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if story アルサーラー編(真)

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 伝説級の悪魔と化したマイラVS俺とソウルのタッグの戦いが始まった。

「ガアアアアアアアアアアア!」

 相も変わらず悪魔化したマイラは発狂している。俺達に向かって突進したり、引っ掻いたり、尻尾で薙ぎ払ったり。不思議な事にヤツは魔法を使っての攻撃はしてこない。今まで苦戦一方で気づかなかったが、ヤツの肉体からは魔力の一切が感じられない。悪魔化の際に魔力の全てが身体強化にステ振りされたのかもしれない。それならばあの固さと素早さにも納得だ。

「風魔法「強」!…からの氷柱吹雪ブリザード!」
「精霊魔法…上位土精霊ベヒモスの進行っ」
「ガゥウ…ガアアアアア!」

 俺の連打もソウルの精霊も残念ながら効いていない。直撃しているはずなのだが、マイラが怯む事は無かった。

「やはり淵じゃないと無理か…。ソウル、二人でありったけの淵を同時に放とう」
「う~ん…ふむふむ…」

 ソウルは俺を見ながら何か考え事をしている。顎に手をやり、何やら唸りながら首を傾げている。

「炎、水が17…20あるのは強化か…おっ、風が23もある」
「?…ソウル、考え事は後にしてくれ!来るぞ!」

 一瞬ソウルに気を取られていた間に、マイラは既に突進によって回避不可能なまでに距離を縮めていた。

「くっ…!聖騎士の盾巡回ロイヤルガード!」

 何とか攻撃はいなす事ができた。盾魔法の盾によってマイラは勢いよく弾かれた。ソウルを見ると未だに考え事をしている。いい加減一言キツく言おうとしたその時、ソウルは考え事をやめ、俺に向き直った。

「キョウ・アブソープ、このままじゃ勝てない。淵の連発も悪くは無いけど、あまりの威力にこの世界が下手したら崩れてしまう。魔力の消費も大きすぎる」
「それじゃあどうしたら…」

 突きつけられた現実に落胆する俺を見て、ソウルは笑顔で両手を俺の前に突き出した。右手は三、左手はグーの状態。

「30だ。30人分の魔力が凝縮された魔法攻撃ならば淵を超える火力になる。今精霊魔法で君の中を確かめた。一番多いのは23人分あった風魔法だ…っと、危ない」

 俺達はマイラの攻撃をかわしながら話を続ける。

「確かに今の俺が使える魔法属性の中で一番強いのは風だ。自分の事だ、よく分かる。けれど仮にソウルの言う23人分が本当だとして、残る7人分はどうするつもりだ」

 条件は"凝縮された魔法"だ。他に7人の風魔法を使える魔道士を連れてきて、俺と同時に発射。それでは意味が無い。つまり、ソウルの作戦を実行するには少なくとも7人、今からこの戦場に連れてきて俺が殺さなくてはいけない。だが今はそんな余裕も時間も無い。一緒に戦っているソウルがそれを一番よく分かっているはずなのだが。

「君の中に23…そして、僕の中には7ある」

 ソウルのその言葉を聞き、唐突に理解した。彼の作戦内容と覚悟を。
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