逅9

しおりを挟む
「飲む?」
 エリがビールをテーブルに押し出す。
「吉井と会ったのね?」
「西崎から聞いたのか?」
「ええ」
「あなたの調べた通り吉井は私の兄よ。初めて抱かれた男性。子供も吉井の子供よ」
「調べた」
「兄は興味で私を抱いたけど、私は狂ってしまった。彼に捨てられないようにといろいろ頑張った。結婚したいと籍も抜いたわ。でもどんどん離れていく」
「あの時ライブの会長は私の自殺を教唆したらしいね?それに専務は懲戒解雇を?」
「それも聞いた?」
「ああ、今までは嵌められたとばかり思っていた」
「嵌めたそれは事実。恨んでいいよ。でも吉井も言っていただろうけどあの頃は雄介を愛していたわ。でも兄とどちらかを選べと言われれば兄よ。あの時ライブの会長は雄介を消さなければ吉井組を切ると言ってきた。それで畠山を使って不正を作り出した。彼奴はその度に金と体を求めてきた」
「私が戻ってきたのは予想外だったのか?」
「ライブの会長は私のミスだと言っているわ。その通りね。タイにも来ていたのね?」
「ああ」
「あれは兄は関係ない。タイに連れ出すのは兄の部下だったけど、拷問をしたのは西崎の部下よ」
 ドアがノックされてチェリーがオードブルを運んでくる。さすがに心配しているようだ。その時エリの目が光ったような気がした。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

虹色アゲハ【完結】

よつば猫
ミステリー
自分の全てだった存在から結婚詐欺にあい、何もかも失った揚羽は… 水商売で働きながら、赤詐欺専門の復讐代行をしていた。 そしてぶっきらぼうな天才ハッカーとバディを組み、依頼をこなしていたある日。 不可解なターゲットと出会い… かつて自分を騙した結婚詐欺師とも再会する。 ※ 表紙はミカスケ様のフリーイラストをお借りしてます!

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

解けない。

相沢。
ミステリー
「なんだっていいです。 動機も。殺意の有無も。 どんな強さで、どんな思いで殺したとか、 どうでもいいです。 何であろうと、 貴方は罪を犯した ただの殺人犯です。」 ______________________________ ______________________________ はじめまして、閲覧ありがとうございます。 相沢と申します。 推理小説ってなんだろう。 どうしてそこまで 相手のテリトリーに踏み込むんだろう。 いっその事踏み込まないでやろう。 そんな想いで書き進めました。 短編小説です。よろしくお願いします。

私の中の深い闇

けいこ
ミステリー
私の容姿は醜い。 でも、あなたを好きになってしまった。 だから、私は綺麗になる。 邪魔な人間は排除しなきゃ。

そのシスターは 丘の上の教会にいる

丸山 令
ミステリー
決められた曜日、決められた時間に、丘の上の教会の告解室に行くと、どんな人間であっても神の導きを授かることが出来るという。 街で起こった残虐な連続殺人事件。被害者は若い女性ばかり。 事件を追っている刑事たちは、町はずれの小さな教会を訪れる。 刑事が会いに来たのは、赤い瞳の艶やかなシスター。この刑事は難しい事件が起こると、必ずここを訪れるというのだが……。 中編小説です。 なお、この物語はフィクションです。実在する人物・団体等とは関係ありません。

THIEF -シーフ-

SIVA
ミステリー
天才窃盗団「KNOCK(ノック)」のリーダー、ライト、通称『ルパン』は、いつものように華麗に盗みを働いていた。 ある日、とある屋敷に忍び込んだルパンは偶然にも、殺人現場に遭遇。 不運にも彼はそこで犯罪現場に足を踏み入れ疑いをかけられてしまう。 一方「KNOCK」を消滅させようと、警察も特別チームを用意する。 私立探偵をしているレニーは、突然警察から呼び出され特別チームのリーダになる。 二人の戦いがここで始まる!

影蝕の虚塔 - かげむしばみのきょとう -

葉羽
ミステリー
孤島に建つ天文台廃墟「虚塔」で相次ぐ怪死事件。被害者たちは皆一様に、存在しない「何か」に怯え、精神を蝕まれて死に至ったという。天才高校生・神藤葉羽は、幼馴染の望月彩由美と共に島を訪れ、事件の謎に挑む。だが、彼らを待ち受けていたのは、常識を覆す恐るべき真実だった。歪んだ視界、錯綜する時間、そして影のように忍び寄る「異形」の恐怖。葉羽は、科学と論理を武器に、目に見えない迷宮からの脱出を試みる。果たして彼は、虚塔に潜む戦慄の謎を解き明かし、彩由美を守り抜くことができるのか? 真実の扉が開かれた時、予測不能のホラーが読者を襲う。

処理中です...