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魔境地帯編

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「なんでジンがここに?ってか、今の…精霊魔法」
「あぁ、生き返ったら使えるようになってた。どうやらお前の魔法は人の魂と関係がありそうだ」

 今この場にジンが登場した事にも驚いたが、何より驚いたのはジンが精霊魔法を使って見せた事だ。俺がジンを殺して以来、彼の精霊魔法は俺に宿ったと思っていたが違ったようだ。今思えば俺は精霊魔法を使えた試しが無い。使い方が分からない云々の話では無く、そもそもが宿っていなかったようだ。

「いや~、あれから数日してから俺も気づいてさ、わざわざ伝えに行くかどうか迷ってたら、キョウくんの周囲にえげつない力を感じてね、精霊に頼んでここまで飛ばしてもらったって訳よ。…そしたら、こ~んな化け物がいるなんてねぇ…」

 ジンはディアボロスを指差す。ディアボロスは見られている事に気づき、不敵な笑みを浮かべたが、どこか引きつっているように見える。突然の強者登場にヤツも焦っているのだろう。

「炎魔法…いや、魔力の感じからして精霊魔法かな?」
「お~、分かるかい化け物くん。精霊を通して全て見させてもらったよ。とんでもない魔法…いや、覇気だね」
「覇気…?」

 ジンはあのモヤを覇気と言った。ディアボロスの加護の正体だろう。

「そうさ、僕の加護は全てを飲み込み全てを喰らい尽くす!たとえ精霊魔法だろうが関係ない!来いよジンとやら、格の違いを教えてやる!」

 ディアボロスは叫びつつ凄まじい量の覇気を全身から放出させた。それらは全て俺達、もといジンの方向へ一直線に飛んでくる。

「キョウくん、再会ついでに見せてあげよう。あの日、俺は出す前に君に負けちゃったからね」
「一体何を…」
「…俺のとっておき☆」

 ジンは目を閉じて意識を集中させた。その間、風の魔力が彼の全身から溢れ出て、スグにそれは精霊魔法の形態へと移り変わっていく。
 俺が知っている限り、ジンが使える精霊は
 炎の四大精霊サラマンダー
 水の四大精霊ウンディーネ
 土の四大精霊ノーム
 この三体。おそらく同様に風の四大精霊であるシルフも使えると踏んではいるが、今ジンが纏っている風の魔力はシルフの物とはとても思えない。あの日無限精霊空間スピリット・エールで感じた精霊魔法とは比較にならないほどの圧倒的魔力量だ。
 これはまさか…

「あぁ、キョウくん!そのまさかさ!
 精霊魔法…上位風精霊ジンの抜け道!」

 下位精霊では無く、上位精霊の精霊魔法。俺の使う風魔法の「強」とは比にならない威力の爆風が轟いた。淵ほどとはいかないが、それに負けず劣らずの力だった。

「ハァ…ハァ…どうだ…、俺が今使える唯一の上位精霊魔法…だ」

 ジンが放ち数秒、辺りの砂煙が晴れた頃。目の前にディアボロスの姿は無かった。
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