迷い道

夢人

文字の大きさ
上 下
85 / 171

切り込む6

しおりを挟む
 会社を出たあたりから尾行されている気配がした。先ほど専務から『梨花』で会おうと連絡があった。今から出ると8時前には『梨花』に着く。わざとタクシーに乗らず歩道をゆっくり歩いていく。私は途中からスピードを上げて路地を曲がる。まだ狙っているのか?
 後ろから慌てて曲がってきたサングラスの男がいる。私は首を後ろから締める形で男を抑える。畠山だ。
「今度は殺す気か?」
「いや今日は話に来た」
 私は身の危険も考えて近くの喫茶店に入った。畠山は店に入るとサングラスを取った。昔のような剽軽さはなく鋭い目つきになっている。
「お前はいつから専務と組んだ?」
「いや専務じゃない。エリだよ」
「なぜエリが?」
「お前と別れたいとホテルに誘った」
「抱いたのか?」
「いや薬を飲まされてスマホの写真をコピーされた。それにお前を裏切ることになった。もちろん金ももらったがな」
「お前の話は?」
「俺はもう操り人形だ。お前を引き込めと言われているのさ」
「お前を操っているのは?」
「エリだ。怖い女だ」
「エリを動かしているのは?」
「ライブの会長ではない。だが俺も知らない。ただエリは動かされているのではなく自らで動いていると思う」
「組む気はない」
「そういうと思っていたさ。俺も長くないかもしれん」
と言うと千円札を置いて店を出ていく。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

今日の記憶

のんよる
ミステリー
夫は記憶障害、毎日今日の記憶がなくなる。 それを支える妻の秘密の記憶。 二人の平凡な毎日だけど楽しい日常だった。 記憶が重なる時何かが変わる。 日記調に物語が進んで行きます。

裏稼業探偵

アルキメ
ミステリー
美少女探偵の正体は犯罪組織のメンバー!? 策謀渦巻く裏社会ミステリ!  大学生である戌井冬吾(いぬいとうご)は、四年前の未解決事件によって父を失っていた。その真相を知っているという謎の男に会うため、冬吾が向かった先はあるオフィスビルの会議室。会議室に入るなり、冬吾は自分の身体に違和感を覚え、意識を失ってしまう。そして目が覚めた時、その部屋には男の死体が。監視カメラによって冬吾以外に犯行が不可能であることが証明され、彼は殺人の容疑者とされてしまう。不幸はそれだけではない。彼が入ったオフィスビルとは、犯罪組織のアジトだったのだ。絶体絶命のピンチに陥った冬吾の前に現れたのは、「禊屋(みそぎや)」と名乗る謎の美少女。果たして冬吾は自らの無実を証明し、生還することができるのか?

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R15】アリア・ルージュの妄信

皐月うしこ
ミステリー
その日、白濁の中で少女は死んだ。 異質な匂いに包まれて、全身を粘着質な白い液体に覆われて、乱れた着衣が物語る悲惨な光景を何と表現すればいいのだろう。世界は日常に溢れている。何気ない会話、変わらない秒針、規則正しく進む人波。それでもここに、雲が形を変えるように、ガラスが粉々に砕けるように、一輪の花が小さな種を産んだ。

パパー!紳士服売り場にいた家族の男性は夫だった…子供を抱きかかえて幸せそう…なら、こちらも幸せになりましょう

白崎アイド
大衆娯楽
夫のシャツを買いに紳士服売り場で買い物をしていた私。 ネクタイも揃えてあげようと売り場へと向かえば、仲良く買い物をする男女の姿があった。 微笑ましく思うその姿を見ていると、振り向いた男性は夫だった…

キスが出来る距離に居て

ハートリオ
ミステリー
カトレア伯爵夫妻が新しく『若いお友達』を選ぶらしい‥‥ 異世界ゆるゆる設定です。 ドレス、馬車、剣の世界観です。

Like

重過失
ミステリー
「私も有名になりたい」 密かにそう思っていた主人公、静は友人からの勧めでSNSでの活動を始める。しかし、人間の奥底に眠る憎悪、それが生み出すSNSの闇は、彼女が安易に足を踏み入れるにはあまりにも深く、暗く、重いモノだった。 ─── 著者が自身の感覚に任せ、初めて書いた小説。なのでクオリティは保証出来ませんが、それでもよければ読んでみてください。

処理中です...