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村開拓編

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 ダイランの葬儀の翌日。やはり村人達の覇気がない。ダイランの死が余程堪えたようだ。せっかく賑やかにした商店街が不気味な静けさを放っていた。

「キョウさん…ちょっと」 

 商店街をフラフラ見回っているとザラザドに手招きされ、裏路地のようなところへ連れてこられた。

「ベルバーグ家からの案内状が、つい先程」

 そう言ってザラザドは胸ポケットから折りたたまれた紙を一枚取り出した。広げてみると、ここからベルバーグ家までの道のりが記された地図。それ以外の事は何も記されてはいなかった。

「さっそく行くんですよね?」
「…あぁ」
「…はぁ、いいですかキョウさん」

 俺が気のこもっていない返事をすると、ザラザドはソレを察したかのように話し始めた。

「今のこの町を放っておけない気持ちは分かります。皆のよく知る村長が消え、町長のあなたまでもが今姿を消したら、この町は…なんて事を考えているのでしょう?」
「…」

 図星だ。俺が町長になった時、ダイランがいたから村の皆は着いてきてくれた。安心してくれた。俺と村をつなぎ止めていてくれた者がいなくなってしまった今、皆は俺に、に着いてきてくれるのだろうか。そんな疑問で頭がいっぱいだった。

「キョウさんはもう長。民たちの頂点に君臨する者なのです。下手な迷いは良くない。民たちまでどうしたら良いのか分からなくなってしまう。今のこのタイミングなんて特にですね」

 ザラザドがそこまで言った時、陰で聞き耳を立てていたのか、突然現れたアールが話に割って入って来た。

「あぁ、ザラザドの言う通りだ。町の事は気にせず行ってきてください。あなたが帰るまでは俺とエルが責任を持って町を守る。だからどうか」

 アールは一度呼吸を整え、俺の目を真っ直ぐ見て言った。

「皆が笑って暮らせる大国を…そこへの大きな一歩を踏みしめてほしい。あなたは下手に地団駄を踏んではいけない」

 …。

「…そうだよな。わかった。しばらく町のことは頼む、アール。ザラザド」
「了解した」
「任せておきなさい」

 心強い側近と家来に背を押された俺は町への不安は一度断ち切り、新天地であるベルバーグ家へと足を進めたのであった。





「…ところでエルは?」
「ヤツは昼寝中だ」
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