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お茶会当日④
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なんで?どうして?ノア先生は平民のはずだし、存命中の王族は王様と王妃様と第2王子様と今こちらにいらっしゃる第1王子様だけのはずだ。その他の王族はいないはずなのだ。でも、殿下とノア先生はどこか顔立ちも似ている気がするし、問い詰め方なんてそっくりだ。
「アリーチェ嬢?僕の質問に答えない気かな?」
追い詰めるような殿下の問いかけに、思考の海から一気に現実へ引き上げられる。私は慌てて礼の姿勢をとった。
「も、申し訳ございません、殿下…!!緊張してしまいまして、少々硬直していました。ご無礼をお許しください。」
「…まあ、そういうことにしておいてあげるよ。許す。」
「ありがとうございます…!!」
私が緊張から硬直したのではない事は確実に殿下にバレてしまっている。冷や汗が止まらない。このまま出来ることなら立ち去ってしまいたい…無意識に少し後退した私の足を見咎めたのか、殿下は鋭く切り込んでくる。
「それで?私の質問に対する答えを聞かせてもらおうか?」
どうやらこのまま逃がしてはもらえないらしい。ならばと気を引き締めて軽く息をつく。
「…かしこまりました。私がまともな挨拶をできた理由でございますが、前回殿下とお会いした時の私は勉強がとても嫌いで、礼儀も全くなっておりませんでしたわ。そんなある日、授業から抜け出した際に池で溺れてしまって、父様や母様や兄様、そして屋敷の皆を心配させてしまって心から反省致しましたの。それから授業をしっかりと受けるようになりまして、本日のように立派な挨拶ができるまでに成長致しましたわ。家庭教師の皆様のおかげですわ。」
「なるほど、あのような素晴らしい挨拶ができるようになった経緯は理解した。」
「それは良うごさいました。ではこれにて私は失礼致します。」
早口でそう告げ、そそくさと立ち去ろうと殿下に背を向けたその時、
「待て、まだ話は終わっていないだろう?」
「…まだ何かございますか?」
首をギギギと音がしそうなくらいにぎこちなく動かし、殿下へ顔を向けると黒い笑みを浮かべて腕を組んでいる殿下が目に入った。世間では殿下の輝かしい笑顔を向けられた令嬢は皆、恋に落ちてしまうと噂されているが今の殿下の笑顔にはどう考えても恋に落ちそうにない。違う意味で心臓がドキドキする。
「もちろん。私に対する態度の理由がまだだ。自分で言うのはなんだが、あの時の君は確実に私に恋をしていたと思うのだが、今の君は私に恋をしているように全く見えない。それはなぜだ?」
ムカつくがたしかに、前世を思い出す前のアリーチェはぷくぷく太った自分を客観視できず、分不相応にも殿下に恋をし、他のご令嬢に混ざって殿下に猛アタックしていた。そんな私が急に殿下に興味をなくしたのだから気になっても仕方ないと思う。
はっきり言って今の私にとって殿下はお近づきになりたくない人物のうちの1人なのである。お近づきになりたくない人物とはもちろん攻略対象の皆様である。たとえ攻略対象に恋をしたとしてもヒロインが現れてしまえば、攻略対象とヒロインが結ばれるのは必至であり、私はお邪魔虫になってしまう。というかお邪魔虫になる可能性も低い、だって乙女ゲームではモブデブ令嬢だったもの。そんなことが分かりきっているのに誰が積極的に関わろうと思うだろうか、いや思わない。
だが、そんなことをありのままに殿下に言おうものなら頭のおかしい子と思われてしまうので、頭をフル回転させてもっともらしい理由を考えることになった。
「アリーチェ嬢?僕の質問に答えない気かな?」
追い詰めるような殿下の問いかけに、思考の海から一気に現実へ引き上げられる。私は慌てて礼の姿勢をとった。
「も、申し訳ございません、殿下…!!緊張してしまいまして、少々硬直していました。ご無礼をお許しください。」
「…まあ、そういうことにしておいてあげるよ。許す。」
「ありがとうございます…!!」
私が緊張から硬直したのではない事は確実に殿下にバレてしまっている。冷や汗が止まらない。このまま出来ることなら立ち去ってしまいたい…無意識に少し後退した私の足を見咎めたのか、殿下は鋭く切り込んでくる。
「それで?私の質問に対する答えを聞かせてもらおうか?」
どうやらこのまま逃がしてはもらえないらしい。ならばと気を引き締めて軽く息をつく。
「…かしこまりました。私がまともな挨拶をできた理由でございますが、前回殿下とお会いした時の私は勉強がとても嫌いで、礼儀も全くなっておりませんでしたわ。そんなある日、授業から抜け出した際に池で溺れてしまって、父様や母様や兄様、そして屋敷の皆を心配させてしまって心から反省致しましたの。それから授業をしっかりと受けるようになりまして、本日のように立派な挨拶ができるまでに成長致しましたわ。家庭教師の皆様のおかげですわ。」
「なるほど、あのような素晴らしい挨拶ができるようになった経緯は理解した。」
「それは良うごさいました。ではこれにて私は失礼致します。」
早口でそう告げ、そそくさと立ち去ろうと殿下に背を向けたその時、
「待て、まだ話は終わっていないだろう?」
「…まだ何かございますか?」
首をギギギと音がしそうなくらいにぎこちなく動かし、殿下へ顔を向けると黒い笑みを浮かべて腕を組んでいる殿下が目に入った。世間では殿下の輝かしい笑顔を向けられた令嬢は皆、恋に落ちてしまうと噂されているが今の殿下の笑顔にはどう考えても恋に落ちそうにない。違う意味で心臓がドキドキする。
「もちろん。私に対する態度の理由がまだだ。自分で言うのはなんだが、あの時の君は確実に私に恋をしていたと思うのだが、今の君は私に恋をしているように全く見えない。それはなぜだ?」
ムカつくがたしかに、前世を思い出す前のアリーチェはぷくぷく太った自分を客観視できず、分不相応にも殿下に恋をし、他のご令嬢に混ざって殿下に猛アタックしていた。そんな私が急に殿下に興味をなくしたのだから気になっても仕方ないと思う。
はっきり言って今の私にとって殿下はお近づきになりたくない人物のうちの1人なのである。お近づきになりたくない人物とはもちろん攻略対象の皆様である。たとえ攻略対象に恋をしたとしてもヒロインが現れてしまえば、攻略対象とヒロインが結ばれるのは必至であり、私はお邪魔虫になってしまう。というかお邪魔虫になる可能性も低い、だって乙女ゲームではモブデブ令嬢だったもの。そんなことが分かりきっているのに誰が積極的に関わろうと思うだろうか、いや思わない。
だが、そんなことをありのままに殿下に言おうものなら頭のおかしい子と思われてしまうので、頭をフル回転させてもっともらしい理由を考えることになった。
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