7 / 24
油断しました
しおりを挟む
今日はノア先生との最初の授業の日。晴天だったのでせっかくだから外で授業をしようと連れ出された。
今、ノア先生とテラスでイスに座りながら授業を受けている…のだが、距離が近い。向かい合わせでも良いのに隣で1冊の教科書を一緒に見ている状態だ。
「あの、ノア先生」
「なんだい?アリーチェ」
微笑みながらノア先生が問うてくるが、名前を呼ばれていることと至近距離にあるその美形が相まってとてつもない破壊力をもっている。最初はアリーチェ様と呼ばれていたのだが、なんだかこのイケメンさんに様をつけて呼ばれるのがこそばゆくて呼び捨てで呼ぶようにお願いしたのだ。
「距離が、その…」
「距離が、なんだい?」
分かってるくせにノア先生は笑顔ですごく距離を詰めてくる。あまり無下に出来ないのは、彼の父にどうやら父様がとてもお世話になったらしく「くれぐれも無下に扱わないように」と先日かなり念を押されてしまったからだ。
さらに、私が少しでも冷たく接するとしょぼんとした顔を見せるのだ、本当にずるい、確実に分かっててやってる。
「えっと、さすがに近すぎて集中できないかなぁ…なんて…?」
「ふーん?でもアリーチェは授業から脱走して池に落ちたって聞いたんだけど。」
「う…それは、そうなんですけど…」
「それにこんなに一気に痩せて、心配なんだよね、僕。だから倒れると困るからこれあげるね。」
有無を言わさぬ笑顔で手を取られブレスレットをはめられた。それはパワーストーンのブレスレットのように、紫色と赤色と透明な色の3色の石によって構成されていた。
「これ、なんですか?」
「ん?これはね、僕お手製のブレスレットで、魔法を込めてある。つまり魔導具。」
「魔導具…?」
「そう、このブレスレットに使われているのは魔法石と言って、魔法を込めることができるんだ。ただ、その魔法に見合う魔法石の数や大きさが必要になってくるんだ。今回の場合は3つ付与したかったから3色にしたんだ。」
「何の魔法が込められているんですか?」
「1つ目はどのくらい食べても食べなくても体に適切な栄養を補給する魔法、これは治癒魔法の応用ね。だから今まで通りお肉とかお菓子とか食べても大丈夫だよ。」
ノア先生の言葉に思わず息を飲んだ。そんな夢みたいな魔法、世の女性が聞いたらみんな欲しがるだろう。それに私にとってもすごく嬉しいことだ。フルーツばかりだと心配だと周りからすごく言われていたから、このブレスレットさえあればフルーツだけを好きなだけ食べることが出来る。
「そんな夢みたいな魔法、あるんですね…すごいです…!!」
「うん、でも今のところ僕にしか出来ないだろうからアレックス…様にしか言っちゃダメだよ?それと2つ目と3つ目は君を守る魔法だよ。詳しいことは秘密。」
「秘密…?!3つのうち2つも秘密なんて怖いです!!やです!!」
そう言って慌ててブレスレットを外そうとしたのだが、外れない。ビクともしない。それでも頑張って外そうと奮闘してるとノア先生がくすくすと笑い始めた。
「アリーチェ、無駄だよ。1度つけたらブレスレットの魔法はずーっと発動するようになってて、しかも僕しか外せないようになってるんだよね。諦めて♡」
私はノア先生の言葉に絶望することになった。
今、ノア先生とテラスでイスに座りながら授業を受けている…のだが、距離が近い。向かい合わせでも良いのに隣で1冊の教科書を一緒に見ている状態だ。
「あの、ノア先生」
「なんだい?アリーチェ」
微笑みながらノア先生が問うてくるが、名前を呼ばれていることと至近距離にあるその美形が相まってとてつもない破壊力をもっている。最初はアリーチェ様と呼ばれていたのだが、なんだかこのイケメンさんに様をつけて呼ばれるのがこそばゆくて呼び捨てで呼ぶようにお願いしたのだ。
「距離が、その…」
「距離が、なんだい?」
分かってるくせにノア先生は笑顔ですごく距離を詰めてくる。あまり無下に出来ないのは、彼の父にどうやら父様がとてもお世話になったらしく「くれぐれも無下に扱わないように」と先日かなり念を押されてしまったからだ。
さらに、私が少しでも冷たく接するとしょぼんとした顔を見せるのだ、本当にずるい、確実に分かっててやってる。
「えっと、さすがに近すぎて集中できないかなぁ…なんて…?」
「ふーん?でもアリーチェは授業から脱走して池に落ちたって聞いたんだけど。」
「う…それは、そうなんですけど…」
「それにこんなに一気に痩せて、心配なんだよね、僕。だから倒れると困るからこれあげるね。」
有無を言わさぬ笑顔で手を取られブレスレットをはめられた。それはパワーストーンのブレスレットのように、紫色と赤色と透明な色の3色の石によって構成されていた。
「これ、なんですか?」
「ん?これはね、僕お手製のブレスレットで、魔法を込めてある。つまり魔導具。」
「魔導具…?」
「そう、このブレスレットに使われているのは魔法石と言って、魔法を込めることができるんだ。ただ、その魔法に見合う魔法石の数や大きさが必要になってくるんだ。今回の場合は3つ付与したかったから3色にしたんだ。」
「何の魔法が込められているんですか?」
「1つ目はどのくらい食べても食べなくても体に適切な栄養を補給する魔法、これは治癒魔法の応用ね。だから今まで通りお肉とかお菓子とか食べても大丈夫だよ。」
ノア先生の言葉に思わず息を飲んだ。そんな夢みたいな魔法、世の女性が聞いたらみんな欲しがるだろう。それに私にとってもすごく嬉しいことだ。フルーツばかりだと心配だと周りからすごく言われていたから、このブレスレットさえあればフルーツだけを好きなだけ食べることが出来る。
「そんな夢みたいな魔法、あるんですね…すごいです…!!」
「うん、でも今のところ僕にしか出来ないだろうからアレックス…様にしか言っちゃダメだよ?それと2つ目と3つ目は君を守る魔法だよ。詳しいことは秘密。」
「秘密…?!3つのうち2つも秘密なんて怖いです!!やです!!」
そう言って慌ててブレスレットを外そうとしたのだが、外れない。ビクともしない。それでも頑張って外そうと奮闘してるとノア先生がくすくすと笑い始めた。
「アリーチェ、無駄だよ。1度つけたらブレスレットの魔法はずーっと発動するようになってて、しかも僕しか外せないようになってるんだよね。諦めて♡」
私はノア先生の言葉に絶望することになった。
1
お気に入りに追加
3,753
あなたにおすすめの小説
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
【完結】異世界転生した先は断罪イベント五秒前!
春風悠里
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、まさかの悪役令嬢で断罪イベント直前!
さて、どうやって切り抜けようか?
(全6話で完結)
※一般的なざまぁではありません
※他サイト様にも掲載中
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
悪役令嬢は頑張らない 〜破滅フラグしかない悪役令嬢になりましたが、まぁなるようになるでしょう〜
弥生 真由
恋愛
料理が好きでのんびり屋。何をするにもマイペース。そんな良くも悪くも揺らがない少女、
陽菜は親友と共に事故にあい、次に目覚めたら乙女ゲームの悪役令嬢になっていた。
この悪役令嬢、ふわふわの銀髪に瑠璃色の垂れ目で天使と見紛う美少女だが中身がまぁとんでも無い悪女で、どのキャラのシナリオでも大罪を犯してもれなくこの世からご退場となる典型的なやられ役であった。
そんな絶望的な未来を前に、陽菜はひと言。
「お腹が空きましたねぇ」
腹が減っては生きてはいけぬ。逆にお腹がいっぱいならば、まぁ大抵のことはなんとかなるさ。大丈夫。
生まれ変わろうがその転生先が悪役令嬢だろうが、陽菜のすることは変わらない。
シナリオ改変?婚約回避?そんなことには興味なし。転生悪役令嬢は、今日もご飯を作ります。
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
目指せ、婚約破棄!〜庭師モブ子は推しの悪役令嬢のためハーブで援護します〜
森 湖春
恋愛
島国ヴィヴァルディには存在しないはずのサクラを見た瞬間、ペリーウィンクルは気付いてしまった。
この世界は、前世の自分がどハマりしていた箱庭系乙女ゲームで、自分がただのモブ子だということに。
しかし、前世は社畜、今世は望み通りのまったりライフをエンジョイしていた彼女は、ただ神に感謝しただけだった。
ところが、ひょんなことから同じく前世社畜の転生者である悪役令嬢と知り合ってしまう。
転生して尚、まったりできないでいる彼女がかわいそうで、つい手を貸すことにしたけれど──。
保護者みたいな妖精に甘やかされつつ、庭師モブ子はハーブを駆使してお嬢様の婚約破棄を目指します!
※感想を頂けるとすごく喜びます。執筆の励みになりますので、気楽にどうぞ。
※『小説家になろう』様にて先行して公開しています。
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
乙女ゲームに転生した世界でメイドやってます!毎日大変ですが、瓶底メガネ片手に邁進します!
美月一乃
恋愛
前世で大好きなゲームの世界?に転生した自分の立ち位置はモブ!
でも、自分の人生満喫をと仕事を初めたら
偶然にも大好きなライバルキャラに仕えていますが、毎日がちょっと、いえすっごい大変です!
瓶底メガネと縄を片手に、メイド服で邁進してます。
「ちがいますよ、これは邁進してちゃダメな奴なのにー」
と思いながら
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる