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動乱5
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九郎の後ろを茉緒が砦を超える。九郎は砦の中を鼠のように走り抜ける。水田が尽きると騎馬の群れが見える。この奥に屋敷が並んでいる。九郎は黙ったまま屋根に飛び上る。茉緒は九郎の影のように続く。
「この屋根の下が次男の屋敷です」
天井裏に潜ると口だけを動かして話す。だが部屋の様子がおかしい。廊下に鎧を着た兵が立っている。部屋の上から覗くと、柱に縛られた男がいる。その前に白髭の冠を被った男が大声で喚いている。族長と次男のようだ。どうも九郎との約束は守れないようだ。
やはり下忍を突っ込ませたら全滅だった。九郎を繋ぎの下忍がいる塀まで行かせる。合図の変更を伝える。茉緒はさらに大屋根に登り砦の全体を見て回る。広場には騎馬隊が集合させられている。国境に行くのかラオスに行くのかと言う感じだ。この数では戦いようがない。日が暮れるまで天井裏に潜む。今は部屋の中は縛られた次男だけだ。九郎が飛び降りた。茉緒は入口に棒を倒す。
「どうしたんだ?」
「父の部下が嗅ぎ付けたのだ」
「広場の騎馬は?」
「ラオスの王宮を攻めるのだ」
「勝ち目はあるのか?」
「5分5分だが反対だ。王宮の高官が評判がよくない。恐らく他の部族は王に着くだろう。そうなると3千5百の兵が5千の兵に攻められる。だが父は最後の戦いを挑むだろう」
九郎は縄を解いた。
「ここの兵の幾らを味方にできる?」
「まず、父を捕えれば何とかなる。だが時間がない。月が昇ると出撃が始まる」
元降りてきた綱で大屋根に上がる。だが族長を捕えるのはそう簡単ではない。
「九郎、合図を送れ」
とともに大屋根を走る。広場の中央の台に族長が登っている。
「この屋根の下が次男の屋敷です」
天井裏に潜ると口だけを動かして話す。だが部屋の様子がおかしい。廊下に鎧を着た兵が立っている。部屋の上から覗くと、柱に縛られた男がいる。その前に白髭の冠を被った男が大声で喚いている。族長と次男のようだ。どうも九郎との約束は守れないようだ。
やはり下忍を突っ込ませたら全滅だった。九郎を繋ぎの下忍がいる塀まで行かせる。合図の変更を伝える。茉緒はさらに大屋根に登り砦の全体を見て回る。広場には騎馬隊が集合させられている。国境に行くのかラオスに行くのかと言う感じだ。この数では戦いようがない。日が暮れるまで天井裏に潜む。今は部屋の中は縛られた次男だけだ。九郎が飛び降りた。茉緒は入口に棒を倒す。
「どうしたんだ?」
「父の部下が嗅ぎ付けたのだ」
「広場の騎馬は?」
「ラオスの王宮を攻めるのだ」
「勝ち目はあるのか?」
「5分5分だが反対だ。王宮の高官が評判がよくない。恐らく他の部族は王に着くだろう。そうなると3千5百の兵が5千の兵に攻められる。だが父は最後の戦いを挑むだろう」
九郎は縄を解いた。
「ここの兵の幾らを味方にできる?」
「まず、父を捕えれば何とかなる。だが時間がない。月が昇ると出撃が始まる」
元降りてきた綱で大屋根に上がる。だが族長を捕えるのはそう簡単ではない。
「九郎、合図を送れ」
とともに大屋根を走る。広場の中央の台に族長が登っている。
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