迷い道

夢人

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糸口3

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 アゲからは翌日添付資料のついたメールが流れてきた。私は早い目に約束した喫茶店に入って調査部長を待つ。彼が送ってきてくれた資料ではこの中小証券は2部上場を検討しているようだ。これは専務が筆頭で畠山の課が担当している。まだ公開された情報ではない。
 役員会はすでに半数が専務派である。持ち株は社長の株を入れると専務派は40%を超える。会長単独ではすでに負けているが、親戚筋の株を入れると互角だ。アゲの添付資料でそのことが分かる。将来はライブグループの証券会社にするようだ。
「久しぶりですね?」
「会長の下にいたとはな?」
 調査部長は知らされていなかったようだ。
「私は不正社員としてみんなから思われていますよね?」
「残念だがそう専務は説明された」
「上場の話は?」
「正式には聞いていない。ただ噂にはなっている」
「社長の使い込みは?」
「調査部では専務に上げている。だが待ったがかかっている」
「いつから?」
「会長がいる時からで代表権を失った年から急に額が増えた。マカオにここ1年だけで10回は渡航している」
「調査部ではどうするつもりですか?」
「専務預かりになっている」
「不味いですね?何かあったらここにメールをください」
 別れて外に出ると、やはり例の男がつけている。ここは敢えて見せるつもりで尾行させた。ある程度迫っていることを知らせた方が動きをつかみやすい。
『分かりました。尾行しているのは私たちと同業の探偵社です。依頼主はライブの会長です』
『専務では?』
『間違いなく会長です。それとエリさんのマンションに最近では入りしているのは会長です』
 エリは会長の女でもあったのか。











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