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ルヴァンの夢②
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「ねえ、この建物はだれがつくったの?」
ルヴァンは母犬にたずねた。
「私たちは〈知られざる手〉と呼んでいるわ。でも今はもう骨が残っているばかりだからきっともういなくなってしまったのね」
「そうなんだ」
ルヴァンは巨大な建物を見上げた。まわりにはいくつもの建物がある。どうすればこんな大きなものが作れるんだろうか。く知られざる手〉という者はそれほど大きな生物だったということだろうか。
「ぼく、〈知られざる手〉を探しに行く!」
ルヴァンは突然思い至って元気良く言った。
澄んだ青空がルヴァンを見下ろしていた。 ルヴァンははっと目を覚ました。どうしてこんな夢を見たんだろう。もう今は忘れかけたずっと昔の夢だ。〈知られざる手〉を探すなんて、でも......。
「起きたか」
低いおだやかな声が頭上から降ってきた。
ルヴァンが顔を動かすとノーランが見下ろしていた。
「うん。ありかとう」
ルヴァンは立ち上がった。建物が倒壊したことは覚えて いる。しかし自分は今こうして生きている。ノーラン、イーライ、 ラッシャーか助けてくれたことは聞かずとも分かった。
イーライとラッシャーはすぐ近くで折り重なるようにねむっていた。ルヴァンが近づくと、足音にラッシャーがびくりと反応して目を開けた。
「痛むところはないかい?」
ラッシャーは心配そうに聞いた。
「大丈夫」
ルヴァンはこたえると、まだ眠っているイーライの鼻をつついた、。
「んん、誰だ。オレの睡眠のじゃまをするのは、ねずみ10匹おごらせるぞ」
イーライがねぼけて言った。
「僕だよ!」
「んああぁ?!ルヴァンか?!」
イーライがぱっと目を光輝かせて立ち上がった。
「目が覚めたんだな。このままずっと起きないのかと思って心配したぜ」
「もう大丈夫だよ」
さわぎを聞きつけて、離れたところにいたシエンナたちが駆けよってきた。
「私たちが騒ぎたてたばかりに危ない目にあってしまって ごめんなさい」
シエンナがこうべを垂れた。
「いいよ。建物が崩れてくるなんて誰にも分かんないもんね。それよりも音の正体が分かったよ」
ルウァンはちらりと崩れた建物の残骸を振り返った 。
「原因は上の階の柱が建物の重みにたえられなく なっていたのと、建物の壁にできたすき間から風が 入りこんで変な音がしていたんだよ。一言で言えば、建物が古くなっていたせいだね。怪しいものはいなかったよ」
「そうだったのね」
コリンが心底ほっとした顔をした。
「得体の知れないものがいるわけじゃないってことはこのあたりに住み続けられそうだわ。本当にありがとう」
とシエンナ。
ルヴァンはにっこり笑うと彼らに背を向け、イーライたちのもとに戻った。
「原因も見つけていたのか。流石だぜ」
そう言ってイーライが出迎えたがルヴァンはうわの空だった。
ルヴァンは母犬にたずねた。
「私たちは〈知られざる手〉と呼んでいるわ。でも今はもう骨が残っているばかりだからきっともういなくなってしまったのね」
「そうなんだ」
ルヴァンは巨大な建物を見上げた。まわりにはいくつもの建物がある。どうすればこんな大きなものが作れるんだろうか。く知られざる手〉という者はそれほど大きな生物だったということだろうか。
「ぼく、〈知られざる手〉を探しに行く!」
ルヴァンは突然思い至って元気良く言った。
澄んだ青空がルヴァンを見下ろしていた。 ルヴァンははっと目を覚ました。どうしてこんな夢を見たんだろう。もう今は忘れかけたずっと昔の夢だ。〈知られざる手〉を探すなんて、でも......。
「起きたか」
低いおだやかな声が頭上から降ってきた。
ルヴァンが顔を動かすとノーランが見下ろしていた。
「うん。ありかとう」
ルヴァンは立ち上がった。建物が倒壊したことは覚えて いる。しかし自分は今こうして生きている。ノーラン、イーライ、 ラッシャーか助けてくれたことは聞かずとも分かった。
イーライとラッシャーはすぐ近くで折り重なるようにねむっていた。ルヴァンが近づくと、足音にラッシャーがびくりと反応して目を開けた。
「痛むところはないかい?」
ラッシャーは心配そうに聞いた。
「大丈夫」
ルヴァンはこたえると、まだ眠っているイーライの鼻をつついた、。
「んん、誰だ。オレの睡眠のじゃまをするのは、ねずみ10匹おごらせるぞ」
イーライがねぼけて言った。
「僕だよ!」
「んああぁ?!ルヴァンか?!」
イーライがぱっと目を光輝かせて立ち上がった。
「目が覚めたんだな。このままずっと起きないのかと思って心配したぜ」
「もう大丈夫だよ」
さわぎを聞きつけて、離れたところにいたシエンナたちが駆けよってきた。
「私たちが騒ぎたてたばかりに危ない目にあってしまって ごめんなさい」
シエンナがこうべを垂れた。
「いいよ。建物が崩れてくるなんて誰にも分かんないもんね。それよりも音の正体が分かったよ」
ルウァンはちらりと崩れた建物の残骸を振り返った 。
「原因は上の階の柱が建物の重みにたえられなく なっていたのと、建物の壁にできたすき間から風が 入りこんで変な音がしていたんだよ。一言で言えば、建物が古くなっていたせいだね。怪しいものはいなかったよ」
「そうだったのね」
コリンが心底ほっとした顔をした。
「得体の知れないものがいるわけじゃないってことはこのあたりに住み続けられそうだわ。本当にありがとう」
とシエンナ。
ルヴァンはにっこり笑うと彼らに背を向け、イーライたちのもとに戻った。
「原因も見つけていたのか。流石だぜ」
そう言ってイーライが出迎えたがルヴァンはうわの空だった。
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