迷い道

夢人

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宣戦布告6

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 パソコンだけを鞄に詰め込んでヒロと新幹線に乗った。彼女は荷造りで徹夜してすやすや眠っている。恋人にしては若すぎるが妹というほどまったく似ていない。私はアゲから送られてきた資料に目を通す。今回の上場は上場チームが全員担当しているようだ。
 エヌの社長はまだ32歳で私と同年配だ。最近は女性社長の上場も珍しくなくなっているが若い。ライブの渡辺会長の起業塾のニューフェイスのようだった。公式の履歴書も出来上がっている。会社設立して5年で上場という位置にいる。ライブとは取引はないが、株はライブが5000万を所持している。
 八重洲でヒロと別れる。彼女は新宿のニューハーフクラブに向かう。私は日本橋の証券会社の本社ビルに向かう。約束の時間ちょうどに調査室のドアをノックする。
「待っていた」
 握手をして会長が顧問室に迎え入れる。最後に見た時よりも若々しい。63歳のはずだが50代後半に見える。部屋のソファに黒のスーツ姿の女性が座っている。
「彼女がエヌに主査で出向する水野君だ」
 挨拶はそこまでで分厚いファイルを3冊用意して読み合わせを始める。彼女は東大のエリートで質問は的確だ。私のような地方大学ではない。
「現在はとくにエヌに上場資格には問題ありません」
「株主構成は?」
「ライブ関連は13%ですが社長自身の持ち株がこの時点72%と問題はないですね」
「今まででは次の未公開株で不透明な動きがあると思います」
 顧問は腕時計を見て、
「入社祝いに席を用意している。少し遅くなったな。妹さんも呼ぶかい?」
「いえ向こうも就活ですよ」







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