迷い道

夢人

文字の大きさ
上 下
124 / 171

踏み込む9

しおりを挟む
 神部が指紋と血痕の調査でタイの警察から日本に戻った。私はホテルに籠って畠山のUSBをビールを飲みながら見ている。畠山はライブの会長に言われてエリの犯行を収める盗撮器を付けたはずだし外しにも行ったはずだ。
『神部、例の秘書の自殺があったホテルの廊下の防犯カメラを前後1週間もう一度見てくれないか?』
 畠山の動画はエリが秘書の部屋を訪ねてきたときから始まっている。秘書は笑顔で迎えているのは面識がありライブの会長の代理できたと思っているのだ。エリは手に提げてきた袋からワインを取り出す。秘書は部屋の中からグラスを出して来る。核心のシーンは秘書が席をはずした時にエリがポケットから薬を出してグラスに入れている。秘書がグラスを空けるのをエリは確認している。それから慌てるように部屋を出ている。
『画像は確認したが畠山は前日にスーツ姿で秘書を訪問していた。約2時間して出てきたのだが、何か打ち合わせしていたようでドアが開いたときには秘書も顔を出している。秘書の自殺後5日後畠山のような作業服を着た男が部屋に入っている。ホテルに聞いたが事件があってまだ客室としては使用したことがないのだと言っている。作業者を入れた記録もないそうだ』
 やはりこの画像は畠山が撮ったものだ。それを会長とエリを脅すのに使ったのだ。
『まだ帰ってこれないの?』
 ヒロが珍しくお尻の穴を拡げた画像を送ってくる。欲求不満なのだろう。
『アゲとよろしくやっているのだろう?』
『3人でやらなければ面白くない。だって2人は雄介を愛してるのだもの。2人てやっていたらこれはオナーニーみたいなものよ。それと昨夜ママが『梨花』に顔を出したよ。ずいぶんやつれた感じだったわ』
 やはりマカオからすぐに戻ったようだ。
『明日の晩には戻る。和えも呼んでマンションに泊まるか?』
と打ちながらやはりヒロとアゲを抱きたいと思っている自分を知った。もうどこにもエリは私の中にはいない。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お蔵ぼっこと雪ちゃん

華岡光
ミステリー
製パン会社で働く父祐一は妻の死をきっかけに娘と地方に移り、そこで古い蔵を改装してパン屋さんを営み新しい生活を始める。    しかし、その蔵には古くから住み着く"お蔵ぼっこ"という座敷わらしがいた・・

過去を捨てた代償

奏音 美都
ミステリー
自分の名前が、顔が、躰が、全てが嫌いだった。 美人になりさえすれば、全てが変わる。 そう、信じていた。

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

誰にもできない役目

つっちーfrom千葉
ミステリー
 とある寒村に住む、何の資産も持ち得ない一人の百姓が、中央都市から派遣された数十人の精鋭部隊から、突然、攻撃を受けて拉致されることになった。危険な思想を持つその部隊を指揮する、アレク=ディマ氏は、男が国家からの崇高な命令を無視したため、その身柄を強引に確保しようと、この地に現れたらしい。哀れな男は民家に立てこもり、懸命な抵抗を試みるも、軍隊によって、なすすべもなく捕縛され、中央都市へと送還されることに。  何の落ち度もない男性に科せられた指令とは、いったい何なのか? なぜ、国家の首脳たちは、このような凡人に白羽の矢を立てたのか。アレク=ディマ氏は数時間後に控えた、この国の大転機となるイベントの主役として、この何の特徴もない男を利用しようと考えていたのだ……。

或ル古物商ノ話

すいせーむし
ミステリー
古物店"No admittanc"。 そこで手にしたモノにより、人々の生活は狂っていく。

リアル

ミステリー
俺たちが戦うものは何なのか

【改稿版】 凛と嵐 【完結済】

みやこ嬢
ミステリー
【2023年3月完結、2024年2月大幅改稿】 心を読む少女、凛。 霊が視える男、嵐。 2人は駅前の雑居ビル内にある小さな貸事務所で依頼者から相談を受けている。稼ぐためではなく、自分たちの居場所を作るために。 交通事故で我が子を失った母親。 事故物件を借りてしまった大学生。 周囲の人間が次々に死んでゆく青年。 別々の依頼のはずが、どこかで絡み合っていく。2人は能力を駆使して依頼者の悩みを解消できるのか。 ☆☆☆ 改稿前 全34話→大幅改稿後 全43話 登場人物&エピソードをプラスしました! 投稿漫画にて『りんとあらし 4コマ版』公開中! 第6回ホラー・ミステリー小説大賞では最終順位10位でした泣

この欠け落ちた匣庭の中で 終章―Dream of miniature garden―

至堂文斗
ミステリー
ーーこれが、匣の中だったんだ。 二〇一八年の夏。廃墟となった満生台を訪れたのは二人の若者。 彼らもまた、かつてGHOSTの研究によって運命を弄ばれた者たちだった。 信号領域の研究が展開され、そして壊れたニュータウン。終焉を迎えた現実と、終焉を拒絶する仮想。 歪なる領域に足を踏み入れる二人は、果たして何か一つでも、その世界に救いを与えることが出来るだろうか。 幻想、幻影、エンケージ。 魂魄、領域、人類の進化。 802部隊、九命会、レッドアイ・オペレーション……。 さあ、あの光の先へと進んでいこう。たとえもう二度と時計の針が巻き戻らないとしても。 私たちの駆け抜けたあの日々は確かに満ち足りていたと、懐かしめるようになるはずだから。

処理中です...