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記憶装置の影響①
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ラッシャーはいっこうに帰ってくる気配がなかった。
「ラッシャー遅いね。どうしたんだろう?」
ルヴァンが言った。
「あいつが道に迷うとは思えんが…」
ノーランが語尾を濁した。
「でも、何か変だよ。こんなに遅いなんて」
「探しに行ってやるか」
イーライが立ち上がった。
「待って」
そのまま森の中に入っていきそうなイーライをルヴァンが止めた。
「ラッシャーが理由もなく帰ってこないとは思えないよ」
「だったらすぐにでも行ってやらないと」
ルヴァンは首を横に振った。
「ということは、僕たちが行っても同じように戻ってこれなくなる可能性があるってことだと思わない?」
どういう意味だ?というようにシャノンとイーライがルヴァンを見た。
「何かに襲われたって言いたいのか?」
とノーラン。
「それはないと思う。ラッシャーは慎重だから。僕が心配しているのは、ラッシャーが記憶装置の影響を受けたんじゃないかってこと」
「でも、オレたちは大丈夫だぞ」
とイーライが言った。
「ここがたまたま記憶装置の影響を受けにくい場所なだけで、ラッシャーは記憶装置に近づいてしまったのかも。イーゼット、どう思う?」
ルヴァンはEZ-02に尋ねた。
「記憶装置の影響がこれほど短時間で現れるとは思わなかった。しかし、記憶装置が作られてからかなりの時間が経っている。そのため、何とも言えない」
EZ-02は黒くいカプセルを取り出した。街を出発する前に、EZ-02が持ってきていたものだ。
「これはバリアコアというものだ。これを持っておけば記憶装置から出る電磁波を防ぐことができる」
「電磁波?」
ルヴァンは聞いたことのない言葉に首をかしげた。
「なら、これをラッシャーにもたせれば良かった」
とノーランがEZ-02をにらんだ。
「しかしこれは一つしかない。ゆえに私が管理しているのがよかろう」
「じゃあ、行こう」
ルヴァンが言った。
「俺は残る」
ノーランが言った。
「シャノンをひとりにしておきたくない」
「でも、EZ-02が電磁波吸収装置を持っている。離れるとノーランも記憶装置の影響を受けてしまうかもしれないよ」
ルヴァンが言った。
「俺は今のところ大丈夫だ。だからお前とイーライとそのロボットで行け」
ルヴァンは小さく肩をすくめ、待っているイーライとEZ-02のもとに行った。
「じゃあ、行ってくるね」
ルヴァンはゆるやかに尻尾を振った。
「わぁ」
ノーランがシャノンの方を向いたまま応じた。
「安心しろ!オレ様が必ずラッシャーを見つけてくる!」
イーライは意気揚々と言うと、ラッシャーが向かった方向とは反対方向に向かって行進し始めた。
「違うよ、イーライ。そっちじゃないよ」
ルヴァンが焦って呼び止めた。
「了解」
イーライはくるりと向きを変えると、ルヴァンと並んでラッシャーの匂いを追い始めた。
「ラッシャー遅いね。どうしたんだろう?」
ルヴァンが言った。
「あいつが道に迷うとは思えんが…」
ノーランが語尾を濁した。
「でも、何か変だよ。こんなに遅いなんて」
「探しに行ってやるか」
イーライが立ち上がった。
「待って」
そのまま森の中に入っていきそうなイーライをルヴァンが止めた。
「ラッシャーが理由もなく帰ってこないとは思えないよ」
「だったらすぐにでも行ってやらないと」
ルヴァンは首を横に振った。
「ということは、僕たちが行っても同じように戻ってこれなくなる可能性があるってことだと思わない?」
どういう意味だ?というようにシャノンとイーライがルヴァンを見た。
「何かに襲われたって言いたいのか?」
とノーラン。
「それはないと思う。ラッシャーは慎重だから。僕が心配しているのは、ラッシャーが記憶装置の影響を受けたんじゃないかってこと」
「でも、オレたちは大丈夫だぞ」
とイーライが言った。
「ここがたまたま記憶装置の影響を受けにくい場所なだけで、ラッシャーは記憶装置に近づいてしまったのかも。イーゼット、どう思う?」
ルヴァンはEZ-02に尋ねた。
「記憶装置の影響がこれほど短時間で現れるとは思わなかった。しかし、記憶装置が作られてからかなりの時間が経っている。そのため、何とも言えない」
EZ-02は黒くいカプセルを取り出した。街を出発する前に、EZ-02が持ってきていたものだ。
「これはバリアコアというものだ。これを持っておけば記憶装置から出る電磁波を防ぐことができる」
「電磁波?」
ルヴァンは聞いたことのない言葉に首をかしげた。
「なら、これをラッシャーにもたせれば良かった」
とノーランがEZ-02をにらんだ。
「しかしこれは一つしかない。ゆえに私が管理しているのがよかろう」
「じゃあ、行こう」
ルヴァンが言った。
「俺は残る」
ノーランが言った。
「シャノンをひとりにしておきたくない」
「でも、EZ-02が電磁波吸収装置を持っている。離れるとノーランも記憶装置の影響を受けてしまうかもしれないよ」
ルヴァンが言った。
「俺は今のところ大丈夫だ。だからお前とイーライとそのロボットで行け」
ルヴァンは小さく肩をすくめ、待っているイーライとEZ-02のもとに行った。
「じゃあ、行ってくるね」
ルヴァンはゆるやかに尻尾を振った。
「わぁ」
ノーランがシャノンの方を向いたまま応じた。
「安心しろ!オレ様が必ずラッシャーを見つけてくる!」
イーライは意気揚々と言うと、ラッシャーが向かった方向とは反対方向に向かって行進し始めた。
「違うよ、イーライ。そっちじゃないよ」
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「了解」
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