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嵐5

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 スラトを出てから3日目の前に大きな山が聳え立つ。日本ではこれほど高い山を見たことがない。もちろんアユタヤにもない。
「こんな山を越えるのか?」
「いえ、この山をぐるりと回る道があるのです。集落もまばらにあるので野宿はしなくていいのです」
 商人の言うように小さいが山の襞に集落が並んでいる。商人に言われていた塩や砂糖を積んできている。山の中では金は値打ちがないのだ。山に入って5日目に少し大きな村に入った。商人の言うには予定より3日も早く着いたようだ。ここは商人の泊まる旅館がある。旅館にはすでに百人ほどの商人が泊まっている。
 未明に茉緒は目を覚ました。馬の掛ける音がかすかに聞こえる。すでに各部屋の下忍が起きている。茉緒は大屋根に登ると鉄砲を構えさせる。街道を篝火が掛けてくる。ここは定期的に盗賊が現れて商人を襲うところと聞いている。
「数は百ほどか?この際盗賊の頭を殺しておくか」
 山入端が薄赤くなって馬の姿が現れる。彼らは慣れた作業のように一斉に鉄砲を空に向けて撃ち放つ。ほとんどこの威嚇で商人は震えあがって荷を明け渡すようだ。鉄砲もかなり旧式だ。茉緒は待てと指示を出す。馬は戦闘用の軍馬ではなく荷を引く駄馬だ。茉緒は近づいてきた頭に狙いを定める。一発が轟いて頭が馬から落ちる。同時に大屋根から茉緒が空を飛ぶ。同時にが人が空に舞う。
 驚いたのか落ちた頭を残して盗賊は我勝ちに山へ逃げ戻る。恐る恐る商人たちが表に出てくる。頭は肩に軽傷を負っただけで捕えられて連れ来る。
「盗賊なのか?」
「いや、飢饉になったらやも得ず。年に3度くらいだ。通常は猟師だ」
「どれっほど山にいる?」
「千人かな?」
「今晩は泊めてもらえるか?」
 茉緒には閃いたことがある。







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