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魔境地帯編

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「アンタ…一体何者…?」

 ジュナが少年に問うたが、少年は無視してコチラにつっこんでくる。今まで戦ってきた相手とは訳が違う。凄まじい気迫だ。
 試しに少年目掛けて氷柱吹雪ブリザードを放ったが、少年の目の前で粉々に吹き飛ばされてしまった。

「僕に攻撃しても無駄だよぉ、全部消し飛ぶからね」

 少年がすぐそばまで迫って来た。ジュナが槍を少年に向けたが、それも瞬く間に吹き飛ばされ、槍の先端が無くなってしまった。至近距離で見てようやく気づいた、少年の全身を包むように黒いモヤモヤとした霧のようなモノがある事に。

「わっ…私の槍がぁ…」
「だから言ったでしょ?」

 少年はズンズンと俺達の方に突っ込んでくる。今までのを見た感じからして、このまま近寄られるだけでも不味い。少年の周りにあるオーラのようなもの。少し触れただけで槍が吹き飛ばされたんだ、人体に触れたらどうなる事やら。

「…近づけない」

 少年が一歩近づく度にこちらも一歩下がるという攻防戦状態。ジュナの槍のおかげである程度の間合いは掴んだものの、倒す術が全くといっていいほど思いつかない。

「おい、いい加減にかかって来なよ。ただでさえこっちは君たちに仲間を殺されて心底イライラしてるんだ。これ以上僕をイラつかせないでくれ」

 少年は距離を詰めながら怒気の入り交じった声で言った。

(これはもう…やるしかないのか)

 全身を風魔法で包み風圧アクセルの効果を常時発動。右手に炎、左手に雷。それを一気に少年向けて放つ。が、それすらも少年の体に届くことは無く、全て直前で消し飛ばされてしまった。

「…この程度?」
「いいや、まだだ!」

 獣王の加護による毒魔法を少年にぶつける。効果が無いことを確認して召喚魔法を発動。オーガとゴーレムを数体呼び出して少年を攻撃させた。

「んっ…邪魔」

 やはり少年には届かず、呼び出したオーガもゴーレムも全員消し飛ばされてしまった。跡形もなく散り散りに。
 その時、俺はこの少年の正体を知ることが出来た。召喚した怪奇がやられた時の風圧で少年の髪が煽られ、額が露になった。その時俺は確かに見た。キマイラ、メデューサを倒した際に手に入れた加護の玉、それと同じ物が少年の額に埋め込まれていた。

(そりゃあ、情報が少ない訳だ…。擬態なのかどうかは別として、喋りも仕草も外見も人間そのもの。こんなのを見分けて討伐するのなんて無理な話だ)

 どうも先程からトントン拍子に出くわしてしまうな。キマイラにメデューサ、そして

「君が…ディアボロスか」

 俺がその名を口にした時、少年は不敵に微笑んだ。
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